Amaryllis Bomb、前に進み出した彼ら
が示した未来への可能性 ツアー初日
をレポート

Amaryllis Bomb 2019 -独立宣言-

2019.3.3 柏PALOOZA
昨年11月、所属事務所から独立することを発表したSGW、YUKON、DJ KOUKIによるヒップホップグループ、Amaryllis Bomb。自らの手で未来を切り開いていくことを決断した彼らが、全国9都市を廻るワンマンツアー『Amaryllis Bomb 2019 -独立宣言-』を、3月3日、柏PALOOZAからスタートさせた。ツアー開始直前には、各種ストリーミングサイトにて、アルバム『AB TO THE FUTURE』の配信もスタート。そこに込めた今の思いをすべてぶつける熱狂的なステージを繰り広げた。
Amaryllis Bomb・DJ KOUKI
開演10分前。まずはDJ KOUKIがステージに姿を現わし、DJプレイでフロアの熱気をがっちり高める。そして、アルバムのオープニングトラックでもある「BURNING」がスタートすると、SGWとYUKONが登場。大歓声を受けつつ快調に飛ばしていく2人は、フロアを埋め尽くすオーディエンスの姿を見て満面の笑みを浮かべていた。そのまま「What's bomb」になだれ込み、ぐんぐんと高まっていった熱狂は、続く「Action」で一気に爆発。オーディエンスの大音量の声に応えるように、SGWもYUKONもフロアに身を乗り出す。
Amaryllis Bomb
この日のセットリストは、過去曲を交えつつも、アルバム『AB TO THE FUTURE』の収録曲がその大半を占めていた。フロアとのコール&レスポンスを交えた「French Fly」も、身体を横にしてスノーボードに乗る動きを繰り広げた「SNOW GANG」も、音源では浮遊感たっぷりだったものの、強烈な低音を轟かせて別の顔を見せた「DRINK COKE」も、最新トラックはトレンドを加味したスタイリッシュなものばかり。それらを彼ららしいパフォーマンスを交えながら次々に放っていく。また、『AB TO THE FUTURE』は独立後初のアルバムということもあり、リリックに込められた意思や想いも相当熱い。踊りまくりながらバチバチの野心を炸裂させた「CONTINUE」も、「俺たちは未来へ行くぜ」の一声から幕を開けた 「TO THE FUTURE」も、ここから自分達の足で前へ進んでいく意思に満ち満ちていて、胸を熱くさせられた。そしてなによりも、そんな力強いメッセージをぶつけながらも、とにかく楽しそうにライブをしている3人の姿が印象的で、このツアーを、この瞬間をとにかく待ち侘びていたことがひしひしと伝わってきた。
Amaryllis Bomb・SGW

Amaryllis Bomb・YUKON

SGW、小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)
マイクスタンドを前に歌ったメロウな「Stay with me」を終えると、「(この曲は)マイルドだよね」とSGW。「けど、俺はどっちかというと、マイルドというよりは、ワイルドって感じ?」と話すと、DJ KOUKIが流したのは「World Wild」。そして、この日のゲストである夕闇に誘いし漆黒の天使達の小柳が、上半身裸で姿を現わした。SGWも負けじと上裸になり、2人はどちらがワイルドか競い合う。小柳がパイプイスをギターに見立ててエアギターを披露すれば、なぜかボロボロのパイプイスを手渡されたSGWも上に乗って挑発する。大盛り上がりで曲を終えたが、俺のほうがワイルドだとまったく譲らない2人に向けて、DJブースで見ていたYUKONが「もう1回やれば?」と提案。言ってもハードに動き回るのもあって「いやいや……」とあまり気乗りしていない2人のところに、DU KOUKIがもう一度「World Wild」をスピン。これは打ち合わせになかったようで、半ばやけくそなSGWと小柳はステージからフロアに降りて暴れまわったり、戻ってくるときにオーディエンスを捕まえてそのままステージの上にあげたりと、大興奮のパフォーマンスを繰り広げた。そこから突入していった「Majika!?」では、DJブースの端に立ち上がってフロアを煽るSGWに、ヘッドバンギングをしまくるYUKONに、DJ KOUKIもマイクを持って盛り上げ、この日一番の熱狂を生み出していた。

Amaryllis Bomb

残すところあと2曲となったところで、独立してから今日までを振り返る2人。話によると、独立後に自分たちで会社を設立し、アルバムを2ヶ月という急ピッチで制作したとのこと。また、以前から独立する意思はあったそうなのだが、そこには葛藤や重圧もあったそうだ。そんな中、「独立して、また新たにゼロからスタートだと思っていたけど、見慣れたお客さんもたくさんいるし、初めて来てくれた人もいる。無事に今日を迎えられて本当によかった」と安堵の表情を浮かべながら話す。そして、「日本にはいろんなアーティストがいて、これからはその人たちと戦っていかなきゃいけない。なので、是非みなさんの力を僕たちにくれたらと思いますので、これからよろしくお願いします!」と話すと、その言葉に応えるように、客席からは大きな拍手が送られていた。
Amaryllis Bomb・SGW
Amaryllis Bomb・YUKON
Amaryllis Bomb・DJ KOUKI
今の胸の内を伝えた後、「Independent」へ。この曲は、独立をしたときにいろんな思いを抱えていたSGWが、その胸中をSNSや動画で発信するのではなく「俺はマイク握ってちゃんと音楽やってるし、ラッパーとしていいたいことは曲にしよう」と思い、制作したものだ。儚いピアノの音色がループする中で、<いつか大きな花を一緒に咲かせよう> <先はそんな暗くない>と前を向いてラップするSGW。そして、アウトロで「また夢の続きを話すから、俺らについてきてください」と告げて曲を終えると、間髪入れずにYUKONが話し出した。「今年の初めにすごくつらい出来事があって。大事な友達を失ったけど、あいつも俺らのことをきっと応援してくれていると思うし、この曲があいつに届くように歌いたいと思います」。そんな言葉から始まったのは「月光」。時折空を見上げ、涙で言葉を詰まらせながらもラップするYUKONと、言葉のひとつひとつを力強く発するSGW。「ちゃんとサヨナラは言えなかったけど、また会えると信じて、これからも俺たちは頑張っていこうと思います」。その誓いの言葉を残し、この日のライブは幕を下ろしたのだった。
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb
ツアー『Amaryllis Bomb 2019 -独立宣言-』は、4月27日・札幌KRAPS HALL公演まで続くことになっている。様々な思いと共に、一歩一歩、確実に前に進み出した彼らの今と、その先に待つ未来を、ぜひとも多くの人に見ていただきたい。

文=山口哲生 撮影=大橋祐希

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