3月16日@『ビクターロック祭り2019』(THE BACK HORN)  photo by タマイシンゴ(SOUND SHOOTER)

3月16日@『ビクターロック祭り2019』(THE BACK HORN)  photo by タマイシンゴ(SOUND SHOOTER)

『ビクターロック祭り2019』、
12,000人を大熱狂させて終幕

【ROAR STAGE レポート】

琴音

琴音

いよいよ始まった『ビクターロック祭り2019』。ROAR STAGEで最初に音を鳴らしたのは、昨年「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2018への挑戦~」でグランプリを獲得し、今月6日にメジャーデビューE.P.『明日へ』を発表したばかりの女子高生シンガーソングライター・琴音だ。本日は、ギター/ベース/キーボード/ドラムのバンド編成で登場。1曲目は「戯言〜ひとりごと〜」。弾むリズムが愛らしい、朝に似合う朗らかな曲だ。ROAR STAGEに行き渡るのびやかな歌声を聴いて、フロアには徐々に人が増えてくる。ここで琴音が「ビクターロック祭りに出させていただくのは2回目で、すごくたくさんの方にお会いできてとても嬉しく思っています」と挨拶。昨年は、緊張のあまりニッパーくんを見つめながら歌っていたそうだが、慎重に言葉を選びながら話す姿を見る限り、今年もどうやら緊張しているよう。しかし歌っている時の姿は非常に堂々としたもの。『明日へ』収録曲のなかで特に大事にしている曲だと紹介された「ここにいること」でのボーカルは特に素晴らしく、曲が進むにつれドラマティックになっていくバンドサウンドを、牽引していくほどの頼もしさがあったのだ。旋律の隅々にまで息を、命を吹き込んでいく彼女の歌は、素朴さと神聖さが共存しているような、独特の美しさがある。その美しさに囚われ、ステージをじっと見入るオーディエンスの姿も印象的だった。
Text by蜂須賀ちなみ

<セットリスト>
M1戯言〜ひとりごと〜
M2ここにいること
超能力戦士ドリアン

超能力戦士ドリアン

続いては琴音と同様、昨年『ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2018への挑戦~』でグランプリを獲得した、超能力戦士ドリアンが登場! 定刻になると「今から超能力戦士ドリアンのライブが始まるよ~!」と、ドラムセットの上に座るマスコットキャラクター・ピーチボーイが元気に挨拶。そのあとやっさん(ギターとボーカル)、けつぷり(ギターとコーラス)がステージに駆け込んできた。「いいですかー!?」→「興味あるー!」と恒例のコール&レスポンスを挟み、「恐竜博士は恐竜見たことないでしょ」から演奏がスタート。ここでおーちくん(ダンスとボーカル)が登場……と思いきや、ステージに出現したのは恐竜3体であり、そのうち、ティラノサウルスがセンターに陣取り唄い始める。何だ、この訳の分からない絵面は。そうやって戸惑う隙すら与えないハイテンションソングで盛り上げると、曲の後半でおーちくんがティラノサウルスの着ぐるみを脱ぎ、姿を現したのだった。軽いMCを挟み、2曲目は「いきものがかりと同じ編成」。普通にカッコいいギターソロ(けつぷり)のほか、クラッカー(やっさん)、ドラム(同期)もソロを披露。そうしてサビに突入した頃にはみんながバンド名を連呼している、というある意味おそろしい設計の自己紹介ソングだ。持ち時間が10分しかないのに演奏を中断し、「これ、バリ売れてるみたいやん!」と写真撮影をする場面も。どこまでも自由な3人に翻弄されっぱなしであった。
Text by 蜂須賀ちなみ

<セットリスト>
M1恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
M2いきものがかりと同じ編成
DJやついいちろう

DJやついいちろう

ROAR STAGEを盛り上げるためにやってきたDJやついいちろう(エレキコミック)。お馴染みの衣装である三国志の諸葛孔明のコスプレで現れた彼を、観客の熱い拍手と歓声が出迎えた。「イエーイ! ビクターからCDを出して今年で10周年。みんなとお祝いするぞー!」と挨拶をして、オープニングにプレイしたのは電気グルーヴ「Shangri-La」。続いてレキシ「きらきら武士」へと突入すると、掲げた腕を左右に振りながら、明るい笑顔を煌めかす人々の輪がさらに広がっていった。

