【劇団ハーベスト】「同世代の女子に
観てほしい!」最新公演&創作のウラ
側に迫る【動画あり】

最新公演「肉体改造クラブ・女子高生版」を行う劇団ハーベストのロングインタビュー!創作のウラ側に迫ります

今回の特集は、劇団ハーベスト。2016年の夏公演特集以来、約2年半ぶりの特集です。
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結成8年目を迎えた彼女たち、結成当初は10代の少女ばかりのメンバーでしたが、それぞれが成長して自立した女性としての歩みを始めています。
そんな劇団ハーベストの第15回公演は、古城十忍による名作戯曲『肉体改造クラブ・女子高生版』。ゲストには、劇団番町ボーイズ☆の千綿勇平や元アイドルネッサンスの比嘉奈菜子など、多彩な面々を迎え、第29回下北沢演劇祭参加作品としても上演される意欲作です。
名作戯曲を現代版にアレンジ!「肉体改造クラブ・女子高生版」――今回の『肉体改造クラブ・女子高生版』は、古城十忍さんによる戯曲ですね。どんな作品か教えていただけますか?
川畑 光瑠(かわばた ひかる・以下 川畑)「3話のオムニバス形式で、女子高生が主人公です。3話とも、女子高生の承認欲求がテーマなんですけど、それぞれに形が違うんです。
1話目は痩せたい、見た目を変えることで認められたい、ダイエットする子の話。2話目は、自分を傷つける、演じることで本来の自分を隠して認めてもらいたいっていう子の話。
そして3話目は、ありのままを愛してもらえず、ゲームの中に理想の自分を作って逃避する子の話。現実にするわけじゃなくて、ゲームの世界で…っていう。当時有名だったゲームがモチーフなのかな? 恋愛シミュレーションゲーム?」
――『ときめきメモリアル』(ときメモ)ですね! 我々アラフォー世代にとって、懐かしいゲームです。
高橋 紗良(たかはし さら・以下 高橋)「でも私たちには、最初わからなくて(笑)。『THE IDOLM@STER』とか、『刀剣乱舞』みたいなもの?って話し合ったりして。そのあたりは、同世代の人に観て、解っていただけるような、2019年の現代版にアレンジしています」
――やっぱり、同世代の方々に観てもらいたい、という気持ちは強いですか?
宮武 佳央(みやたけ かお・以下 宮武)「はい、同世代の女の子にも観てもらいたいって、いつも話し合っているので。作品選びも意識しています。今回も、U20限定のプレビュー公演や、U25割引きチケットも作りました。最近、私たちと同世代のお客さんも増えてきているんですよ」
望月 瑠菜(もちづき るな・以下 望月)「前公演の『DOLL』から、お客さんに女子高校生の方が増えましたね。同世代が観てくださって、『また観にきたいです』と言ってくれるのは、すごく嬉しかったです」
――たしかに、公演を観に来ている10代の方が増えたように思います。
望月「演劇の授業で、同じ役を演じたことがあるという方がいたんですよ。『私はこう思って演じたんですけど、望月さんはどう考えて演じたんですか?』って話が弾んで、すごく楽しかったです。等身大で演じることの意味が、目に見えた気がします」
――この作品を通して、同世代の方に、どんなことを考えてほしいですか?
篠崎 新菜(しのざき にいな・以下 篠崎)「10代って、”自分自分”ってなってしまう時期だと思うんです。でも、各話の登場人物を通して、そういう悩みを抱えている人がいるんだ、そういう見方があるんだっていうことを考えてくれたら嬉しいな、と思っています。私自身、自分にないものを取り入れられることが多かったので。観ている人にも感じてもらいたいんです」
高橋「もしかしたら、同じ悩みがある人もいるかもしれないしね…」
衝撃だった前作のウラ側
この作品が転機だった。衝撃の前公演『DOLL』――前公演『DOLL』から、既存戯曲への挑戦という形が続いていますね。前公演は、閉じられた空間で、閉塞感のあるストーリーという、これまでの劇団ハーベストにはないテイストでした。
加藤 梨里香(かとう りりか・以下 加藤)「劇団としても挑戦でした。結末含め、これまでにない雰囲気の作品だったので。これまでは死を扱っても、前を進む要素があったんですけど、自分たちが死に向かう作品というのはなかったんです。これまでのファンの方々が観て、どう感じられるかも気になったし。やっぱり印象深い、転機になった作品だと思います」
――劇場の雰囲気からして違いましたよね。いつもの劇団ハーベストにある、温かな空気とは違って。
葛岡 有(くずおか ある・以下 葛岡)「これまでの作品は、笑いの要素が強かったと思うんです。でも、今回は芝居を魅せたいねってみんなで話をしました」
高橋「これまで開演前にしていたグッズ販売もしなかったんです。開演前の音楽も、波の音にしたり」
加藤「最初の空気作りから、こだわっていましたね」
――これまではオリジナル脚本での公演でしたが、学生演劇でも使われる戯曲で公演を行うわけですよね。比較されることや評価されることに、ある種の怖さは感じませんでしたか?
