爆音アワー

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いい音爆音アワー vol.99 「坂本龍一
♪特集(前編)」

いい音爆音アワー vol.99 坂本龍一♪特集(前編)
2019年2月13日(水)@風知空知
坂本龍一について、私が素晴らしいなと思うのは、

(1)繰り返しに耐えるメロディを作らせたらピカイチ
(2)構成音のひとつひとつに説得力がある
(3)ストリングスのアレンジがいい、音もいい

という3点であります。
一方、歌メロはあまりうまくない。はっぴいえんど/YMO周辺の人たちは、細野晴臣、大瀧詠一、松任谷由実山下達郎ら、松本隆に誘われて、みなさん大ヒットを出していますが、坂本龍一は誘われていないし(誘われたけど断ったのかもしれませんが…)、「い・け・な・いルージュマジック」、「君に、胸キュン。」を除いては歌ものヒットがありません。
つまり、インストゥルメンタルの人で、インストゥルメンタル・ポップの名人だと、思っています。
あと、音楽には直接関係ありませんが、

(4)政治や社会の問題に対し堂々と発信する

ところも尊敬しております。

福岡智彦 (いい音研究所)

セットリスト坂本龍一
1952年1月17日、東京都中野区生まれ。
3歳からピアノを習い始め、10歳で東京藝術大学教授の松本民之助に師事し、作曲を学び始める。
1970年、東京芸術大学入学。在学中、民族音楽学研究家の小泉文夫の講義を受け、大きな衝撃を受ける。
1974年、音楽学部作曲科を卒業し、同大学院音響研究科修士課程に進む。
1975年、在学中に新宿ゴールデン街で意気投合したという友部正人の4th アルバム『誰もぼくの絵を描けないだろう』にピアノで参加したのがきっかけで、スタジオ・ミュージシャンとして活動し始める。
同年、竹田賢一と”学習団”という芸術の運動体を組織。竹田プロデュースにより、土取利行とのコラボレーション・アルバム『ディスアポイントメントーハテルマ』を制作、翌76年に500枚のみプレス。
 同時期、りりィのバックバンド=”バイバイセッションバンド”に参加。りりィのマネージャー経由、細野晴臣と知り合う。
 高橋幸宏が、坂本が東京芸術大学の大学院生だと聞いて驚き、”教授”と呼び始める。
 大瀧詠一のアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』(1976年3月25日発売)でキーボードを演奏。
山下達郎「パレード」
“教授”がまだ”学生”だった頃ですね。
∨アルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』(1976年3月25日発売)収録
作詞・作曲・編曲:山下達郎/プロデュース:大瀧詠一
レーベル:ナイアガラ(日本コロムビア)
アルバムはオリコン29位

・坂本龍一:piano, keyboards
・74年春に、”シュガー・ベイブ”のシングル用に作ったが、大瀧からシングル向きではないと言われ、アルバムにも入れなかった。
・フジテレビ「オレたちひょうきん族」で、EPOの「DOWN TOWN」がエンディングテーマに使われたのをきっかけに、1982年4月21日、”シュガー・ベイブ”版「DOWN TOWN」のシングルが再発売され、B面に「パレード」が収録された。


 大貫妙子のアルバム『SUNSHOWER』(1977年7月25日発売)、『MIGNONNE』(1978年9月21日発売)、『ROMANTIQUE』(1980年7月21日発売)にアレンジャー、プロデューサーとして参加。
大貫妙子「突然の贈りもの」
大貫さんの声がなんとも気持ちよい♪
∨3rd アルバム『MIGNONNE』(1978年9月21日発売)収録
作詞・作曲:大貫妙子/編曲:坂本龍一/プロデュース:小倉エージ
レーベル:RVC

・坂本龍一:keyboards/松木恒秀:guitar/渡嘉敷祐一:drums/細野晴臣:bass/浜口茂外也:percussion/山畑松枝:harp
・RVC移籍第1弾
・小倉エージプロデュースの下、”売れる”ために作ったのに、売れなくて、音楽業界が嫌になってしまった、というアルバム。しかし、この「突然の贈りもの」は、現在も歌い続け、竹内まりや大橋トリオなど、カヴァーも多い。


