【特集 インタビュー vol.2】植田真
梨恵、音楽制作の源を語る「ひたすら
たくさん曲が書きたい」

2019年にメジャーデビュー5周年を迎える植田真梨恵が、『祝5周年!5作連続リリース!』と題して濃度の高いアニバーサリーを展開中だ。わずか4ヵ月間の間にリリースされる作品群は、2つの配信シングル、ライブ映像作品、2つのコンセプトミニアルバムという全5作。集大成というにはあまりにも現在進行形を駆け抜ける植田真梨恵自身が反映されたリリース攻勢となる。
BARKSでは、“5周年”“5作連続”に重ね合わせて、“5本のインタビュー”から植田真梨恵のパーソナルに深く迫る。その第二弾は“音楽家:植田真梨恵”。2月20日にリリースされるコンセプト・ミニ・アルバム『F.A.R.』を基に、音楽制作の原動力や、自己表現の根幹について、じっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。なお、
では第二弾の未公開カット33点の写真を掲載中だ。こちらも併せてお楽しみいただきたい。

   ◆   ◆   ◆

■ここまで語りに近い歌って今までない
■本当の意味で“弾き語り”になる

──今回は、コンセプト・ミニ・アルバム『F.A.R.』をもとに、植田さんの音楽観や音楽制作の原動力、自己表現についてうかがいたいと思います。まず、『F.A.R.』は“大人の成長”がテーマだそうですが、どのように芽生えたものですか?

植田:もともと1曲目に収録されている「FAR」という曲は、ずっと持っていたんですね。私は、この曲は人に聴かせるつもりがなかったんですけど、マネージャーさんが気に入ってくれてて(笑)。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ (※画像6点)

──「人に聴かせるつもりはなかった」というお話には合点がいきました。というのは、“「FAR」という曲は初めて植田さん個人のことを語っている歌だな”と思ったからなんですね。これまでは物語を通しての想いや話だったのが、急に“私”の話になったぞっていう。最初に聴いたときに驚きがありました。

植田:“ところで私のことやねんけど”みたいな感じですよね(笑)。本当にそうで、誰かに聴かせたくて作ったというより、心の整理というか。“とにかくこの揺れている感情を曲にしよう”という感じで書いて、こっそりと持っていた曲だったんです。あるときマネージャーさんに、「植田さん、最近、曲を書いてないじゃないですか」って突っ込まれたんです。それに対して、「書いてないことはないんですけど、リリースするような曲でもないんです」って。そうしたら、「それでも出来ているなら聴かせてください」となり。この曲も含めた何曲かを聴いてもらったら、「「FAR」がすごくいい曲ですね」と言ってくれたんですね。「夢のパレード」のBARKSインタビューのときに、「自分の思うキャッチーさと世間に本当に届くキャッチーさが、自分では全然コントロールができないとわかった」っていう話をしたと思うんですけど。

──そうでしたね。

植田:そう気づかされた曲が「FAR」だったんです。自分としてはこの曲が誰かの心に響くとは思っていなくて、だからこそ好き勝手に書いたんですけど。その大切に持っていた曲を、今回『F.A.R.』というミニ・アルバム収録曲としてリリースするにあたって、“大人の成長”をテーマに、ひとつの世界観でアルバムを聴いてもらいたいなと思ったのが、最初でした。

──「FAR」という曲自体は、いつ頃に書いていたものですか?

植田:時期はメジャー・デビューの少し後ですね。

マネージャー:私のところに届いたのは2015年11月ですね。

植田:デビュー1年後ってことなのか。メジャー用にいっぱい曲を書いているとき、この曲はそこに肩を並べられないけれど、“書きたい”と思って書いた曲、書かずにはいられなかった曲だったんです。

