侵蝕された文学作品を守れ! 平野良
、陳内将、小坂涼太郎らの殺陣にも注
目 舞台『文豪とアルケミスト 余計
者ノ挽歌(エレジー)』開幕

文豪転生シュミレーションゲーム「文豪とアルケミスト(文アル)」を原作とする舞台が、2019年2月21日(木)に開幕した。本作は、近代日本の著名な文豪たちがこの世に再び転生し、邪悪なものに侵蝕された文学書を守るために戦うというストーリー。今回の舞台では太宰治、織田作之助、坂口安吾、佐藤春夫、中原中也、志賀直哉、武者小路実篤、江戸川乱歩、芥川龍之介の9名が登場する。ゲネプロ公演前の囲み会見ではメインキャストが意気込みを語った。
■「文アル」独占インタビュー記事はコチラ
舞台「文豪とアルケミスト」太宰治役 平野良インタビュー。もう2.5次元の舞台に出演できると思っていなかった
■物語、殺陣、主題歌、舞台装置……見どころがありすぎる! ゲネプロ観劇レポート
この世に再び転生した太宰治(平野良)。織田作之助(陳内将)、芥川龍之介(久保田秀敏)ら見知った顔との再会を喜んでいると江戸川乱歩(和合真一)が登場し、アルケミストの存在によって転生したこと、文学作品とその作者を侵蝕者から守らねばならないことを知る。直後に芥川の作品が侵蝕されてしまっていることも発覚し、憧れの芥川先生の作品は俺が守る! と意気込んで敵に挑む太宰だったが……。
太宰治役 平野良
出演キャストはベテラン俳優から、2.5次元舞台をけん引する人気若手俳優によって構成されている。座長である平野を始め、年長者の安定した芝居や暖かく賑やかな座組みの空気感もあり安心して観劇ができるだろう。
そして今回の舞台では、それぞれ武器を構えての殺陣が多い。太宰治や佐藤春夫の大物武器、坂口安吾なら体の軽さを活かした戦い方であるなど、それぞれ個性が光る武器種で立ち回りもそれぞれ違っている。戦いのシーン、シリアスなシーン、潜書から戻り祝杯をあげているシーン、気持ちが緩む日常のシーン、感情をストレートにぶつけるシーンなど見どころはたくさんあるが、メリハリがきいてて観ている者を飽きさせない。
芥川龍之介役 久保田秀敏
また、舞台装置がよく動き、場所や物語の進行がわかりやすくなっている。装置を動かすのは主にアンティーク人形のような衣装をまとうアンサンブル役者たち。抽象芸術を見ているような知的な動きに心奪われる人もいるだろう。舞台照明や衣装、武器の装飾の細かさまでこだわりを見つけてほしい。

本公演のテーマソングである、ROUが歌う「光ノ先へ」は、アップテンポで耳に残る曲だ。少しではあるがダンスもある。細かい振付で全員の動きが決まると鳥肌が立つようなかっこよさだ。

