Eve「ナンセンス文学」が教えてくれる自分の在り方

Eve「ナンセンス文学」が教えてくれる自分の在り方

Eve「ナンセンス文学」が教えてくれ
る自分の在り方

周囲の人から見た自分と本当の自分

1人でいる時と対外的な自分は違うという人も少なくないのではないだろうか。
この歌詞に描かれている人物は、対外的には素の自分を包み隠して、いつもと違う自分を意識的に演じているのだ。
他人が言ったことに対して思うことがあっても、自分の意見はこうだと主張することはできず、悶々とした気持ちを押し殺し、周りが楽しそうにしている場で、自分は楽しくない時でも、テンションを合わせて自らを装い、楽しんでいるように見せる。
多くの人が肯定するような事にでも共感できない自分に対して、嫌気がさしている様子が歌詞から読み取れる。


今の自分を肯定も否定もしなくていい
   
“本当の自分とは何なのだろう?”考えれば考えるほど分からなくなり、そう簡単に答えを見つけ出すことのできないこの疑問。答えは見つからなくても、前向きに生きていこうとする姿がサビで表現されている。
「嘘になって しまわぬように 僕じゃない僕にもラッタッタ」という歌詞からは、対外的な自分でも、自分であることには変わりはないから、“こういう自分もいていいんだ”とどんな自分でも肯定的に捉えようとしていることが分かる。
「ラッタッタ」という歌詞は、敢えて深く考えないよう、軽いリズムの抽象的な表現にしたのだろう。
「最低で憂鬱な日々でさえ 君となら僕は明かしてみたい」という歌詞からは、何もかもがうまくいかない日であっても、本当の自分と対外的な自分を駆使して、なんとか上手くやり過ごしていこうという心情が分かる。

Eveが伝えたかったメッセージとは

まるで自問自答しているかのような歌詞だが、ここで注目して欲しいのは、「あなた」と「アナタ」という箇所だ。それぞれ別の人物だと分かるよう、平仮名表記とカタカナ表記にしている。「あなた」とは、自分と接することがある自分以外の人のことで、「アナタ」は自分の中の、対外的なもう1人の自分のことを示しているのだ。
周囲の人から見た自分、“これが本当の自分だ”と思っている自分、対外的に取り繕うような自分、どんな自分だって自分であることに変わりはない。
それでなんとかやっていけているのならば、自分を肯定も否定もする必要なんてない。そのままの自分でいいのだということが、この楽曲を通してEveが聴き手に伝えたかったメッセージではないだろうか。

TEXT 蓮実 あこ

UtaTen

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