TRUEがステージから放った「アニソン
の凄さと面白さ」のサウンドウェーブ
5周年の祝祭をレポート

2019.2.10『TRUE 5th Anniversary Live Sound! vol.1 〜SINGLE COLLECTION~』TSUTAYA O-EAST
アニソンシンガー・TRUEが2014年に「UNISONIA」でデビューして今年で5年。その美貌と歌唱力でシーンを駆け抜ける彼女の5周年記念ライブ『TRUE 5th Anniversary LiveSound! vol.1 ~SINGLE COLLECTION~』が2月10日、東京・TSUTAYA O-EASTにて開催された。
オールスタンディングのO-EASTは開場前から立錐の余地もない超満員。前方右側に用意された女性エリアも含めてフロアはTRUEの登場を今かと待ちわびる、期待値が頂点を迎えそうになったその時、ついに5周年の祝祭の幕が開く。
一曲目に用意されたのはTVアニメ『響け!ユーフォニアム』OP主題歌「DREAM SOLISTER」、可愛く跳ねながらステージ狭しと歌い上げるTRUE、会場と声を重ねる姿はまるで一曲目からクライマックスを迎えたかのよう。「BUTTERFLY EFFECTOR」と続けて披露したあとは「5年分の感謝を込めて歌うので!倍返ししてくださいね?」とコメント。
印象的であったのは、MCの時の距離感の近さ。TRUEの言葉にレスポンスを返すファンの言葉を拾っては「本当に?」と言葉を返す。気さくに語りかけるその口調は明るく軽く、見ている人もなんだか嬉しくなるかのような掛け合いの時間だ。
壮大な広がりを感じる「はじまりの翼」から続けて歌われた「Dear answer」ではソリッドに切り裂くような歌声を見せるTRUE。本当に彼女の声はどこで聴いても綺麗に響き渡ると実感する。ハイトーンの中にもメロウを感じさせるその声が特徴だが、この日のステージを見て感じたのは、とにかくステージ上での音の感じ方が美しいということ。
MCを挟んで歌われた「ailes」や「Lonely Queen`s Liberation Party」、「STEEL-鉄血の絆-」のバラードでは切なさや心の動きをも表現する彼女は、バンドが発する音を体全体で受けて表現する。その姿と声と表情が全て音楽の一部かのように気持ちよく観客席に届いていく。まるでTRUEという存在そのものがハーモニーかのような空間。ファンと声を合わせる部分では度々イヤモニを外して生の声を拾いに行く姿も、会場にいる全ての人間でこのライブを作っていると感じさせるものだった。
唐沢美帆って知ってます?」そんなMCから始まったのは、恒例のカバーソングコーナー。別名義の作詞家としての「唐沢美帆」も相当なハイペースで数々のアーティストや作品に携わっているが、今回カバーとして選ばれたのはアイドルマスター ミリオンライブ!からのメドレー。TRUEの口から「アイドルマスター ミリオンライブ!」と発せられたときの会場の熱の上がりっぷりはとてつもなかったが、そこから「花ざかりWeekend」「NO CURRY NO LIFE」「RED ZONE」と立て続けに繰り広げられるミリオンの世界観にどんどんと興奮は加速していく。
興奮の後はクールダウン。TRUEとは切っても切れないアニソンタイアップへの思いを語った後に歌われたのは、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』OP主題歌「Sincerely」。ステージ後方に置かれた階段に座って語りかけるように歌うそのメロディーはたおやかに心を刺激させる。
そこから「BLUE MOON CHILD」とギアを上げていき、ハイテンポかつテクノサウンドのビートがフロアを揺らす「飛竜の騎士」では「まだまだ行ける?声出していこうぜ!」と絶叫する。
鶴の音楽隊と銘打たれているバンドメンバーの紹介コーナーでは、他のアーティストのライブでは中々見られないほどの和気あいあいとした空気。勿論5周年という記念的公演だからこそ、という一面もあったかもしれないが、バンドマスターのガンちゃんこと岩田“ガンタ”康彦がデビューからのTRUEとの思い出を語り、更には体操的なダンスも披露するなどのお楽しみも。
コールアンドレスポンスの練習から奏でられたハッピー&スゥインギングなパーティーチューン「JUMPIN`」ではリフレインされる掛け合いで会場の空気は高まっていく、一体化した最高の空間に放たれたのはデビュー曲「UNISONIA」。やはり代名詞の一つとなっているこの一曲でTRUEは舞台狭しと走り回りつつ煽り続ける。もちろんその間もその歌は寸分もブレることがない。
ここまで硬軟入り混ぜながらステージングしてきたTRUEの肌は輝き、しなやかなロングヘアーから汗の雫が落ちるくらいになっている。2階席でも熱くて汗ばむくらいの熱気だ。ライトが当たるステージ上の暑さは尋常では無いはずだ。それでもそのパフォーマンスは全く疲れを見せることはない。時に微笑み、時に蠱惑的に誘惑し、時に悠久の時の流れに遠く思いを馳せるような表情は楽曲の世界観をさらに広げ、見るものをワンダーランドにいざなっていく。ただの綺麗なお姉さんじゃない、本物のアーティストの凄みを全身で感じる。
早いビートに負けないその歌は更に加速度を増し、「カレイドスコープ」で客席とタオルを振り回す、扉の向こうまで人が入ったほんとうの意味での超満員のO-EASTはTRUEと一つになっていく。
「たくさんの方に支えられて5年間やってきました、これから6年、7年、10年に向かっていこうと思うことが出来ました」
真っ直ぐにファンを見つめながら本編ラストで歌われたのは「フロム」。「きみの待つ場所へ帰ろう」と声を上げるその言葉は、ファンとTRUEを繋いでいる思いの強さを感じさせるようだった。
駆け抜けるようにステージから退場したTRUEの背中を追いかけるように万雷のアンコールが巻き起こる。引き戻されるかのように登場したTRUEはアンコールで最新曲「Anothercolony」でもう一度熱狂を巻き起こす。「歌えて超幸せです!」そう叫ぶ彼女の思いには一辺の嘘もない。本人も「アニソンとの関わりの中でもこの作品との出会いが一番大きかった」という人気アニメ『響け!ユーフォニアム』の最新劇場版『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』の主題歌「Blast!」をこの場で初披露。アップテンポな楽曲の歌詞は勿論自身が書き下ろしているが、関わり続けてきたからこそ書けた歌詞だと自信を覗かせるMCも。
さらにこの場で5周年ライブ第2弾となる『TRUE 5th Anniversary Live Sound!vol.2 ~FANSELECTION~』が8月12日(月・振休)なかのZERO大ホールにて開催されることも発表。意外にも初のホールでのワンマンライブとのことでおめでとうの声が響き渡る。
「8月まで会えないから!会えない気持ちをぶつけて!」本当に最後の一曲となったのは「サウンドスケープ」。全てを出し切ったTRUEは「これからもアニメやアニソンとまっすぐ向かい合っていきたいと思っています」と涙を浮かべながらコメント。ステージから降りる前にはアカペラで「DREAM SOLISTER」を歌い、ありがとうとおめでとうの歓声の中退場していった。
本格派シンガーとしての実力は勿論だが、それ以上にそのキャッチーな人柄、楽曲の強さ、全てがアニソンライブの面白さ、素晴らしさを集約したものになっていた気がする。今「アニソンのライブイベントに興味がある」という人がいれば、まずTRUEのライブに向かってもらいたい。何も知らなくても彼女の放つエネルギーと音楽が貴方を最高にハッピーにしてくれるはずだ。
レポート・文:加東岳史

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