ニコラス・エドワーズ

ニコラス・エドワーズ

【ニコラス・エドワーズ
インタビュー】
日本で大人になった
自分自身の等身大の想いを
歌いたかった

タイトルの“うわノそら”は
プラスでもありマイナスでもある言葉

“うわノそら”というタイトルはあとから付けたんですか?

制作の途中で思い付きました。“夢中”というコンセプトで作りたかったので、“夢心地”とかいくつか候補はあったんですが、今回のアルバムにはきれいすぎるような気がしたんです。“上の空”には“心ここにあらず”という意味がありますが、何かに夢中になると他のことに気が向かなくなるのは、プラスでもありマイナスでもある言葉だなって。良くも悪くもっていうニュアンスのタイトルを探していたので“これだ!”って思いました。

なるほど。タイトルを思い付いたきっかけの曲はありますか?

1曲目の「籠鳥雲を恋う」ですね。

“籠鳥”は籠の中の鳥という意味ですか?

実は、そういう諺があって。

す、すみません。知りませんでした(笑)。

ははは。大丈夫ですよ。僕はデビューアルバムのタイトルを“Skies”にしたぐらいに空が好きなんです。空には線引きがないし、国境も関係ないから。空を飛んでみたいという想いで歌詞を書いていたら“閉じ込められた鳥は自由を強く望む”という意味のその諺が思い浮かんだんです。“雲を恋う”というのが僕的にはポイントで。個人的解釈ですが、閉じ込められた鳥は晴れ渡った空だけではなく、曇っていても風が吹いていても自由が欲しいんじゃないかと。それで、《雲でも空は広いんだよ》と歌っているんです。

ニコラスさんの心境とも重なっているんですか?

僕も不自由を感じることがありますし、多くの人が閉じ込められているような心境になることがあると思うんです。でも、そういう時って恋愛や仕事の場合でも、自分自身がその環境を許してしまっていることが多いんじゃないかって。

深いですね。

そういう時って恩返しができていないとか、まだまだいけるかもしれないとか、いろんな葛藤が閉じ込める檻になってしまっている。その扉をバーンと開けるような勢いのある曲にしたいと思っていました。『うわノそら』は独立宣言で始めたかったので、この曲を1曲目に持ってきたんです。

とても重要な曲なんですね。サウンドにはどんなイメージがありました?

Aメロに関しては洋楽色が強くて、色気がある雰囲気にしてサビで開ける感じにしたかったんです。僕が世に出たきっかけとなった『のどじまんTHEワールド!』に一緒に出演していたポール・バラードさんが素晴らしいアレンジにしてくれました。

最初の2曲は特にニコラスさんの個性が爆発していると感じました。2曲目の「親不孝」は曲調がお洒落で、ロマンチックなラブソングが似合いそうなのに“ぐびぐび飲んじゃいなよ”とか歌っていて。

(笑)。シュールな曲にしたかったんです。歌詞は実体験で、福岡の親不孝通りにいるときに思い付いたんですよ(笑)。

親不孝通りで飲んでいる時に?

そうです。2017年の『Acoustic Tour Autumn 29 秋のライブハウス・ツアー』で全国を回っていた時に福岡公演と京都公演の間が1週間ほど開いていたので、九州でひとり旅してたんですよ。福岡にいたのがちょうどハロウィーンで、さすがに寂しかったので東京から友達を呼んで仮装して遊んだんです。

ノリノリな夜だったんですね。ニコラスさんも仮装して?

ドン・キホーテで買って小悪魔みたいな格好をしてました(笑)。いろんなお店の人と仲良くなってディープな夜を過ごしていたんですけど、24時ぐらいに切り上げてホテルに帰る途中でコンビニでお水を買おうとしたら、ちょうどお世話になったラジオ番組のDJの方に遭遇して“また繰り出すか”って(笑)。

《コンビニ横でしゃがみこんで》っていう歌詞が出てきますもんね。

たむろってはいなかったですけど(笑)、みんな仮装していてちょっと異常な空間だったので、その奇妙な感覚をこの曲で表現したかったんです。なので、ストリングスを入れて、R&B、EDMを融合させたロマンチックなサウンドにぶっ飛んだ歌詞が乗っている。そのミスマッチ感があの夜を表現していて、僕自身、アルバムの中で一番聴いている曲です。

ちょっとぶっちゃけた歌詞で、アルバム『GO EAST』(2016年11月発表)の中の「モナリザ」を思い出しました。

ある意味、「モナリザ」の延長線上にあるかもしれないですね。綺麗事だけではないんだけど、最終的にきれいなことにつながっていく、本当のことを歌にしたかったんです。

3曲目のバラード「一番好きな傷跡」も“思い出”じゃなく“傷跡”と表現しているのがすごいなと感じました。

過去の辛かった経験も、いつか懐かしく思える時が来ると思うんですよね。タイミングが合わなかった恋を描いた歌で、傷付いてしまったけれど、自分の中に残っているさまざまな傷跡の中で、君との恋の傷跡が一番好きっていう曲です。

今のニコラスさんだから歌えるラブソングですか?