──そのくらい、当時のいろんな渦巻いていた思いが形になっていると。

植田:そうですね。時期が時期だったんですよ。家族みんなが、それぞれ自分の道に行くというタイミングで、(福岡県)久留米の実家を引き払うことになったんです。ある意味、実家がなくなっちゃったんですよね。これはみんなが持っている引越しのときの風景だと思うんですけど、「これは捨てるの? 持って行くの?」っていう選択をしながら、家中のものを運び出して、最後にいらないものがトラックに積まれていく。4歳くらいの頃から一度も見てなかったようなでっかいウサギのぬいぐるみとかがトラックの荷台に積まれて、ガタンガタンガタンガタンって行くところを、空っぽになった団地の部屋から眺めていて、“はあ……”って思ったりとか。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ (※画像6点)

──なんとも言えない気持ちですね。

植田:子どもの頃から住んでいた家だったので、そういうものがより印象強くあるんですよね。実家に限らず、たくさん過ごした場所がなくなってしまった経験って誰しもあると思うんです。その街には行くけど、そのものがその場所はもうないというか。家がないから、その街に行く意味もないというか。“思い出の街”になっていくみたいな体験が心を揺らしたんですよね。「FAR」はそのときに書いた1曲だったんです。

──リアルな風景や感情が響く歌詞となっていて、植田さんにとってとても大事な1曲なんですね。サウンド的にはどういうイメージを持っていましたか?

植田:遠くに投げようと思って作っていない曲だということが大きすぎて、あまり客観的に聴けなかったんです。例えば、5分半ある曲なんですけど、自分では5分半という長い時間が何の問題にも思えないし、リフレインが多いんですけど、どこも削りようがない。なので、“この5分半は曲として長すぎるのだろうか?”というふうには考えていなくて。曲として引き出せる限りのドラマチックな展開と、それでいて、もともと持っている淡々とした、なんともないような雰囲気を壊さずに、とは思っていましたね。それで、バンド・アレンジを徳永暁人さんに、ドラマチックなストリングス・アレンジを池田大介さんにお願いして。それが並行して、5分半進んでいく感じというか。

──ドラマチックという言葉通り、ストリングスが加わって曲がうねりを帯びて変わっていくのがいいですね。でも、歌はとても淡々とした日常感があって。日常の中で、背景となるサウンドだけが変わっていくような感覚です。

植田:そんなイメージだったかもしれません。

──アレンジが加わったことで、「FAR」の捉え方に変化はありましたか?

植田:ここまで語りに近い歌って今までなくて。Aメロの語り部分とかは、本当の意味で“弾き語り”になると思うんです。そういう意味では、この曲が持っているエネルギーというのは、アレンジをいっぱい施しても、弾き語りでも、そんなに大きく差はないかなと思います。すごく素敵なアレンジを一緒に作っていただいたし、これからキャンペーンとかで弾き語りでも歌っていくし、ツアーもあるし、ステージが楽しみでもあります。

──なるほど。

植田:あと、“窓際 歌っていたムーンライト”っていう歌詞は、住んでいた団地のベランダでよく『美少女戦士セーラームーン』の主題歌「ムーンライト伝説」をホントに窓際で歌っていたんですね。そこからきている歌詞で。その「ムーンライト伝説」を編曲している池田大介さんに今回のストリングスのアレンジをしていただいたという。

──そんな由縁も! 子どもの頃の思い出とちゃんとつながっているんですね。

植田:間違いなく「ムーンライト伝説」は、『美少女戦士セーラームーン』の中でもすごいパワーを持っていて。そんな池田さんに素敵な編曲をしていただけたわけで。もともとある語り部分の力も含めて、どちらもいいなと思える1曲です。
■歌さえ歌っていけたらと思っているんです
■それはめちゃくちゃラッキーなことで

──これはミニ・アルバム『F.A.R.』収録全曲を通して言えることですが、メロディ・ラインにアップダウンのある独特の植田節が抑えられた曲が多いように感じます。歌も抑えたヴォーカルが多くて。これまでとは手触りが違うミニ・アルバムになりましたが、メロディや歌に対して意識したことはありますか?