1978年2月19日、細野晴臣のアルバム『はらいそ』(1978年4月25日発売)に収録される「ファム・ファタール」のレコーディングに、坂本、高橋幸宏が参加。その夜細野が2人を自宅に招き、3人はこたつを囲んで会合。細野が2人に「マーティン・デニーの『ファイアー・クラッカー』を、シンセサイザーを使用したエレクトリック・チャンキー・ディスコでカヴァーし、シングルを世界で400万枚売る」新バンド構想を提案し、参加を乞う。2人はその場で承諾し、”イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)”の誕生となった。
 同年10月25日、初のソロ・アルバム『千のナイフ』をリリース。
 同年11月25日、YMO、1st アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』リリース。
細野晴臣&イエロー・マジック・バンド「ファム・ファタール〜妖婦」
“イエロー・マジック”はもう使っているけど、細野さんの気分はまだトロピカル。
∨アルバム『はらいそ』(1978年4月25日発売)収録
作詞・作曲・プロデュース:細野晴臣
レーベル:アルファレコード

・坂本龍一:piano, synth/高橋幸宏:drums/徳武弘文:guitar/浜口茂外也:percussion/細野晴臣:vocal, bass, marimba
・『トロピカル・ダンディー』、『泰安洋行』に続く、トロピカル三部作第3弾アルバム。
坂本龍一「千のナイフ」
世の中にシンセサイザーというものが出てきたばかりなのに、もうこの使いこなし!
∨1st アルバム『千のナイフ』(1978年10月25日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:Better Days(日本コロムビア)

・坂本龍一:synth/松武秀樹:computer&synth programming/渡辺香津美:guitar/細野晴臣:finger symbal/浜口茂外也:synth-drum
・夜までスタジオ・ミュージシャン仕事をやりながら、夜中スタジオに入り、78年4月10日〜7月27日(約3ヶ月半)、339時間を費やしてレコーディングされた。
・冒頭はヴォコーダー(コルグVC-10)による毛沢東の詩の朗読
・スタイリストは高橋幸宏。
イエロー・マジック・オーケストラ「東風 (Tong Poo)」
教授のインスト・ポップ名作その1。
∨1st アルバム『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』(1978年11月25日発売)収録
作曲:坂本龍一/プロデュース:細野晴臣
レーベル:アルファレコード
アルバムはオリコン69位

・US盤では「Yellow Magic」と改題、吉田美奈子のヴォーカルが中間部に加えられた。英国ではシングルカットされた。
・坂本が中国で購入した”毛沢東の詩に曲をのせたレコード”の中の曲を参考にしたそう。→当時は毛沢東が好きだったみたい。
・タイトルは、ジャン=リュック・ゴダール、ジャン=ピエール・ゴランらが”ジガ・ヴェルトフ集団”名義で1969年6月に匿名製作した劇映画「東風とうふう(Le Vent d'est)」から拝借。坂本がゴダール好きなので。


 YMOと並行して、渡辺香津美、矢野顕子小原礼、村上秀一、本多俊之らとセッションユニット”KYLYN”や、ほぼ同じメンバーで、各パート2人ずつで演奏技術を競わせるというコンセプトの”カクトウギセッション”での活動を行う。
1979年6月21日、”坂本龍一&カクトウギセッション”名義でアルバム『 サマー・ナーヴズ』リリース。
 同年6月25日、渡辺香津美(KYLYN)のアルバム『KYLYN』リリース。
坂本龍一&カクトウギ・セッション「TIME TRIP」
全編、教授がヴォコーダーで歌っています。これは歌モノとしても秀逸。
∨1st アルバム『SUMMER NERVES』(1979年6月21日発売)収録
作詞:安井かずみ/作曲・編曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:CBSソニー

