REPORT / WWMM 2019 「楽しいね」―
―誰もが口々に言うミツメのお祭り!
特別編成のスカートにも注目。トヤ
マタクロウの写真と共に振り返る
そこには一定してミツメらしい穏やかな温度がありながらも、フードの出店やプリント・ワークショップの開催などもあって、まさに“お祭り”の楽しさ溢れる一日となった。彼らのプロフィール写真やアートワークを手がける トヤマタクロウ(http://takurohtoyama.tumblr.com/) の写真とともに、その様子をお届けしよう。
Text by hikrrr
Photo by Takuroh Toyama
「ケルト音楽が大好きで作ってみた曲です」と最後に始めたのは、ベース・ラインに山のイメージが浮かぶ一曲。海とはまた違うけれども、安心して身を委ねられるような展開がなされていた。nakayaanバンドはボーカルの抜き挿しが絶妙だなと思う。
その後ステージにひとり残った澤部は、いくつか自身の楽曲を弾き語る。1月にリリースとなった、メジャー2ndシングル「君がいるなら」もその内のひとつ。豪勢なバンド・セットを背に、ギターを手にして歌う孤独な様にはなんとも風格が感じられた。
そこにKATAより到着したミツメのリズム隊、須田洋次郎とnakayaanが加わり、初期の名曲 「ストーリー」(https://youtu.be/m2i65p-fbCI) を。須田のドラムが普段よりもどこか力強く聞こえたのは、澤部のボーカルに呼応してのことだろうか。「この曲を(今はもう)こういうノリでやらないんですよ、ミツメと出会った下北沢SHELTER時代を思い出しますね」と彼は語る。そのタイミングでミツメが全員集合し、彼らがカバーしたスカートの楽曲 「どうしてこんなに晴れているのに」(https://soundcloud.com/gekkoumitsuzou/doushite) をともに披露。
気分は高揚したまま、ミツメ 「Disco」(https://youtu.be/VXtlpGwQDls) のカバーへ。スカート流の大胆なアレンジがお馴染みの曲をいきいきとさせ、いつもとは異なるスタイルでの演奏に本人たちも楽しげだった。とりわけ、大竹雅生のギター・ソロはがらりと印象を変え、それはまるで舞台を跳ねる踊り子のよう。カバーとは、こうでなくてはと強く思う。
余談だが、一時期ミツメが演っていた 「20」(http://mitsume.bandcamp.com/track/20) のライブ・アレンジが個人的にとても好きだ。また、三銃士による“月光密造の夜”の開催も示唆されていたので、実現を期待しよう。
――いつのまにか、夜空の下にいた。星と星とを結ぶようなロマンティックな三拍子。ベテルギウス、シリウス、プロキオンが軽快かつゆったりとした足取りでワルツを踊る。その音景を耳にして、私は Mild High Club(https://youtu.be/n7SJM6o-RJ4) を観たときの感覚を思い出した。かと思えば、ラストは眩い光のなかでギターを掻き鳴らし、これまでの幻想を忘れさせて“くれる”。「こんな一面もあるんだ」との驚き、すなわち意外性はもしかしたら一番重要なのかもしれない。
ボーカル、フルートなどを務める榊原が「ミツメはすごく気になっていたバンドで、今回呼んでいただけて嬉しいです」と謝辞を述べると、会場は暖かい拍手に包まれた。ところで直観だけれども、Lampという存在には変わらない良さがある気がしている(バンドに変化がないとの意味合いではなく)。人生を通して聴き続けたい、本質的な良さである。それに対する自分の感じ方がどう変容してゆくのかを楽しめたら素敵じゃないか。
「さち子」(https://youtu.be/meF_vnE_uAw) 、涙が。
この日の 「オブジェ」(https://youtu.be/8tPyV-qEKoA) は一音一音がクリアで、それでいて4つの楽器が絡み合っているという、謂わば幾何学的な様相を呈していた。それから久しぶりの「towers」、昨年7月にリリースされた 「セダン」(https://youtu.be/bBBxhBRw7Nc) に続き、新曲「なめらかな日々」を披露する。サビではそのタイトルが歌われ、全体として虚無感と充足感との半ばにある暮らしを想起させた。こちらが収録される5thアルバム『Ghosts』は、4月3日(水)リリース予定となっているので楽しみに待とう。
ところで、ミツメの不朽の名曲と言えばみなさんは一体何を思い浮かべるだろう。色々挙がるなかでも、やはり 「煙突」(https://youtu.be/3yDSagU_gJw) を外すことはできない。川辺が「オイルにまみれて泥だらけ」と歌い出した途端、この日一番の歓声が上がる。こういう曲を音楽だけの領域に留めておくのは何だかもったいないとすら思う。他の文化から解釈したり、他の媒体でリメイクしたりしてほしい。
サウンド・プロダクションの方向性は違えど、 「ささやき」(https://youtu.be/A62hHAs32nA) から「天気予報」への流れはとても緩やかだ。思わぬ発見だった。特に後者は、“こういう風に生きたい”と思わせてくれる楽曲で、Lampとミツメには通ずるところがあると再確認。だからまた共演する日が来てほしいと切に願う。
そして最後は大人気 「エスパー」(https://youtu.be/chuSB4d50lI) 。その後味は爽快で、あっという間に終わりを迎えた賑やかな一日を総括する。そうして甘くさわやかなムードで空間をいっぱいにした彼らは、観客、出演者、会場に感謝してステージを後にしていった。
「今日は本当にありがとうございました」という言葉とともに聞こえてきたのは“まさか”の「Disco」。2度目ではあっても、青や水色や黄色、橙の光が踊るステージでさすが本家本元と言わしめるプレイを披露し、きっちりとWWMM 2019を締めくくった。
早くも来年のラインナップが気になってしまう。それくらい充実した時間を過ごすことができた。
【ミツメ セットリスト】
2. 忘れる
3. オブジェ
4. towers
5. セダン
6. なめらかな日々(新曲)
7. Alaska
8. 煙突
9. ささやき
10. 天気予報
11. エスパー
En.1. 渚(シャムキャッツcover)
En.2. Disco
【リリース情報】
ミツメ 『Ghosts』
Label:mitsume
Tracklist:
1. ディレイ
2. エスパー
3. ゴーストダンス
4. エックス
5. ふたり
6. セダン
7. なめらかな日々
8. クロール
9. タイム
10. ターミナル
11. モーメント
※CD、LP同時リリース
■ ミツメ オフィシャル・サイト(http://mitsume.me/)
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