植田:そこは前シングル「勿忘にくちづけ」(2018年7月発表)の存在が大きいですね。あの歌は、“空気を気持ち良くしたい”とか、“夏の暑い日に涼しい風が吹くみたいに歌いたい”と思っていた曲で。音楽が流れていることによる心地よさや気持ちよさが、とても大切だなという気づきがあったんです。それまでは、私の感情とか、エネルギー、熱量みたいなもので音楽を発していたんですけど。「勿忘にくちづけ」ができたことで、10秒、20秒、1分……と連続して重なっていく気持ちよさの重大さを感じて。
▲植田真梨恵 画像ページ【2】へ (※画像6点)

──ということは、『F.A.R.』にはインストを除く計6曲が収録されていますが、「FAR」以外は最近書かれた曲?

植田:そうですね。「苺の実」だけが6thシングル「夢のパレード」(2016年発表)のゴーストトラックのアレンジ・バージョンですが、それ以外の4曲は今回アルバムのために書いたものです。

──では、その「苺の実」ですが、なぜまた今回登場したんですか?

植田:ミニ・アルバムのテーマを決めて、その中でいろんな曲があっていいと思っていたんです。例えば、くすんだロマンティカを持って磨いていくような「ロマンティカ」みたいな旅に出る曲があって。しっとりとコーヒーを飲むような、少し寂しさがにじむ「プライベートタイム」があって。何かが変態していく「さなぎから蝶へ」があって。私の大切な猫のララさんに向けて書いた「softly」という曲があると考えたとき、“大人の成長”というテーマの中で、「苺の実」がとても合うと思ったんです。

──サウンド的に大きく成長した曲でもあります。

植田:「夢のパレード」に収録したのがデモバージョンで、“いつかちゃんとしたカタチになるまで待ってね”という気持ちもあったので(笑)、その完成形というか。

──アレンジ展開がマジカルですし、パイプオルガンやマーチング、ウッドベースやラジオボイスなど、目まぐるしい。

植田:編曲してくれたjoe daisqueくんも、ひたすら「よくしたい!」ってずっと言ってくれていたので(笑)。その気持ちが表れているような、とても素敵なアレンジにしてくれました。
▲植田真梨恵 画像ページ【2】へ (※画像6点)

──“古い家にサヨナラ告げ いざゆかん 新たなる地へ”と歌って旅に出ようとする「ロマンティカ」は、気持ちのいいビート感が肝となったロックチューンで。でも、勢いはあれど、どこか平熱感で歌を聴かせていく曲ですね。

植田:「FAR」が狙わずに作ったものなので、他の曲もそのテンションと合わせたかったということが大きくて。ひたすら自分の中にある気持ちをなんのフックもなく描いていくことが、まずは自分にとってのハードルというか。このミニ・アルバムでは、それがひとつ大切な決まりであり、条件だったかなと思います。

──それがまた難しさでもある?

植田:気持ちがいいものに仕上がらない限りは聴いてもらえないと思っていたので、まず、ミックスができ上がるまでがとても心配でしたね。特にフックというか、面白いって思ってもらえる部分がないと、この音源は再生してもらえないのではないかって思っていたんです。最後のインスト「(EXIT)」も、もし他の曲たちがもっと気持ちいい仕上がりにならなくて、歌ってないような仕上がりだったら、しっかりとした歌を入れていたかもしれない。とにかくシンプルに、抱えている言葉で曲を書いて、耳がとても気持ちいいものを作っていきたかった。今、曲が出揃ってみて、“ちゃんと歌っているアルバムができたな”って自分では思えているところです。

──「ロマンティカ」では、“何をすべきかは台本にない ほんとに大丈夫?”と歌っていますが、今の植田さん自身の心境的にも、そういうところがあるんですか?

