音楽劇『ライムライト』開幕! 石丸
幹二の深み、実咲凜音の可憐さ、矢崎
広の誠実さが際立つ愛の物語

2019年4月9日(火)、東京・シアタークリエにて、音楽劇『ライムライト』が開幕する。このゲネプロ(通し稽古)が前日行われ、本番さながらの舞台が披露された。
本作は1952年に製作されたチャールズ・チャップリン監督の同名映画が原作となった音楽劇。舞台人の儚い宿命と残酷なまでに美しい愛を描いた物語だ。上演台本を日本チャップリン協会会長でもある大野裕之が務め、演出を荻田浩一が手がけた。
2015年の初演に引き続き、今回は老芸人・カルヴェロ役を石丸幹二、さらにカルヴェロを献身的に支えるヒロイン・バレリーナのテリー役には実咲凜音、テリーに想いを寄せる作曲家・ネヴィル役を矢崎広が務めている。このほか、吉野圭吾、植本純米、保坂知寿、佐藤洋介、舞城のどかが出演した。

かつて一世を風靡した老芸人カルヴェロは、人生を悲観し自殺を図った若いバレリーナ・テリーを助け、再び舞台に立たせようとする。その甲斐あってテリーは復活し、さらには大劇場での公演に出演し、将来を嘱望されるまでになった。そんな彼女と入れ替わるように、カルヴェロは人生の舞台から退場しようとしていた。テリーはかつて想いを寄せたピアニストのネヴィルと再会、逆に想いを寄せられるが、テリーの心はカルヴェロにあった。その想いをテリーが打ち明けるが、若い二人を結び付けようとカルヴェロは姿を消す―。
4年ぶりのカルヴェロ役を務める石丸はその存在感と歌声にさらに深みが増し、カルヴェロがステージ上で老いと痛々しい悲哀を見せ、一方でテリーに見せる人生の先輩としてのあたたかさに胸が痛くなる。そのテリーを今回初めて演じた実咲は光輝くような可憐さと透明感に溢れ、物語が進むにつれ、テリーとして失いかけた自信と強さを少しずつ取り戻していく、心のグラデーションを丁寧に表現。
ネヴィル役の矢崎もテリー自身の想いを大切にしたい気持ちと、とはいえ自分の心に嘘はつけない男としての切なさを誠実に描いていた。
注目したいのは植本の様々な役どころ。本役ボタリンクとは別で、様々な場面に登場しては、早替えを交えつつコミカルに演じていく姿についつい目がいってしまう。本筋とは別の楽しみにもなっていた。

開幕に向け、石丸、実咲、矢崎よりコメントが届いたので紹介しよう。
■石丸幹二(カルヴェロ役)
チャップリン生誕130周年という記念の年に再演でき、非常に嬉しいです。今回、新しいキャストが加わりました。また演出も、初演とは特に一幕がだいぶ変わりました。従って、キャスト全員が初演のような気持ちで初日に向けて仕上げてきました。チャップリンの小説からのシーンや、チャップリン作曲の新曲など、映画にはない要素も入り、舞台版ならではの魅力が存分にあります。この『ライムライト』が日本で根づいていけるように頑張りたいと思っています。ぜひ、ご期待ください。

■実咲凜音​(テリー役)
私は今回初めて『ライムライト』に出演させていただきまして、バレリーナ役をさせていただけることは光栄です。ただ、バレエの技術を見せるという事だけではなく、テリーがどういう踊り手なのかという所まで表現できるように頑張りたいと思っています。『ライムライト』という作品は演じていてもすごく良い作品だなって毎回思うんです。お客様には、ぜひこの古き良き世界観の『ライムライト』にのめり込んで観ていただきたいですし、私自身も集中して役と向かい合って、約1か月後の大千秋楽まで頑張りたいと思います。あと個人的にはまた日比谷の地に戻ってこられたなという気持ちがあります。ホーム感といいますか「ただいま」という気持ちですね。

■矢崎広(ネヴィル役)
今回初参加でしたが、初演のキャストの方々がいてくださるのは心強かったですし、それに加えて、また一から新しいものを作ろうと事ことで演出の荻田さんをはじめ、一丸となって新しい『ライムライト』を作ってきたなという印象が強いです。物語自体はしっとりとした作品ですけれど、中にある情熱であったり、愛の物語であったり、一人ひとりの個性豊かなキャラクターなどいろいろな面で楽しめる作品になっていると思います。初演よりも色濃く鮮やかになっていると僕自身思いますので、ぜひ楽しみに来ていただけたらなと思います。

ノスタルジーを感じさせる真実の愛の物語。時代は移りゆくが、大事なものはいつも変わらない事を美しい歌と芝居で静かに伝えてくる良作。多くの方にご覧いただきたい。
取材・文・撮影=こむらさき

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