Tsubasa Shimada(PRIZMAX)
presents『Wet Crate』
- 第34回 細野晴臣 -
PRIZMAXのパフォーマーでありながらDJとしても活躍する島田翼が、長年集め続けた珠玉のレコードコレクションの中からお気に入りを紹介する、偏ったエゴ満載の連載企画。この機会にぜひ、ループミュージックの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?
4月。PRIZMAXのニューアルバムの発売も間近ですね。皆さんの手元に届くのが本当に楽しみです。
出会いと別れ、新生活のシーズンですね。我々も新体制になって初のフィジカルリリースとなるので似たようなものです。
プリズマックスは歴史のあるグループです。ストリートライブをしていた頃、僕は小学校3年生でした。
メンバーも入れ替わりしながらデビューを迎え、7周年目に突入。
「保守と革新」という対立する言葉がありますが、保守に徹してきた今までは、正直自分たちの思い描く結果を出すことができませんでした。これからの僕らは革新へと向かっていきます。
これは本当に勇気のいることです。これまでの味方が敵になることだってあるし、自分たちの芯の強さがこれまで以上に試されます。
そんなタイミングでリリースされたこの『HOCHONO HOUSE』。1973年にリリースされた『HOSONO HOUSE』を現代風に再解釈、再構築したアルバムです。
細野晴臣さんとは、はっぴぃえんどのベーシストやジャパニーズ・テクノポップで一世風靡したYMOことYellow Magic Orchestraのメンバーとして、そしてソロではご自身が歌われることはもちろん、作曲家、編曲家、ベーシストなど、多数の肩書き、多様な音楽性で日本の音楽を支えてきた方です。
『HOCHONO HOUSE』は、そんな細野さんでしか成し得ない世界観で、ご自身の40年以上前の作品をオリジナルを踏襲しながらリメイクしています。この絶妙なバランス感は本当に美しいです。
「自身の作品を再構築する」ということはリスナーの期待値もさらに増しますし、それを超えてゆく覚悟や勇気も大きいものであったと想像します。
言葉にすると何とも稚拙な表現ですが、2019年の作品としてリアルタイムに聴いても素晴らしい作品です。現代シティ・ポップの最高峰だと思います。
我々PRIZMAXも守るものと変化するものを僕ら自身が確かな芯で舵を切ります。
今まで積み重ねてきた経験や表現者としての気持ちをアップデートし、皆さんに新たな世界をお見せすることを約束します。