『ヤン・リーピンの覇王別姫〜十面埋
伏〜』記者会見レポート 様々なジャ
ンルのダンサーたちが集結した公演が
開幕

Bunkamura30周年記念の一環として『ヤン・リーピンの覇王別姫~十面埋伏~』が2019年2月21日(木)からBunkamuraオーチャードホールで上演される。ソロダンス『孔雀の精霊』で有名となった中国のダンサー、ヤン・リーピンが芸術監督に徹し、練り上げた本作。ダンスの殿堂であるロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場での初演以来、オーストラリア、イスラエル、中国などで上演されてきた。開幕を前にした19日、東京都内で記者会見が行われた。
ヤン・リーピン
ヤン・リーピン(楊麗萍)
【プロフィール】
中国雲南省大理の少数民族、白(ペー)族出身。一度も舞踊教育を受けることなく、天性の才能と創造力により、国内外で評価される舞踊家になった。1986年、自身の制作によるソロダンス『孔雀の精霊』で一躍有名になる。以後、多くの国との芸術交流を積極的に行い、舞踊芸術の普及と探索に努めてきた。演出家としても優れた才能を発揮し、これまでBunkamuraオーチャードホールで上演された、大ヒット作『シャングリラ』(08、10、16年)をはじめ、『クラナゾ』(11年)、『孔雀』(14年)は好評を博した。
会見の冒頭、ヤン・リーピンは「再び日本に来ることができて、Bunkamuraという良い劇場で公演ができて、とても感動しています。日本のお客様は中国文化に深い理解と深い愛情を持ってくださっているということを私は心から信じていますし、今までもそれを感じてきました」と語った。
本作については、3年前に作った作品だと言うが「伝統の素材を使いつつ、今までの伝統を突破して、打ち破った何か新しいものがある、そういう現代的な作品です。私の新しい試みを皆様に見ていただきたいし、きっと皆様がこの作品を好きになってくれることと信じています」と話す。
ヤン・リーピン(右)
本作では、ヤン・リーピンのもと、中国の伝統舞踊や武術、太極拳、ヒップホップ、バレエ、コンテンポラリーダンスと様々なジャンルのダンサーたちが集結した。戦いを彷彿とさせる男性的でアクロバティックなダンスやスタイリッシュな群舞など次々と圧巻のダンスが展開される。中でも、京劇の伝統に則り、男性が演じる虞美人は、本作の見所の一つ。項羽との生死を超えた壮絶な愛を演じ、両性具有的な妖艶な舞は必見だ。
 
会見でヤン・リーピンは「私は自分が少数民族なので、少数民族の題材にした作品がほとんどなのですが、『十面埋伏』だけは少数民族の題材を使わず、中国の2000年前の物語を使っています。楚の国と漢の国の戦争というのは、中国の歴史の中でもとても有名な物語。その中に『覇王別姫(はおうべっき)』という純粋な人間の愛情の物語があるわけです。私が涙したのは、その『覇王別姫』の稽古の時に、虞美人を演じる男性ダンサーが、男性でありながら、虞美人の気持ち、深い項羽に対する愛情を表すのがあまりにもぴったりで、あまりにも理想的で。思わず涙ぐんでしまいました」と明かす。

ヤン・リーピン
最後に日本のファンに向けて、見どころを尋ねると、ヤン・リーピンは「実は本作は、ヨーロッパのある有名な芸術祭に依頼されて作ったもの。ですから、少数民族だけではなく、中国だけではなく、世界中のすべての人類にとって大きな課題である『戦争』ということ、反戦を訴えているわけです。今の時代も戦争は終わらないし、世界のいろんなところで硝煙があがっていますよね。この愚かさをこの作品を通じて訴えたいです。また、現代人も古代人もそうですが、すべての人間は心の中に暗いもの、悪い部分を持っている。そういう人間の裏面や暗い面もこの作品を通して、訴えていきたいと思います」
 
2万本ものハサミが舞台上に吊り下げられていたり、切り絵師がいたり、京劇の手法も取り入れられていたりと、ダンス以外にも見所は尽きない。
 
「この作品は、ダンスだけではなくて、舞台美術や中国文化などいろんな角度から見ることができるので、見どころは多い作品です」と話し、「若いダンサーが6人も出ていますが、この6人は今の中国の現代舞踊の中で、とてもレベルの高い人たち。この6人の若いダンサーがそれぞれソロの役を踊っていますので、ぜひここに注目していだたきたいと思います」と語った。

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