植田:これは、いつなんどき、誰にでも言えることだなと思うんです。今も何をすべきか台本にないし。私の場合はアップダウンがあるので、“絶対大丈夫!”っていうときと、“大丈夫かな……”っていうときの差が大きいんですけど。でも、どちらかというと私は台本がなくて大丈夫なタイプ(笑)。私は幸い、たまたま歌が好きで、歌さえ歌っていけたらこの命は大丈夫だって思っているんですけど、それはめちゃくちゃラッキーなことで。何をすべきか、本当にわからないほうが絶対に不安だなって思いますね。同年代の友だちや自分の両親とかが、今後どうしていくかを決めるタイミングで、かなり迷っている姿を見る機会も多かったので、出てきた歌詞だと思います。

──そうだったんですね。植田さんは早い段階から、自分自身の行く道に迷いがなく、その道を突き進んでいるんですね。

植田:はい、いいなづけがいたようなものですね(笑)。
■“いつの間にか遠くまで来たな”
■というところに集約されている

──「FAR」では思春期の植田さんの話が出てきますが、その時期ならではの、自分の内側で起こっている混沌とした思い、葛藤するような時間って、長くあったなと感じますか?

植田:うーん……思春期か。長かったと思いますね。ただ、全曲に言えるんですけど、自分に起きている現象を歌っているので、だからなに?っていう感じではあるんです。変わっていないつもりでも、変わっているし、変わることが悪いことじゃないし、なんとでも言えすぎて。例えば、「さなぎから蝶へ」でも歌っているんですけど、“いつの間にか遠くまで来たな”っていうところに集約されていると思うんです。意図せずになのか、がむしゃらになのか、無意識になのか、歩いていたらいつの間にかすごく遠いところまで来ている感じというか。ぼんやり海辺を歩いてたら、夕方になっていつの間にか波が高くなっていたりするような。それくらいの変化というか。それって自分ではあまり気づかない部分でもありますよね。逆に、“私ってすごく変わったなあと思うところに意識を持っていく”ことが、大人になったということなのではないかなと思っていて。それ自体は別に寂しくもないし、当然のことで。なので、「FAR」を作った時、実際に思春期だったと思うんですけど、今もまだ思春期かもしれないですしね(笑)。

──なるほど(笑)。

植田:わからないですけどね。その成長みたいなものが大切な要素なんだなと思って、この作品を作りました。
▲植田真梨恵 画像ページ【3】へ (※画像6点)

──曲に戻りますが、「プライベートタイム」は一転してゆったりとした空気があって、穏やかで贅沢なアンサンブルを楽しめる曲で。

植田:今回、気に入っている1曲です。

──“プライベート”というタイトル通り、半径が小さめで、その閉塞感がいいグルーヴを生んでいる曲ですね。サウンド的にどういうイメージを?

植田:これはミニ・アルバムに向けて曲を書いている中で、ぽろっと出来たんです。思いのほか寂しい曲が出来たというか……アルバム『ロンリーナイト マジックスペル』の「I was Dreamin’ C U Darlin’」を編曲していただいた廣瀬武雄さんに、なんとなくその感じが伝わるだろうなと思いながら、アレンジをお願いして。最初のデモでは、エレキギターが鍵盤の打ち込みで入っていたんですけど、その質感が絶妙に良くて。“これを実際にレコーディングで録り直して良くならなかったらどうしよう”っていうくらいデリケートで、空気の乗り方や音の運びが大切な曲だったんです。スタジオでそれ以上のものを録らねばと、本当にドキドキしながらレコーディングした曲で、その感じはミックスまでずっと続きました。何かの音量感が違うだけで、陽気な曲にもなるし、寂しくもなるんですよ。ここで音量が上がらなかったらスケールがもっと小さくなったとも思うし。そういう細かなところがとても大切な曲でした。今回は、どの曲もそうなんですけど、特に「プライベートタイム」はその要素が大きかったです。

──植田さんが原曲を書いたときから、音的な距離感とかのイメージがあった?