加藤「そうですね。学生演劇でもやっている作品だからこそ、プロとしてクオリティの低いものを作れない、という怖さもあったし、オリジナル版を観たことがある方々がご覧になるかも…というのもあって。でも、劇団ハーベストだからこそ出来る『DOLL』にしよう、というふうに話をして、突き進みました」
広瀬 咲楽(ひろせ さら・以下 広瀬)「本(戯曲)の力がすごかったんです。そのプレッシャーがありました。どんなに読んでも、解りきっていないんじゃないか?っていう気持ちが付きまとっていて」
――決して単純なストーリーではないですものね。
広瀬「『DOLL』は、実際に起きた少女の心中事件を元にしている作品なんです。読み込んでも、この5人がどうしてこういう結論になったかを理解できなくて。(作者の)如月小春さんの意図を考えて」
川畑「本が難しくて…。でも、如月さんは、もういらっしゃらない(2000年没)。答えが解らない。答えはないのかもしれないけど…」
加藤「結末もすごく考えたんです。普通に読んだら暗くなるところを、劇団ハーベストの良さって何かと考えた時に、ポジティブなイメージを与えることができるんじゃないか、って考えて。最後は明るく終わりたい、と話して」
――前作、今作と、作品はどうやって選ばれたんですか?
加藤「去年のはじめ、私が座長で山本(萌花。前公演を最後に退団)が主宰になって、ふたりで話し合ったんです。今から新作を書いていただくよりも、既存の戯曲ってやったことないよね、って話して。自分たちでも調べて」
――事前に決まったものではなく、ご自分たちで決めていったんですね。
加藤「みんなで戯曲を調べに行ったり、持ち寄ったりして、いろんなものを読み合わせしたんです。『DOLL』はもともと読んでみたかった作品で」
宮武「最初、ふわっと『ちょっと読んでみる』ぐらいの雰囲気で読んだんです。読み終わって、みんなすごい衝撃を受けて」
加藤「でも、一回、やめようか、ってなったんですよ。」
宮武「意見が結構割れたよね。軽い気持ちで出来ないねって。この作品を(劇団)ハーベストがやるのはどうだろう?って」
――そうだったんですね!
高橋「意見結構割れたよね、見終わった後に、暗い気持ちになるよねって」
望月「ほとんどの人が『DOLL』っていう意見だったんですけど、私は違って。それで、討論になったんです。どっちの作品が、本当に魅せたいものなのか。結構、時間がかかった…」
加藤「私たち『DOLL』を選んだ側も、説得しきれなかったんですよ。最終的には多数決で、ってところまで」
宮武「役の分析まで始めていて。行こう行こう!となってたんです。でも、「これでいいのかな?」って。議論が何周もして、結果『DOLL』になったんです」
ディープに広がる「劇団ハーベスト」の世界
ディープなところまで掘り下げる! 劇団ハーベストの世界観 高橋「今回(『肉体改造クラブ』)も、家庭環境のシーンがあるんですよ。そういうシーンに、重きを置きたいと思っているんです。女子高生の視点も、大人からの視点も、私たちの視点もどちらも取り入れられるな、と思って」
加藤「悪を作りたくない。それぞれが必死に考えて、相手のことを想いやっているってことを表現したかったんです。どっちが悪いわけじゃないよ!っていうのを、今の高校生とか、同世代にも伝えたかったんです」
――子どもからの視点だけではなく、別の視点も取り入れている、と。
加藤「大人を敵にはしたくなかったんです。私たちは中間の存在として、大人の視点も子どもの視点もどっちも捉えられる作品にしようと考えました。ディスカッションしてる時も、親に対しての気持ちとか、それぞれ違うんですよ。子どもから見たら『何も見てないじゃん!』って思っても、大人からしたら、『必死に見ているんだよ』っていう気持ちがあったりして」
――かなり、ご自分たちでの話し合いを深めているんですね。
宮武「ディスカッションに使う量が大分変わりましたね。ディスカッションしていくと、ちょっとずつみんなの経験が語られるんですよ。『お母さんにこう言われてこう思ったよ』とか。そういうのを延々と積み重ねていったんです。それぞれ劇団員の事も知れる、っていう」
葛岡「いろいろ知ると、自分のことも解るんです。そして自分のことをいろいろ話すと、もっと自分のことについても気づける」
川畑「本当に、『DOLL』はほとんどディスカッションだったね。」
高橋「ディスカッションが多いかもね。美術ひとつにしても、みんなで話し合って」
広瀬「劇場で、水を使いたいって言いだしたりしてね(笑)」
加藤「実際に使ったストリングスカーテンは、美術の方のアトリエに行ったら、ちょうどあったんです。そこで一目惚れして」
――美術までご自分たちで関わって形にしているというのは、今までとは違いますね。
加藤「以前は、『こういうセットになりました』って言われて『わーすごい!』という感じでした。受け身でしかなかったのが、劇団としてしっかり考える、という第一歩になったのかな」
篠崎「旗揚げの頃はやってなかったですね。小道具の作成とか…。私は、旗揚げから1年で一度出て、おととしの12月に劇団に復帰したので、割と客観的に見ているところがあるんです」
――復帰した篠崎さんから見て、現在の劇団ハーベストは、いかがですか?
