ORESAMA原点回帰! ワンダーランドへ
ようこそ~in STUDIO COAST~ライブ
レポ

2019年も快進撃を続けるORESAMAの単独ライブ『ワンダーランドへようこそ~in STUDIO COAST』が2019年2月2日に開催された。アンコールも含め、全16曲で繰り広げられたORESAMAならではのレーザーが飛び交うPOPなORESAMAの世界観と、生ならではのライブパフォーマンス。STUDIO COASTがまるでホームのように感じる、ORESAMAらしさに満ちたステージをレポートする。
ライブ前にプレゼントが当たるクジ引きイベントも大盛況!
演奏が始まるとSTUDIO COASTが一瞬でディスコに!

新木場STUDIO COASTには開演前から長蛇の列ができていた。ライブに先駆け行われた物販が想定以上の人の入りのよう。会場ロビーにて行われる『WONDER DOME』と題されたクジ引きイベントは、事前の企画で挑戦権を得た一部のファンとグッズ購入者が引けるクジ。ORESAMA本人より手渡される手づくりグラス、ギターストラップ、メタルフレームと豪華すぎる景品が並ぶ。
それらの超貴重アイテムを逃し、「あーっ!」と悔しそうに叫ぶ参加者も中にはいたが、スタッフからの手渡しとなるA賞にはサイン入りノート、B賞にはサイン入りライブポスターと、その他景品も「残念賞」とは呼べぬ豪華さで羨ましいかぎりである。
開演前の祝祭ムードのまま時刻は17時。大勢の人で埋め尽くされる新木場STUDIO COASTの会場内。館内のBGMが鳴り止んだあとで、ライブの開始を告げるイントロの荘厳な重低音が響き渡る。
生まれたての音が、音楽へと形を変えていく。その最中、「ポーン」というベル音に続き、「レディース・アンド・ジェントルメン」、キャビンアテンダントを模した英語のアナウンスが流れる。やがて「ワンダーランドへようこそ」と、ぽんのコーラスが響き、歓声が上がる。会場、いや我々を載せた機体は、こうしてORESAMAの作り出すワンダーランドへ着陸する。
鳴り渡る手拍子、回り始めるミラーボール。光溢れ出すステージに現れるぽん、小島英也、そしてサポートベースの三浦光義(パレードパレード)、DJ・MONICOの4人。
「新木場STUDIO COASTにお集まりの皆さん! 一緒に盛り上がっていきましょうっ!」2019年が明けて初めてのORESAMAライブ『ワンダーランドへようこそ~in STUDIO COAST~』は、こうして幕を上げた。
1曲目はもちろん「ワンダーランドへようこそ」。ワンマンライブのタイトルであり、今年1月3日に配信限定でリリースされた新曲である。アップテンポでダンサブルな一曲に、MONICO(DJ)もチャーミングに飛び跳ねる。新しい土地に足を踏み入れた我々をもてなしてくれるのに、これ以上にワクワクする演出があるだろうか。
曲が終わり拍手と歓声が沸けば、続けて2曲目の「Hi-Fi TRAIN」が始まる。昨年4月11日に発売されたメジャー1stアルバムのリード楽曲だ。レーザーが会場を覆い、ステージ上のぽんの両側にはそれぞれダンサーが現れ演奏を盛り上げる。
ぐっと大人っぽい声で歌い上げるぽん。「叫ぶようにそらを泳ぐ」の歌詞に沿うよう、声に力強さも込め会場の隅から隅まで歌を届かせる。 3曲目、アニメ『魔法陣グルグル』1クール目のOPテーマにもなった「Trip Trip Trip」。途端に雰囲気が変わり、ぐっと可愛らしい歌い出しが響き出す。魔法の世界を作り出すような煌めく音楽に高揚感も増していく。
「ありがとう!」歌が終わり、叫ぶぽん。ワーッという大勢の声と拍手で会場は満たされていく。拍手が鳴り終わっても会場の中で何名かの叫び声が響く。思いを伝えずにはいられない、そんなエモーショナルな気持ちがステージに向かっていく時間は見ていて心地よいものだ。
「みんな元気そうでよかった」ポツリと呟くようにぽんが言い、会場は温かな笑いと歓声、拍手に包まれる。3曲連続して歌い終え、やや呼吸を荒げながらも楽し気にMCを始めるぽん。
「私たちとみなさんの間にはあると思うんですけど、あなたとその前後左右にいる人、会場にいるすべての人との間に、思いやりと愛を持って、一緒に遊んでいけたらと思います。もし体調が悪くなってしまったら、今言ったら悪いかなとかぜんぜん考えなくていいので、すぐ近くのスタッフさんに声をかけてください。一度しかない夜なので、全員で楽しく、全力で、最後まで一緒に遊びましょうっ」