・坂本龍一:vocal(ゼンハイザー・ヴォコーダー VSM201), keyboards/小原礼:bass/高橋幸宏:drums/鈴木茂:guitar/浜口茂外也:percussion
渡辺香津美「SONIC BOOM」
上のアルバムと発売日が4日しか違わないという過密スケジュール。
∨アルバム『KYLYN』(1979年6月25日発売)収録
作曲:渡辺香津美/プロデュース:渡辺香津美+坂本龍一
レーベル:Better Days(日本コロムビア)

・坂本龍一:acoustic piano, synth/渡辺香津美:guitar/益田幹夫:electric piano/清水靖晃:tenor sax/小原礼:bass/村上秀一:drums/ペッカー:percussion/向井滋春:trombone/本多俊之:alto sax
・アルバムには矢野顕子、高橋幸宏も参加している。


1979年9月25日、YMO、2nd アルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』リリース。オリコン1位で、爆発的人気を博す。
イエロー・マジック・オーケストラ「Behind the Mask」
教授のインスト・ポップ名作その2。”繰り返しに耐えるメロディ”になってきました。
∨2nd アルバム『SOLID STATE SURVIVOR』(1979年9月25日発売)収録
作詞:Chris Mosdell/作曲:坂本龍一/プロデュース:細野晴臣
レーベル:アルファレコード
アルバムはオリコン1位

・クインシー・ジョーンズが気に入り、マイケル・ジャクソンの『Thriller』に、マイケルが補作詞を行ったカヴァーを収録する予定で制作を行っていたが、坂本がトラックの試聴を求め、ジャクソン側がそれを拒否したことで、収録が見送られた(2010年、『MICHAEL』で初めて公表された)。
・マイケルのサポート・キーボーディストだったGreg Phillinganesが2nd ソロ・アルバム『Pulse』(1984年7月発売)にてカヴァー。
・グレッグがエリック・クラプトンのキーボードも努めたことから、クラプトンもアルバム『August』(1986年11月発売)にてカヴァー。


1979年12月、サーカスの「アメリカンフィーリング」(1979年5月25日発売)で、第21回日本レコード大賞・編曲賞を受賞。
サーカス「アメリカン・フィーリング」
特に教授らしい編曲ではありませんが、レコード大賞・編曲賞。
∨4th シングル(1979年5月25日発売)
作詞:竜真知子/作曲:小田裕一郎/編曲:坂本龍一
レーベル:アルファレコード
オリコン5位

・JAL""COME TO AMERICA'79""キャンペーンソング。
・第21回日本レコード大賞・編曲賞を受賞。
サーカス:
叶 正子(長女 1952年6月23日、熊本県生まれ)
叶 高(長男 1954年7月26日、福岡県生まれ)
叶 央介(次男 1956年9月27日、福岡県生まれ)
卯月 節子(従姉)
の4人により、1978年3月25日、シングル「Mr.サマータイム」でデビュー。いきなりオリコン1位、ミリオン超えの大ヒット。


1980年9月21日、2nd ソロ・アルバム『B-2 UNIT』リリース。
 同年、矢野顕子のアルバム『ごはんができたよ』(80年10月1日発売)を本人と共同プロデュース。
坂本龍一「Riot In Lagos」
“構成音のひとつひとつに説得力がある”ことを実感する作品。
∨2nd アルバム『B-2 UNIT』(1980年9月21日発売)収録
作曲:坂本龍一/プロデュース:坂本龍一&後藤美孝/エンジニア:Dennis Bovell
レーベル:アルファ・レコード
アルバムはオリコン19位

・アルバム制作時に、ナイジェリアのラゴスで起きた暴動と、同国のミュージシャン、フェラ・クティからインスパイアされた。
・共同プロデューサーの後藤美孝はパス・レコードの創始者。
・YMOのワールド・ツアー「FROM TOKIO TO TOKYO」(1980年)のオープニング曲として演奏された。
・アフリカ・バンバータによって、頻繁にDJプレイされ、ヒップホップ・アーティストへの影響力と知名度が高い。
・細野と高橋幸宏の音楽ユニット、”スケッチ・ショウ”に坂本が加わった”ヒューマン・オーディオ・スポンジ”のライヴで度々演奏されている。