篠崎「旗揚げの頃から比べると、お互いにいろいろと言えるようになったように思います。分からないときとか、こうじゃない?とか言えるようになった。それは、ディスカッションを多くしてきたからかも。そこが劇団ハーベストの良いところですね。みんな尊敬してます」
――皆さんが、自発的に公演に関わっているんですね。
宮武「みんなが、自分の役だけじゃなくて、他の役を理解しようとしている。そういう会話が前よりできてるよね」
高橋「今回(『肉体改造クラブ・女子高生版』)のディスカッションもそうなんです。ゲストの皆さんにいろいろディープなところまでうかがって、あ、こんな生活だったんだ!とか、意外なことまで。そういうことを知ったからこそ、仲が良くなるし」
宮武「今回は、『DOLL』ありきの作品だよね」
高橋「うん、『DOLL』やってなかったら、選んでないよね」
全員「うんうん…。」
――前作『DOLL』は、新たな第一歩を踏み出す作品になりました。今作『肉体改造クラブ・女子高生版』はどんな作品になりそうですか?
加藤「そうですね…。『DOLL』は、劇団員だけの公演でした。今回は、それを広げる作品ですね。ゲストさんを多く招いて、また、外に広げるっていう。これまででいちばんゲストさんが多いのかな?」
望月「そうだね。それに、今回のゲストさんは年下が多いもんね」
宮武「数えたら、5人高校生がいる! なんだか稽古場が明るいよね。懐かしい感じ…。去年までは、まだ高校生だったんですけどね(笑)」
――高橋さんは、今作ゲスト出演される北原帆夏さんと舞台『ANSWER?』で共演したばかりですね。
高橋「今回は『ANSWER?』とはまた違う絡み方になりますね。『ANSWER?』では私が高1で、強さとか、言いたいことをちゃんと言える子の役でした。勢いがあると乗るねーって言われました(笑)」
――今作も期待しています! さて、最後に、劇団ハーベストとしてこれからどんな作品に挑戦したいですか?
望月「やりたい作品がずーっとあるんですよ。今回の作品決めの時、客演の舞台で、話し合いに出られなかったんです。連絡が来て、『またダメだったー』と思ったんですよね(笑)」
――そうなんですね!
宮武「そうなんです! 絶対いつかやるよね」
望月「やるやる! やります!」
――今回はあえて作品名を聞きませんね(笑)。もしかすると、次回は望月さんがずっと押していた作品になるかも、と。
高橋「でも、また違うものになるかもね(笑)」
望月「答え合わせしたら、違います!となるかもしれないですね(笑)」
――それも含めて、楽しみにしています! 今回はありがとうございました!
全員「ありがとうございました!」
公演詳細情報第29回 下北沢演劇祭参加作品
劇団ハーベスト 第15回公演『肉体改造クラブ・女子高生版』
【戯曲】古城十忍
【演出】中村公平×劇団ハーベスト
【出演】千綿勇平 (劇団番町ボーイズ☆)  比嘉奈菜子 (ex.アイドルネッサンス)  北原帆夏 たけだまりこ 戸谷菊之介 門脇咲季 小野由香 (東京マハロ)  瀬尾タクヤ
篠崎新菜 川畑光瑠 望月瑠菜 宮武佳央 高橋紗良 (劇団ハーベスト)
黒澤琉衣 谷本魁渡 高山葵 富田保乃歌
【会場】下北沢 小劇場B1
【日程】2019年2月18日(月)~2月24日(日)
【スタッフ】 戯曲:古城十忍 演出:中村公平×劇団ハーベスト
舞台監督:小島とら 舞台美術:仁平祐也 照明:池田圭子 音響:ORANGE COYOTE
音楽:広瀬咲楽・岩崎健一郎 振付:菊地理恵 衣装:阿部美千代 演出助手:平井由紀
宣伝美術:細見龍司 宣伝写真:是枝右恭 宣伝スタイリスト:岡部みな子 宣伝ヘアメイク:大野真理江・高橋純子
協力:MIHYプロデュース、ファンファーレ、劇団レトロノート、劇団ワンツーワークス、e-project
詳しくは公式サイトにてご確認ください。

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