舞台『十二番目の天使』開幕~井上芳
雄が人間の希望と再生の姿を描く
写真提供:東宝演劇部
二人のいない世界に絶望したジョンは、絶望のあまり人生に幕を下ろそうとした時、幼馴染のビル(六角精児)が訪ねてくる。ビルは地元のリトルリーグのチーム監督を引き受けてくれるよう、ジョンに頼みに来たのだった。
そのチーム、エンジェルスの監督を引き受けることにしたジョンは、ティモシー(大西統眞・溝口元太※Wキャスト)という少年と出会う。十二番目のメンバーとしてチームに選ばれた彼は体が小さく、運動神経も悪かったが、決してあきらめることなく人一倍練習に励んでいた。そんなティモシーにリックの姿を重ねたジョンは、チームの練習とは別に、ティモシーに個人練習をつけることを提案する―。
初日前日に行われたゲネプロの模様をレポートしよう。なお見学したゲネプロではティモシー役を溝口が演じていた。
ジョンを半ば強引に連れ出そうとするビルは、あえて「お前のため」ではなく「困っている俺のため」であることを強調しながら、ジョンを日の当たる場所へと連れ出す。幼馴染として、また傷ついた人間に対する本当の優しさもって接するビル役を六角が嫌味なく演じ、またジョンの家の掃除をするお手伝いさんローズ、さらには亡くなった妻サリーの幻も言葉を選びながらもジョンに前進を促す。ローズ役の木野花、サリー役の栗山千明が紡ぐ言葉はどれも愛にあふれていた。
SPICE
SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。