時折、DJブースから飛び出して、かぶっている金色の冠を輝かせつつ元気いっぱいに踊っていたやつい。フロアで身体を揺らしていた観客も実に楽しそう。途中でエレキシ(DJやついいちろう×レキシ)「トロピカル源氏」がプレイされたのだが……誰の曲なのかよくわからず、戸惑っていた観客。やついは自身のオリジナル曲に対する予想通りの微妙な反応を感じて大喜び。「冬だと思ってたけど、ここ夏だね。ぴったりの曲をやります!」と言って何度もリピートして観客を爆笑させている内に、フロア内から起こった《インザハウス!》という歌声が大きくなっていった。

ラストは、スペシャルゲストとしてSundayカミデが登場。彼とやついいちろうによるユニット「ライトガールズ」の曲、「夜のベイビー」が披露された。一緒に歌いながら笑顔を交わし合っていた2人の仲のよさが自ずと伝わってくる。歌い終えると、手を振りながらステージを後にした彼らを見送った明るい拍手。数々のフェスを熱く沸かせ続けているやついの魅力が多彩に示されたパーティータイムであった。
Text by 田中大
四星球 

四星球 

ROAR STAGEの四星球は、北島康雄(シンガー)がコック姿で、まさやん(ギター)、U太(ベース)、モリス(ドラム)は野菜・肉・魚に扮して登場。いったい何事だ?と思いきや、北島、「『ビクターコック祭り』やと思うて来てもうた!」と大慌て。四星球が「ビクターロック祭り」に出演するのは、大阪公演を含めると今回で4回目。もはやこのフェスに、そしてビクターに欠かせないバンドになりつつあるというのに……。盛大な勘違いに場内爆笑である。

「金にならないバンドをお世話してくれるビクターにどう恩返しするか。それはもう、今日盛り上げることだと思ってますので!」と「クラーク博士と僕」でスタート。「25分間で4曲演奏」という彼らにしては高密度なセットリストを駆け抜けた。最新アルバム収録曲「いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど」では、北島が観客の男性に肩車されフロアを一周。「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」では、「V.I.C.T.O.R.ビクター!」と歌詞を替え、巨大ニッパーくんも登場。本来の主役であるまさやんが、その陰に追いやられてしまうというまさかの展開もあった。いずれもこのバンドのライブでしかまず見ることのない光景だ。

ラストには「go!go!vanillasのプリティの復活を祈願しまして、やらせてください!」と「妖怪泣き笑い」が演奏された。北島曰く、以前ファンから「リウマチで腕が上がらなかったのに四星球のライブの時は腕が上がった」という報告を受けたことがあるらしく、ここで「四星球は医療です」と堂々宣言。実際効用があるかどうかは分からないけども、そういう、まっすぐな情熱、理屈で説明できないきらめきが四星球のライブにあることは確かだ。今日のライブを観た人は彼らのライブが「笑えるのに泣ける」所以を改めて噛み締めることができたのではないだろうか。某3分間クッキングのSEとともに去る4人の背中がいつもより大きくみえた。
Text by 蜂須賀ちなみ

<セットリスト>
M1クラーク博士と僕
M2いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど
M3鋼鉄の段ボーラーまさゆき
M4妖怪泣き笑い
■zo-sun park(『ワン!チャン!!オーディション』グランプリ
zo-sun park

zo-sun park

インディーズバンドを幅広くサポートするEggsとビクターが行ったオーディション「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2019への挑戦~」でグランプリを獲得した北海道・札幌の3人組zo-sun parkという説明をダイノジのふたりが行ったうえに散々フロアをあっためたあと、ぬるぬるっとステージに登場した田辺亮輔(Vo・G)、キクリン(B・Cho)、ヤマセ・ハン(Dr・Cho)。軽いギターのフレーズとバイオリンベースが鳴らすぬくもりのある音と、意外なほど硬質なドラム。に、ちょっとふにゃっとした歌声とほんとにひとつかふたつのことしか言っていない歌詞。全部足すと生活感のあるローファイ・オルタナ・サイケ・ロックになる。んなわけないと思うが、このzo-sun parkはそういうバンドである。

「こんなたくさんの人に拍手されることなんてないんで、緊張します」と言いながらまったく緊張しているようには見えない田辺の佇まいもいい感じだし、何より曲がよい。底抜けにポップなわけでないけれど、どの曲にも耳に残るキラーなメロディラインが仕込まれている。「ランドセル小学生」にはじまり、「TOKERU」「シャイボーイ」など全6曲。初々しいというよりどこか飄々とした姿が新世代を感じさせるバンドだった。気になる人はYouTubeなどでチェックしてください。
Text by 小川智宏

<セットリスト>
M1ランドセル小学生
M2火星
M3 TOKERU
M4シャイボーイ
M5 yummy
M6恋のキューピッド

OKMusic編集部

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