植田:懐かしい雰囲気というのは目指していましたね。ずっと同じレコーディングエンジニアさんとやっているんですけど、例えばマイク選びやコーラスを重ねる時にも、「ノラ・ジョーンズのこのアルバムのこの曲の感じにしたいんです」とか「ここはこのコーラスワークの雰囲気を出したいんです」とか、いろいろ話し合いながらここまで積み重ねてきたので。今回のアルバムに関しては、共有できる音楽的な要素がこれまでより大きかったということも、大きいですね。

──そして、先ほど話にあった「さなぎから蝶へ」もまた別の意味で新しい感じでした。このキラッと懐かしいシンセが効いたポップな感じって、今までやってこなかった部分だなと思ったんです。

植田:「さなぎから蝶へ」は楽しい曲にしたかったんです。『F.A.R.』に続けてリリースするミニ・アルバム『W.A.H.』のコンセプトは、“和”なんですね。それで、『F.A.R.』のほうは洋楽っぽいイメージで作っておきたいと思って。なので、「プライベートタイム」も「さなぎから蝶へ」もちょっと懐かしいポップな感じを作りたかったんです。“アイラブユーモア ラブユー”というサビの頭の部分も、かわいらしい女の人──女の子じゃなくて、女の人の歌ものという感じが出たらいいなって書いた曲でしたね。私、20代に入ってすぐくらいに、カフェでアルバイトをしていたんですけど。カフェで流す音楽って結構難しくて。最初から最後まで気持ちがいい音楽じゃないとかけられないんです。なので、私には難しいジャンルなんですけど(笑)。カフェでかけられるような1枚になったらいいなという思いも『F.A.R.』にはあるんです。「プライベートタイム」からはじまって、「さなぎから蝶へ」はちょっとネオアコみたいな雰囲気もあって。曲調の雰囲気としては、それを意識して作って行きました。
▲植田真梨恵 画像ページ【3】へ (※画像6点)

──そんな裏テーマ的なものもあったんですね。たしかにギターサウンドやアレンジにはネオアコが感じられます。

植田:編曲の岡崎健さんは「REVOLVER」のアレンジをしてくれた方で。最初にデモを聴いてくださったときに、電話でお話をしたら、「この曲、すごく寂しい感じなんだけど、どういう曲なの?」って、とてもデリケートに扱ってくださって。私もわりとそういう思いを込めた曲だったので、“その寂しさみたいなものを下地に敷いてアレンジしていけるなら、きっと大丈夫”と思いながらやりとりをしていきました。

──寂しさや切なさを前面にというよりは、さなぎから蝶へと変化をしたり、違う世界へという前向きさも感じさせるというか。

植田:「さなぎから蝶へ」というタイトル自体、いろんな捉え方をしてもらっていいんですけど、“死”みたいなものが含まれている曲でもあるんです。私にとってもそうですが、音楽家が亡くなって体を持たなくなったとき、決して悲しみばかりではなくて、さなぎから蝶になるようにヒラヒラ飛んでいって、音楽が残って。耳元で蝶に囁かれるような歌になればと。もちろん寂しいんですけど、また、そんなふうに音楽を感じられて、嬉しいみたいな歌にしたいなって思っていました。

──間奏の部分に、囁き声のようなフレーズがあるじゃないですか。あの部分は何を語っているんですか。

植田:実はこの曲は、亡くなってしまったシンガー・ソングライターの真友ジーン.ちゃんに宛てて書いた曲なんです。その部分では、彼女の曲の歌詞の一部をほんの少し喋っていて。イントロからシンセのメロディが鳴っているアレンジなんですけど、そのフレーズがいつの間にか違うメロディになっているような、ループしているようなイメージで。この声の部分も、周波数が合ったところだけ聞こえるような感じにしたかったんです。ラジオのチューニングが合って、“一瞬聞こえた?”みたいな異世界感にしたくて。

──細部にまでしっかり意味が込められた曲ですね。

植田:そうですね。これも好きな曲になりました。
■絶対にこっちがいいっていう方向を
■選んでいきたいんです

──そして、愛猫ララさんへの曲「softly」もまた、ジェントルで美しい曲です。ピアノと歌のオープニングから、ギターやバンドサウンド、ストリングスが加わっていくなど、多彩な音が重なっていくアンサンブルで、思いを音と歌で繊細に描く曲だなと思います。

