須澤紀信 息遣いまで伝わるライブハ
ウスで坂本タクヤを迎えた主催ライブ
『キシン伝心 Vol. 1』レポート

須澤紀信 presents “キシン伝心 Vol. 1”

2019年3月9日(土)下北沢440
昨年2018年9月に1stアルバム『半径50センチ』をリリース。まさに身の周りで起きた出来事や情景を描いた歌詞、近い距離から温もりを届けるような優しい歌声で話題を集める、シンガーソングライター・須澤紀信が、3月9日(土)下北沢440にて自身主催のイベント『キシン伝心 Vol.1』を開催した。1月26日(土)に行われた『キシン伝心Vol.0』に続き、第二弾となる今回は、ゲストパートナーにピアノ弾き語りシンガーソングライター・坂本タクヤを迎え、歌とトークで集まったお客さんを大いに楽しませた。
須澤紀信
開演時間を少し過ぎた頃、須澤紀信がステージに登場。簡単な挨拶から、「大好きなアーティストを招いて、この日だけのユニットを組んで。弾き語りとは違う景色を見ていただきたいです」とイベント趣旨を語ると、デビュー曲でもある「はんぶんこ」のギター弾き語りでライブがスタート。アコギの温かいサウンドに乗せた、優しくも力強く芯のある歌声で聴かせる須澤。自分の弱さも描きながら、大切な人と出会えた喜びを歌うこの曲を聴くだけで、真っ直ぐで純粋な彼の魅力的な人柄も伝わってくる。
坂本タクヤ
続いて、ゲストパートナーである坂本タクヤを呼び込み、紹介とトーク。この日に向けたライブ配信で、2人のユニット名が“生イルカメロン”に決まったことを報告すると、生イルカメロンで坂本のオリジナル曲「日々」を演奏。ピアノの弾き語りで歌う坂本に、ギターとハーモニーで寄り添う須澤。美しく重なる2人の歌声と互いを引き立てる息の合った演奏に、観客から大きな拍手が起きる。
影響を受けたアーティストを語るトークコーナーでは、須澤が馬場俊英斉藤和義、坂本が森山直太朗中孝介の名前を上げ、斉藤和義「空に星が綺麗」と中孝介「花」を2人でカバー。互いのルーツが見える歌と演奏が、それぞれへの興味と理解をさらに深める。お客さんからの質問コーナーでどんな質問にも笑顔で気さくに答えてアットホームな雰囲気を作ると、坂本のオリジナル曲「帰ろうか」では、須澤が5歳から習っていたというバイオリンを演奏。温かく物悲しい夕焼け感のある楽曲に感傷的な歌声が感情を揺さぶると、バイオリンの美しい調べが広がりや奥行きを与える。
須澤紀信
続いて須澤がふたたびアコギを携え、2人で披露したのは須澤のオリジナル曲「いいんだよ」。ゆったりしたミディアムな曲調に乗せて、温かく伸びやかな歌声を聴かせる須澤。日々の不安を抱えるキミを包み込み、<いいんだよ>と全てを肯定するこの曲。坂本のピアノも美しく響く立体的なサウンドに乗せて、一人ひとりに優しく語りかけるように届けると、会場中がステージに魅了される。
ラストは須澤がこの日のために、坂本をイメージして書き下ろしたという、生イルカメロン唯一のオリジナル曲「アソート」。「“はんぶんこ”も詰め合わせを意味する“アソート”も、実は同じ意味なんじゃないかと思った」と須澤が語り、「すごい良い曲で驚いた」と坂本が感想を述べたこの曲。たっぷり愛情を詰め込んだ穏やかなラブソングは、須澤の温かみのある歌声と坂本のハイトーンが心地よく重なり、2人のイメージにピッタリ。ドラマチックな展開も聴き応え十分で、この日限りではもったいないくらいの素晴らしい楽曲でライブを締めくくると会場は温かい拍手で包まれ、イベントは大団円で幕を閉じた。
坂本タクヤ、須澤紀信
5月18日(土)には渋谷RUIDO.K2にて、『2ndワンマンライブ ~ボクの街、キミの街~』を開催する須澤紀信。音源で聴くのももちろん良いが、息遣いまで分かる小さなライブハウスだからこそ伝わる温かみ、生でしか観ることのできない表情があることをこの日のライブで再確認した。半径50cmとはいかないが、限りなく近いところからキミに温もりを届けてくれる、須澤紀信のライブをぜひ体感して欲しい。
取材・文=フジジュン

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