佐藤春夫役 小南光司
太宰治と芥川龍之介、中原中也、志賀直哉など、文豪たちそれぞれの関係性にも注目だ。作品が理解されないという悲しみ、生前のしがらみや性格、忘れかけていた罪など、彼ら一人ひとりが抱える苦しみも丁寧に描かれている。もちろん作品知識がなくても楽しめる演劇にはなっているが、文学的な人物像や原作ゲームをプレイしていると、より舞台に入り込めるはずだ。
武者小路実篤役 杉江大志(左)/志賀直哉役 谷佳樹 (右)
■「楽しくも儚い演劇に」ゲネプロ前の囲み会見 
ーー役柄について教えてください。
江戸川乱歩役 和合真一:
「平和の和に合格の合、真実はいつも一つ」と書いて和合真一と申します。今回の役柄はミステリアスな役です。物語でも重要な、ストーリーテラー的な役割を担わせていただきます。『文豪とアルケミスト』という不思議な世界観に似つかわしいような、妖しい感じで演じていきたいなと思っております。
佐藤春夫役 小南光司:
兄貴肌で、ここにいる文豪たちの中でも結構上の立ち位置にいるんじゃないかなと思います。大先輩たちの中で兄貴として立つことが、稽古中苦労した点です。舞台中も注目してみてください。武器が重いです! 一番重いんです。初殺陣ですので、楽しんで頂けたらと思います。
中原中也役 深澤大河:
中也はすごく酒豪ですが、僕自身はまだそんなにお酒が飲めません。梅酒は飲めます! 中也はずっとお酒を飲んでいて、かつ言動がすごく荒々しいんですが、その中にも繊細な気持ちが言葉にちゃんと伝わるそんな文豪です。そこを表現できたらと思います。
武者小路実篤役 杉江大志:
武者小路実篤はすごく優しくて強くていい子だなっていうのを僕は感じました。そんな強さや優しさが垣間見えるような役になっていたらと思います。あとは志賀との関係性を、お客様はどういう風に受け取ってくれるのか。この2人の関係が上手く伝わっていればと思います。
坂口安吾役 小坂涼太郎:
僕は太宰治、織田作之助、坂口安吾の3人で無頼派です。ずっと3人でいるんです。舞台上では特に織田作之助役の陣内君とずっと一緒なので、稽古場から3人で仲良くお世話して……。
一同:お世話「して」(笑)
小坂:このおふたりには特にお世話になりました。その中の良さが舞台上で伝わればと思います!
志賀直哉役 谷佳樹:
志賀直哉は芥川龍之介と太宰治の橋渡し役のような重要なポジションでして、稽古の段階から演出家の吉谷さんが「殺陣や立ち回り一つひとつにもちゃんと物語があるように、言葉の強さで人柄を見せれるように」と言ってくださっていました。立ち回りの方に気を取られるということが多々あり、吉谷さんからも座長の平野良くんからもたくさんアドバイスを頂き、志賀直哉を生きる上で悩み、苦労し、考えた大切な人物となっております。そして武者小路実篤役の杉江くんとも「白樺派とは」というところにも重きを置いて見せていこうと、気合が入っております。
織田作之助役 陳内将:
無頼派、もしくは三羽鴉と呼ばれた3人のひとりです。生粋の大阪人で明るくみんなのムードを保とうとするんですが、実は身体が弱いという設定をみんなに見せないようにというコンプレックスがあります。それが劇中に出ているかどうかというのは細かく見ていただきたいなと。演出の吉谷さんが「楽しくも儚い演劇にしたい」ということを仰っていて、本当にその通りになっていると思いますし、そういう結末になるように一つひとつ丁寧にみんなで稽古してきたものを紡いでいければと思います。
芥川龍之介役 久保田秀敏:
今回の作品は、僕が軸になっているといっても過言ではありません。侵食者という敵に僕が演じる芥川龍之介の作品を奪われて作品も人々の記憶も消し去ってしまう。それを防ぐために文豪たちが本の中に入って戦います。その裏側では作品が生まれた時にどういう葛藤があったのかというものも描かれます。ぜひお楽しみください。
太宰治役 平野良:
『文豪とアルケミスト』の太宰治は、一言でいえば浮き沈みの激しいクズ人間のような感じで演じております。
杉江:愛されるクズですね。
平野:そうですね、愛されたいです! 元気いっぱいなクズを演じたいです!
江戸川乱歩役 和合真一
ーー本公演の意気込みを教えてください。
和合:作品のファンの方々にも、ゲームをやったことがない人にもすごく楽しめる作品です。文学が好きならば知っているであろう作品が出てきたりとか、作中のネタを脚本の中にふんだんに織り交ぜたりとか、老若男女に楽しんでいただけるような舞台になっておりますので楽しみにしてください。
小南:ゲーム原作ということで、プレイをされている方はどうやって侵蝕者と戦っていくのか、技などそういったものがどう表現されていくのかですね。文学的な作品ですので、文学らしい表現があったり、舞台セットにも凝って作ってきました。ぜひ楽しんでください!
深澤:やはり近代の文豪たちがどんな会話をしていたのか、もしこのメンバーだったらどういう会話をしていたんだろうっていうのを、この舞台ではちゃんと表現されているので、そこを楽しみにしていただきたいです。あとはアンサンブルの方々も場面転換などいろんなことに関して世界観を作ってくださりました。これらの方々も見ていただけたら嬉しいです。
杉江:この作品の舞台化が発表された時すごく反響が大きくて、それに対してのプレッシャーもありましたが、稽古が始まってキャストの皆さんと稽古していくうちに、とても素敵な仲間の中に混ぜてもらったなと思っております。とにかく楽しんでひと公演毎に「楽しい」を更新していければなと思います。アドリブなんかも日に日に増えて行ったらいいなぁって思ってます! 
小坂:すごくかっこよくてめちゃくちゃ面白いです! 衝撃のラストが待っています。結末を本当に楽しみにしていただきたいです。絶対に見に来てください。
谷:アクションがたくさんある舞台なんですが、稽古をしていても命がけと言いますか。どこかで冷静になりながら立ち回りをしないとならないんですが、それを許してくれない、ぎりぎりの生命ラインを保っています。終わったときに袖でひどい顔になっていると思いますが、それぐらいの熱量でぶつかっています。その熱量が見てくださるお客様に直で届けばいいなと思います。
陳内:ご覧いただいた通り、笑いの絶えない楽しいカンパニーです。おかげで関西人を演じるにあたって楽しい稽古場でしたが、締めるところは締めて挑んでこれました。今回は京都公演もありますので、本場関西で、九州出身の僕の関西弁がどういわれるか。イントネーションも気にならなかったと言われるくらいしっかり織田作之助という人物と向き合ってきた所存です。織田作之助を精一杯演じたいと思います。
久保田:僕の中では芥川龍之介が降りてきているんでしょうね。舞台中でもどうしても煙草が吸いたくなる時がありまして。今回も吸う時があるんですが、その際はみなさま、どうか係員を「呼ばずに」、暖かい目で見ていただければ嬉しいなと思います。……というのも冗談でですね。また新しいエンタメ作品が、……えーっと。
平野:ボケ方がベテランみたいなんだよなぁ!
久保田:えー、素晴らしいエンタメの作品をお見せできるように頑張ります。
平野:昨今いろんな演劇がありますが、演劇らしい演劇のつくりになっています。人の力で見せる演劇で、プリンシパル、アンサンブル全て手作りというか人間のマンパワーで乗り切っている舞台であります。今回は「文豪」が主体なので、物語も非常に文学的です。全体的な流れで言うと少し夏目漱石作品を彷彿させるような展開で、ちゃんとしっかりテーマがあります。人の心に巣食う何か、そこを重点に見ている人にも何か感じていただける作品になっているんじゃないかと思います。個人的にはこんなきらびやかな衣装を着させていただいてとても嬉しいんですけども、最年長座長でまさかこんな賑やかしな役が来るとは思っていませんでして。お話の軸は芥川ですし、みんなかっこいい役ですし、ストーリーテラーもいますし……じゃあ僕はどんな役割かというと、本当に賑やかしです。最後の最後まで賑やかしていこうと思っておりますので、こうご期待でございます。
(c)DMM GAMES / 舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会
取材・文・写真:松本裕美

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