植田:今回のミニ・アルバムはメジャー・デビューして以降の、“Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ”のようなな曲構成の決まり事みたいなものから離れたんです。とにかく、起承転結があって伝わりやすければいいと思いながら作った曲ばかりなので。「プライベートタイム」も“どこがサビ?”っていう感じだったりするんです。「softly」は、“ひとり感”をうまくアレンジで表現しなければならない曲だったと思いますね。自分ひとりでいる時間と、ひとりでいるときに必ず一緒にいる唯一の存在であるララさんのことを、ララさんが元気なうちに書こうと思って書いた曲で。
▲植田真梨恵 画像ページ【4】へ (※画像6点)

──「softly」から、エピローグ的なインストナンバー「(EXIT)」につながりますが、まさに旅に出て、ララさんが待つ家に“ただいま”と帰る音で構成されたアウトロとなっています。今回はなぜこうしたアウトロを収録しようと?

植田:本当に最後まで悩みました。今回はインディーズ時代のミニ・アルバム『退屈なコッペリア』『U.M.E.』『葬るリキッドルーム』の形式を思い出しながら作ったので、何か入れたいとは思っていたんです。これまでのメジャーアルバムでも1曲目の前にイントロ的なものが入っているので、アルバムへの導入が必要かと思っていたんですけど、『F.A.R.』に関しては「FAR」が1曲目でないといけないというのがあったので。最後の最後にインストで『F.A.R.』というミニ・アルバムの空気感を伝える、そして上手に送り出せるものを入れたい。そういう思いだけで「(EXIT)」枠を開けていたんです。それで、先ほども言ったように、ほかの曲にパワーがなければ1分半くらいの歌入りの曲にするつもりすらあったんですけど。全部の曲が並んだときに、“大人の成長”というコンセプトとは言えど、こんなに寂しいアルバムになったかと思ったので……(笑)。

──はい(笑)。

植田:全部が終わっていくような曲だし、終わりを意識したアルバムなので。せめて温かく、「softly」の後にララさんの呼吸音が始まって……あ、あのエンジン音にも似た“グルルル”というのは、ララさんの呼吸音なんですけど。

──車の音とも違うし、何の音かと思ってました(笑)。

植田:ララさんの甘え声なんです(笑)。そこから飛行機が飛び立って行く音につながって、記憶の断片的な部分とつながって、家に帰って来たっていうイメージで作りました。『F.A.R.』というミニ・アルバムが持つイメージを、同じ景色で共感できるならいいなと思います。
▲植田真梨恵 画像ページ【4】へ (※画像6点)

──最後にちゃんと家に帰ってくる“ただいま”という言葉が、温かく響くのがいいなと思います。ちなみにこの「(EXIT)」から次のミニ・アルバム『W.A.H.』へつながってくんですか?

植田:それはお楽しみです。メジャー・デビュー5周年を迎えた今、ここにとどまらず、ひたすらたくさん曲が書きたいと思っているところで。ここからはワクワクする方向へじゃないと、より進めなくなる。やっておいたほうがいいからやるじゃなくて、“絶対にこっちがいい”っていう方向を選んでいきたいんです。せっかくの“音楽”だから、みんなとワクワクしたいと思ってます。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治
※特集ページでは未公開カット33点公開中。
■【第二弾】LIVE Blu-ray『Live of Lazward Piano “bilberry tour” at 東京グローブ座』

2019年1月23日(水)リリース
【Blu-ray + LIVE CD】GZXA-8034 ¥6,500 (Tax out)
※初回生産分のみ、新曲「bilberry song」収録 8cm CD封入(音源がダウンロードできるQRコード付)
▼Blu-ray 収録曲
<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>2018.3.25@東京グローブ座
01. 壊して
02. きえるみたい
03. 流れ星
04. スメル
05. S・O・S
06. hanamoge
07. メリーゴーランド
08. 優しい悪魔
09. a girl
10. 灯
11. 勿忘にくちづけ
12. I was Dreamin’ C U Darlin’
13. 夢のパレード
14. 心と体
15. センチメンタリズム
16. FRIDAY
17. 変革の気、蜂蜜の夕陽
18. よるのさんぽ
19. さよならのかわりに記憶を消した
encore
EN-1 REVOLVER
EN-2 旋回呪文
EN-3 サファイア!
EN-4 朝焼けの番人
▼LIVE CD 収録曲
<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>2018.2.18@京都文化博物館 別館ホール
01. ハルシネーション
02. 白い月
03. スメル
04. JOURNEY
05. シンクロ
06. ザクロの実
07. ソロジー
08. 僕の夢
09. アリス
10. ハイリゲンシュタットの遺書
11. ペースト
12. 心と体
13. センチメンタリズム
14. FRIDAY
15. 吠える虎


