SPiCYSOL 満員のWWWを揺らし、嬉し
い発表も 「これで次のステップに進
めるかな」

SPiCYSOLの全国ワンマンツアー『SPiCYSOL Tour 2019 "FREE"』が、4月5日・渋谷WWW公演でファイナルを迎えた。SPiCYSOLが同会場でワンマンライブを開催するのは、2016年7月以来、2年9ヶ月ぶり。前回は惜しくもチケットがソールドアウトしなかったそうだが今回は見事完売。たくさんのオーディエンスを前にメンバーが喜びと感謝を表す場面もあった。
『SPiCYSOL Tour 2019 "FREE"』は、1月にリリースされたバンド初のコンセプトEP『FREE-EP』の発売を記念したツアー。ライブでは『FREE-EP』の収録曲が早くも存在感を発揮していたほか、中盤ではアコースティック編成での演奏やカバー曲を披露するなど、趣向を凝らした内容となっていた。
SPiCYSOL 撮影=Taiki MURAYAMA
定刻になると、波の音のSEをバックにメンバーが登場。「Blue Moon」のイントロとともにKENNY(Vo/Gt)が「待たせたな、東京!」と投げかけた。アウトロに入り、PETE(Trumpet/Cho/Key)のトランペットによる輝かしいフレーズが歓声を集めると、そのまま「Mellow Yellow」へ。「Cyanotype」でサポートベーシストの濱田織人がアップライトベースに持ち替えると、弾むような低音に感化されるようにKAZUMA(Dr)のプレイも白熱していく。「いいですね。バイブス高めだね、渋谷!」とKENNY。曲数を重ねるにつれ、オーディエンスの身体も心もどんどん解れていっているようだ。「結構古い曲です」と紹介された「WDTA(Shut Up)」は、印象的なリフをはじめ、リリース当時より鋭さの増したアレンジ。AKUN(Gt/Cho)が膝立ちになりながら渾身のソロを炸裂させた。
SPiCYSOL 撮影=Taiki MURAYAMA
一転、「Monsoon」でチルすると、この日最初のMC。KENNYは満員のフロアを見渡し、「こんなにたくさんの人にこのツアーを応援してもらえてるんだなって実感してます。ありがとう!」とオーディエンスへ伝えた。そして次に演奏する曲のことを「この曲があるからSPiCYSOLがある。デビュー作の曲です」と紹介するも、一部のオーディエンスが別の歌のフレーズを返したため、「それはもっと前だね(笑)。俺らがアマチュア時代の」とファンのマニアっぷりを指摘。「渋谷チルバージョン」と称し、アコースティック編成で「AWAKE」を演奏したのだった。
アコースティック編成は、普段よりもそれぞれの楽器が音数を減らしていて、テンポも若干落としている。全体的にゆったり温かな雰囲気で、KENNYのボーカルがより際立つようなアレンジとなっていた。さらに、松任谷由実「卒業写真」のカバーから「My Roots」へ繋げる場面も。春は新たな始まりの季節。“帰れる場所は用意しておくから頑張ってこいよ”と背中を押してくれる彼らのメッセージに勇気づけられた人も多かったのでは。
SPiCYSOL 撮影=Taiki MURAYAMA
「Free -Interlude-」から後半戦へ。ワルツのリズムでしっとり聴かせる「10years vintage」でバンドの新たな一面を覗かせると、「SIST」ではソロ回しが行われた。PETEのフラッター(巻き舌)奏法、AKUNの背面弾きによりフロアが大きく盛り上がると、KAZUMAのソロ中にこの日一番の歓声が上がる。KENNYのハーモニカソロを経て全員でのセッションになだれ込むなか、メンバーはまるでいたずらっ子のような笑顔で演奏を楽しんでいる。
それに続くのが「Rising Sun」の開放感なのだからオーディエンスもハイになるばかりである。シンガロングやコール&レスポンスを巻き起こし、会場全体で一体となりながら、また、「AKUNにサングラスを外されてPETEが照れ笑いする」というレアな場面を挟みながら、「Night Crusing」「Sex On Fire」と畳みかけ、「#goodday」で本編を終えた。
SPiCYSOL 撮影=Taiki MURAYAMA
アンコールでは、まずPETEが一人で登場(今回のツアーでは恒例らしい)。ソールドアウトできたことに対する感謝を改めて伝えると、「これで次のステップに進めるかなと思って」と意欲を膨らませた。その後メンバー全員が登場すると、毎年恒例、7月3日(波の日)に自主企画を開催すること、そして8月7日に2nd EP『EASY-EP』をリリースすることを発表。さらにKENNYがまだ制作中だという『EASY-EP』収録予定曲を弾き語りで披露するサプライズもあった。『EASY-EP』は、リリース前に一部収録曲の先行配信を予定しているとのこと。続報を楽しみにしていてほしい。
その後「Honey Flavor」「Coral」を演奏し、ライブは幕を閉じたのだった。なお、この日のセットリストは、Apple Music、SpotifyおよびLINE MUSICのプレイリストで公開されているとのこと。残念ながらツアーに来られなかった人にも、そしてもちろん会場で実際に楽しんでいたという人にも、この日の熱狂を追体験してもらえたら嬉しい。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=Taiki MURAYAMA
SPiCYSOL 撮影=Taiki MURAYAMA

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