「籠鳥雲を恋う」とこの曲は特にそうかもしれないですね。ポジティブな曲が多いので、アルバムに入れるかどうか悩んだんですよ。ただ、「一番好きな傷跡」は切ないけれど、僕の中では悲しい曲ではないんです。恋愛に限らず人間関係に置き換えてもらってもいいんですけど、辛かった経験もそういう環境に身を置いた自分も許す曲だと思っているんです。結果、“一番好き”と言えているのが大事な点で、いい思い出に変えられる自分に成長できた。そんな希望のある歌だと思ったので入れました。最初の3曲は感情の起伏が激しいですけど、やさしい歌も出てきますから(笑)。

リード曲は「突然、桜」なんですよね。

そうですね。これは恋に落ちている自分が好きな主人公の歌。去年の春、渋谷を歩いている時に新入社員の女の子たちを見て思い付いたんです。スーツに着られている感じがかわいかったのと、ちょうど桜が咲いている時期だったので、恋に落ちた感覚を《突然、桜が咲いたみたいな》って歌っているんです。

桜ソングは数々あれど視点がユニークで、サビで突然開ける展開もポイントですね。

突然感が欲しかったんですよ。横揺れのグルービーなAメロから、サビはポップで盛り上がる感じで。和楽器も入れて、歌詞そのままのサウンドになったと思います。

MVはどんな内容になっているんでしょうか?

真っ白な部屋で僕が演じる主人公がひたすら妄想しまくっている映像なので、多分笑えると思います。いろんな小道具やベタな感じで桜吹雪も出てきます。

ヒップホップと日本のお祭り感が融合した「わっしょいジャパン!」とか和の要素が取り入れられた曲も多いですよね。

初めてラップをしているし、ファンの方もびっくりすると思うんですけど、ライヴで歌ったり叫んだりして、“みんなで楽しもう!”っていう曲を入れたかったんです。

ロック色の強い「夢中×無敵」のような曲も入っているし、本当にバラエティーに富んでいますね。通常盤SUN に収録されているボーナストラック「全力少年」(スキマスイッチ)と通常盤MOONに収録されている「世界が終るまでは・・・」(WANDS)のカバーについても教えてください。

「全力少年」は『のどじまんTHEワールド!』の決勝まで進んだら歌うはずだったんですけど、その時は予選で落ちてしまって歌えなかったんですよ。夢中すぎて上の空だったのか受からなかったので、失敗を忘れることなく糧にしていこうという想いで入れました。「世界が終るまでは・・・」は優勝曲ではないですが、SNSで『のどじまんTHEワールド!』の映像がアップされたら何百万回も再生されていたり、のちにアコースティックバージョンでもカバーしたり、夢中になって良かった成功例なので入れました。

なるほど。WANDSのメンバーだった柴崎 浩さんがゲスト参加して熱いギターソロを弾いていますね。

そうなんですよ。今作にも参加していただいているベーシストのIKUOさんから“柴崎さんに弾いてもらおうと思ってるんだ”って言われて、びっくりしました。心から感謝し、光栄に思っています。

では、最後にツアー『ニコラス・エドワーズ「今日も上の空です。」うわノそらツアー2019』についてメッセージを。ニコラスさんの生の歌はフェイクも含めて、本当にすごいですもんね。

ありがとうございます。“上の空”なので気負わずに(笑)。「親不孝」の歌詞にあるように《人はみんな違うけれど 違うことで同じなんだよ》というのを伝えられる空間にしたいですね。寂しさ、もどかしさ、不安を会場の入口に置いて“雲の上で楽しもうぜ!”っていうアゲアゲなコンサートにしたいと思ってます。この2年はアコースティックライヴをやってきたので、久々に…

ニコラス・エドワーズ、弾ける?

はい。弾けちゃいます!(笑)

取材:山本弘子

アルバム『うわノそら』2019年3月27日発売 USMジャパン
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UICZ-9114 ¥4,320(税込)
    • 【通常盤SUN】
    • UICZ-4449 ¥3,240(税込)
    • 【通常盤MOON】
    • UICZ-4450 ¥3,240(税込)

ライヴ情報

『ニコラス・エドワーズ「今日も上の空です。」うわノそらツアー2019』
4/28(日) 神奈川・横浜YTJホール
5/05(日) 広島・広島CLUB QUATTRO
5/06(月) 愛知・愛知芸術劇場小ホール
5/11(土) 福岡・スカラエスパシオ福岡
5/12(日) 大阪・ナレッジシアター大阪
5/19(日) 宮城・仙台Darwin
※全カ所2公演

『ニコラス・エドワーズ ニュー・アルバム『うわノそら』リリース記念予約会 ミニライブ&握手会』
3/26(火) 東京・エンタバアキバ
3/27(水) 東京・ヴィーナスフォート
3/28(木) 埼玉・イオンモール北戸田
3/29(金) 神奈川・モザイクモール港北
※終了分は割愛

『Fan Meeting「REBORN:夢中×無敵」』
3/30(土) 東京・原宿クエストホール
3/31(日) 大阪・THE LIVE HOUSE soma
※全カ所2公演

ニコラス・エドワーズ プロフィール

ニコラス・エドワーズ:1992年7月31日オレゴン州ヒルズボロ生まれ。外国語の授業で日本語を学び、14歳でJ-POPの魅力に目覚める。2011年、日本テレビ系列『のどじまんTHEワールド!』に出演し、第2回放送で優勝。以後、同番組には15回連続で出場し、3度優勝を果たした。13年、20歳でCDデビュー。18年11月、新たにユニバーサルミュージックにレーベルを移し、19年11月に最新シングル「Tears」をリリースした。ニコラス・エドワーズ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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