【第三弾】二作連続コンセプトミニアルバム『F.A.R.』

2019年2月20日(水)リリース
【初回限定盤 (CD+DVD)】GZCA-5284 ¥2,500(Tax out)
※紙ジャケ仕様
01. FAR
02. ロマンティカ
03. プライベートタイム
04. さなぎから蝶へ
05. 苺の実
06. softly
(07. EXIT)
▼初回限定盤 特典DVD
たったひとりのワンマンライブ vol.3 “good-bye stereotype”
2018.10.19 久留米シティプラザ 久留米座よりLIVE映像13曲収録
01. アリス
02. 最果てへ
03. 砂漠の果てに咲く花
04. カルカテレパシー
05. 210号線
06. よるのさんぽ
07. 雨にうたえば
08. 勿忘にくちづけ
09. 花鬘
10. ペースト
11. 心と体
12. 変革の気、蜂蜜の夕陽
encore
en1. コンセントカー
DOCUMENT MOVIE まわりくるめロケ -ふるさと編-
【通常盤 (CD ONLY)】GZCA-5285 1,800 (Tax out)
01. FAR
02. ロマンティカ
03. プライベートタイム
04. さなぎから蝶へ
05. 苺の実
06. softly
(07. EXIT)


【第四弾】デジタル配信シングル「タイトル未定」

2019年3月13日(水)リリース
Coming Soon


【第五弾】二作連続コンセプトミニアルバム『W.A.H.』

2019年4月17日(水)リリース
Coming Soon


■<Live of Lazward Piano -凍てついた星座->

2019年3月10日(日) 長崎・旧香港上海銀行長崎支店記念館
OPEN 18:00 / START 18:30
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
2019年3月17日(日) 東京・日本橋三井ホール
OPEN 16:45 / START 17:30
(問)H.I.P. 03-3475-9999
2019年3月21日(木・祝) 北海道・札幌バプテスト教会
OPEN 17:00 / START 17:30
(問)マウントアライブ 011-623-5555
2019年3月23日(土) 大阪・大阪市中央公会堂 大集会室
OPEN 17:15 / START 18:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
▼チケット
一般発売日:2019年2月9日(土)


■<植田真梨恵 LIVE TOUR 2019 [F.A.R. / W.A.H.]>

5月05日(日) 宮城 darwin
open16:30 / start17:00
(問)キョードー東北 022-217-7788
5月11日(土) 香川 高松MONSTER
open17:00 / start17:30
(問)デューク高松 087-822-2520
5月19日(日) 福岡 イムズホール
open16:30 / start17:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
5月26日(日) 愛知 クラブクアトロ
open16:30 / start17:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
6月02日(日) 北海道 KRAPS HALL
open16:30 / start17:00
(問)マウントアライブ 011-623-5555
6月08日(土) 広島 セカンド・クラッチ
open18:00 / start18:30
(問)夢番地広島 082-249-3571
6月16日(日) 大阪 BIGCAT
open16:15 / start17:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
6月23日(日) 石川 金沢AZ
open16:30 / start17:00
(問)キョードー北陸 025-245-5100
6月30日(日) 東京 恵比寿 ザ・ガーデンホール
open16:15 / start17:00
(問)H.I.P. 03-3475-9999
▼チケット
一般発売:4月6日(土)
【Mini AL「F.A.R.」封入先行受付】
エントリー期間:2/19(火)12:00~3/4(月)23:59
当落通知・入金期間:3/8(金)15:00~3/12(火)23:00

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