1981年よりNHK-FMにて「サウンドストリート」のパーソナリティを務める。
 同年10月5日、3rd アルバム『左うでの夢』リリース。オリコン20位。
1982年2月14日、RCサクセション忌野清志郎と組んでシングル「い・け・な・いルージュマジック」をリリース。資生堂'82春のキャンペーンソング。オリコン1位。
 同年、郷ひろみ前川清の楽曲プロデュース。
 同年、矢野顕子と結婚。
忌野清志郎+坂本龍一「い・け・な・いルージュマジック」
歌モノとしては単純すぎるけど、勢いで押し切った。
∨シングル(1982年2月14日発売)
作詞・作曲・編曲・プロデュース:忌野清志郎+坂本龍一
レーベル:ロンドン・レコード
オリコン1位

・ドラムも坂本龍一。ライブ、テレビ番組では鈴木さえ子が担当した。
仲井戸麗市が”井戸端矮鶏(いどばたちゃぼ)”名義で演奏に参加。
・資生堂1982年春のキャンペーン、テーマ曲。
前川清「他の男・別の女」
「TIME TRIP」を歌ってもらってほうがよかったんじゃ?と個人的には思います。
∨1st ソロ・アルバム『KIYOSHI』(1982年11月21日発売)収録
作詞:糸井重里/作曲・編曲:坂本龍一/プロデュース:水谷公生
レーベル:RVC

・坂本龍一:bass, keyboards/青山純:drums/水谷公生:guitar/浜口茂外也:percussion
・アルバムからの先行シングル「雪列車」も作曲・編曲:坂本龍一
まえかわきよし:
1948年8月19日、長崎県佐世保市生まれ
1968年、”内山田洋とクール・ファイブ”に加入。
1969年2月5日、シングル「長崎は今日も雨だった」でデビュー。
1971年、藤圭子と結婚するも、翌年離婚。
1987年、”クールファイブ”を脱退。
・・・

1983年3月、YMOのシングル「君に、胸キュン。」リリース。カネボウ化粧品のキャンペーンソングでオリコン2位。
 同年、大島渚監督映画「戦場のメリークリスマス」(83年5月28日公開)にヨノイ大尉役で出演、デヴィッド・ボウイビートたけしと共演。
 同年5月1日、OSTアルバム『戦場のメリークリスマス』リリース。オリコン8位。英国アカデミー賞作曲賞受賞。主題歌「Merry Christmas Mr.Lawrence」にDavid Sylvianが歌詞・メロディを加え歌を載せた「Forbidden Colours」はシングル発売され、全英16位となった。
 同年10月、YMO、”散解”を発表。
坂本龍一「Merry Christmas Mr. Lawrence」
教授のインスト・ポップ名作その3。”繰り返しに耐えるメロディ”が冴え渡ります。
∨OST アルバム『戦場のメリークリスマス』(1983年5月1日発売)収録
作曲・プロデュース:坂本龍一
レーベル:ロンドンレコード
アルバムはオリコン8位

・主旋律の音色にはグラスハープのサンプリング音を使っている。
・英国アカデミー賞作曲賞受賞。
・第36回カンヌ国際映画祭に出品され、パルム・ドール(最高賞)最有力と言われたが逃した(今村昌平監督の「楢山節考」が受賞)。
・映画は企画自体は1978年にできていたが、資金集めに難航した。
・坂本のヨノイ大尉役は当初、三浦友和や沢田研二に打診されたがスケジュールの問題などで坂本となった。ジャック・セリアズ英軍少佐役も、ロバート・レッドフォードにオファーしたが断られ、デヴィッド・ボウイとなった。



次回の爆音アワーは・・・

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