TENDOUJI、The Floor、FINLANDS、強
烈な個性を放つバンドが相まみえた『
エスカミ Vol.3』レポート

SPICE✕SPACE SHOWER TV presents 『エスカミ Vol.3』

2019.2.1(FRI)LIVE HOUSE FEVER
2月1日(金)新代田FEVERにて開催された、SPICEとSPACE SHOWER TVによるコラボイベント『エスカミ Vol.3』。両主催者の頭文字である“S”に、“Coming=来ている、次来る”の意を組み合わせた『エスカミ』のタイトル通り、さらなる活躍を期待するアーティスト、音楽ファンにいま聴いてほしいアーティストをフックアップするこのイベント。3回目となる今回は、FINLANDSThe FloorTENDOUJIの3組が出演。ライブハウスを埋める観客とLINE LIVEで観覧する1万5,000人の視聴者が見守る中、タイプの異なるバンドが相まみえることで新しい発見があったり、そこに化学変化が起きたりと、ライブハウスや対バンの面白さや醍醐味をしっかり感じられる見応えあるイベントとなった。
FINLANDS 撮影=大橋佑希
FINLANDS 撮影=大橋佑希
静かに力強く始まった「ゴードン」でライブスタート。塩入冬湖(Vo&Gt)の絡みつく歌声で観客の心を一発で掴んだのは、トップバッターのFINLANDS。勇ましいビートにコシミズカヨ(Ba)のベースが重なり、ふつふつと高ぶる感情をなぞる演奏と胸を刺すハイトーンボイスで魅了した「バラード」、感情むき出しのボーカルとそれを煽る演奏に手拍子が起きた「yellow boost」と続き、どっしりしたビートにギターが躍る「さよならプロペラ」を披露すると、観客が自然と体を揺らす。
FINLANDS 撮影=大橋佑希
ここまでで僕も含む、初めて観たであろう観客もすっかり魅了していた彼女ら。MCでは自然体のキュートな掛け合いを聞かせ、節分にちなんでやたらと豆まきにこだわるコシミズに、「豆まきはもういいんだよ!」と塩入がツッコんで笑いが起きる。幻想的なイントロで空気を変えた「プリズム」はスローな曲調に塩入が丁寧に美しく言葉を紡ぎ、ラストは「くすぶっててもしょうがない。出たとこ勝負で前に出よう」と始まった「リピート」、観客の手拍子でフロアに一体感が生まれた「ウィークエンド」のアグレッシブな歌と演奏でフロアを沸かせ、しっかり爪痕を残した。
The Floor 撮影=大橋佑希
The Floor 撮影=大橋佑希
「楽しんで行こうぜ~!」とササキハヤト(Vo, Gt)が煽り、4つ打ちのダンサブルな新曲「Clover」で明るく楽しく始まったThe Floorのステージ。軽快なビートと温かみある歌声、キャッチーなメロディで観客を引きつけると、「Wannabe」では<高く高くその手挙げて>の歌詞に合わせて、会場中の手が上がる。ステージではその様子を見ながらメンバーが本当に楽しそうに演奏し、永田 涼司(Gt)がギターソロで魅了。続く牧歌的かつ疾走感ある「マジック」を駆け抜けると、「最高の夜にしましょう」の声にミラーボールが回り、ゆったりと心地よいビートで会場を揺らした「FASHION」で会場をダンスフロアに変える。
The Floor 撮影=大橋佑希
The Floor 撮影=大橋佑希
曲ごとに様々な風景を見せてくれる多彩な楽曲とがっつり心掴む歌声、正確かつグルーヴィーな演奏でバンドの存在感を知らしめた彼ら。「踊ろうぜ!」と始まった「革命を鳴らせ」ではパワフルな歌と演奏で前向きなメッセージを届けると、ラストは「耳や頭の中や心の奥に僕らの音楽を届けたくて、これからもずっとこういうことをやっていきます」と披露した「イージーエンターテイメント」に観客が手拍子や声を重ね、音楽で会場中を繋ぐ。彼らが去った後も、会場にはハッピーな空気が充満していた。
The Floor 撮影=大橋佑希
TENDOUJI 撮影=大橋佑希
ザクザクした攻撃的なサウンドに映えるモリタナオヒコ(Vo,Gt)のアグレッシブなボーカル、コーラスワークも楽しい「Killing Heads」で賑やかにライブが始まったのは、この日のトリとなるTENDOUJI。続く「D.T.A.」ではアサノケンジ(Vo,Gt)がボーカルを務め、ミディアムな曲調に乗せた美声が雰囲気をガラリと変える。続く「Peace Bomb」でモリタが再びボーカルを取ってドライブ感ある演奏で勢いづけると、「Kids in the dark」のハッピーで痛快なサウンドに観客が踊りまくる。ルックス含めてそれぞれが強烈な個性を放つメンバー、ベースの両脇にギター&ボーカルを置くセッティング、メンバーそれぞれのルーツが反映されてるであろうジャンルレスな楽曲たち。肩の力を抜いて本当に楽しそうに演奏する姿と、どこをとっても自由なこのバンド。MCではアサノが「先週、インフルエンザになったけどすぐ治って、暇で太った」と自虐ネタで笑わせ、この近所の兄ちゃん的な身近さも彼らの魅力なのだと納得。
TENDOUJI 撮影=大橋佑希
TENDOUJI 撮影=大橋佑希
「SALV.」「HAPPY MAN」と個性が重なることでバンドの深みや厚みを感じさせる曲が続き、「THE DAY」、「GROUPEEEEE」の感情的なボーカルや痛烈なシャウト、パワフルで勢いある演奏がクライマックスを作る。美しいバンドアンサンブルを聴かせた「Something」でステージを終えると、鳴り止まない拍手に応えアンコールも披露。強烈な個性が絡み合い、バンドの色や魅力、独創性を生み出すというバンドの面白さをTENDOUJIは体現していた。
TENDOUJI 撮影=大橋佑希
TENDOUJI 撮影=大橋佑希
大好きなバンドのライブに熱狂するのはもちろん楽しいが、お目当て以外のバンド、普段聴かないタイプのバンドに出会い、新たな音楽への興味や価値観を広げてくれるのもライブハウスやイベントの面白さであり醍醐味。強烈な個性を放つ3バンドが集い、どのバンドももれなく盛り上がっていたこの日。「お目当てのバンド以外に気になるバンドが出来た」というお客さんも多かったはず。そしてこの日、強烈な個性を放つバンドが相まみえる中で、『エスカミ』というイベントの色や魅力、独創性を感じた人も多かっただろう。終演後、いつまでもライブハウスに残って感想を話し合っていた人たち、満足そうに帰路につく人たちの笑顔が、素晴らしい夜だったことを証明していた。
取材・文=フジジュン 撮影=大橋佑希

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