労いも込められたぽんのセリフ。「遊ぶ」というフレーズに、彼らのライブに対する考え方や思いがすべて乗っかっている気がした。
単に演奏を見てもらうのではなく、観客もろとも演奏に引き込むのだ。次の4曲目は、「みんなと一緒に旅行したい」という思いから選曲された、ライブ初演奏の「空想フライト」。「Trip Trip Trip」のカップリング曲でもある。 爽やかな演奏の中に、ネイザンロード、マーライオン、ラスベガス、シャンゼリゼとさまざまな観光スポット名が散りばめられる。世界旅行へと我々を誘う。世界のすべてが一度に揃うのも、このワンダーランドならではだ。
音は途切れることなく、曲調が変わって5曲目、「cute cute」。ジャズ・スウィングの要素を取り入れたオトナっぽい楽曲に、ステージも艶やかな赤に染まる。
「踊りましょー!」叫んでステージの花道を前へ前へと歩き出して妖艶な声で歌うぽん。バラード調のBメロで一度照明は青に切り替わるも、「愛していてよ」のサビで赤と青が交互に入り乱れた照明に。視覚的にも心地よい演出が満載である。ORESAMAの中でも独特なこの楽曲だが、歌い終えて「ありがとうっ!」と叫んだぽんは、また少女のような可愛らしい声に戻っていた。
ふたたび、音が途切れる。今度は完全に沈黙だ。叫び声一つ上がらないのは、誰もが一体となって演奏後の高揚感に包まれていたからだろう。
「前回の赤坂BLITZ、遊びに来てくれた人いますか?(「うおー」「はーい」という応答の声)あ、いっぱいいる! 楽しかったよねえ」まるで友達に話しかけるよう。アーティストと観客という関係ではなく、この会場の中では同じ音楽で繋がり、共に遊ぶ仲間だからだろう。
MC明けの6曲目は「迷子のババロア- Remix-」。続いて7曲目「デジタルラブ- Remix-」と、バラードが2曲、どちらもRemixバージョンで演奏される。Remixバージョンは普段の演奏とは違い、ちょっとデジタルチックな印象。演奏終了で一旦、ステージのメンバーはDJ MONICOを残して去る。DJブースの「ORESAMA」の文字が点滅し始め、MONICOによるDJタイムが始まる。DJタイムはライブの流れからスムーズに始まり、フロアはダンスフロアに。
切れ味のよいカッティングと対照的なメロウなギターソロにも注目!
「鏡よ鏡、私世界を変えたいの」
ステージに戻ってきたぽんの声から、8曲目「ワンダードライブ」が始まる。ここから後半戦。しかしまだまだ「遊び」を盛り上げていくという決意表明のようなキラーチューンだ。 この楽曲では小島のギターソロも光る。カッティングを多用したキレのあるプレイはフロアのテンションをさらに加速させていく。
続く9曲目は「Waiting for...」。テンポのよい、どちらかと言えばバラード寄りの楽曲は、レーザーも緑と紫の2本から、サビで黄・緑・コバルト・紫に変わるなど、寒色ながらもカラフルに演出されていく。この楽曲内でもギターソロがあり、演奏の場面では小島がステージの花道を前に出る。客の目の前で存分にギターテクを披露し、喝采を浴びた。
「何枚ものシングルや、メジャー1stアルバムもリリースし、色々な経験をさせていただいて。見たこともない景色もたくさん見せていただいたし、生意気ながらも、変われたなって思うところも、もっと変わっていかなきゃいけないなと思うこともたくさんあります。それと同じくらい、変わりたくない、あるいは忘れかけてたこともあったりして。今年は特に、原点回帰のような一面もお届けできたらいいなと思っております」
新年の抱負を語りながら、それは同時に10曲目として歌う「秘密」への導入にもなっていた。「ワンダーランドへようこそ」と同時に今年配信されたばかりの楽曲だが、ORESAMAとしては過去のライブでも披露され、長年温められてきた、思い入れのある1曲だ。
「ちょっと嫌かもしれないですけど、みんなの心の奥に隠してある切なかった気持ちとか、届かなかった、届けられなかった、もう届かない気持ち、どうしようもない気持ち、そういうものを押し込めてある引き出しをちょっとだけ開けてもらって、みんなが主人公の物語として聴いてもらえたら、とても嬉しいです」

ピアノの音から始まる、際立って静かな楽曲。今までのORESAMAの曲のどれとも異なる、等身大のバラードだ。一筋のスポットライトがぽんを照らし、静かなラップ調の歌詞が紡がれる。 ワンダーランドにはすべてがあるのだと、改めて感じる歌だ。空想だけでなく、本当は顔を背けたい現実もそこにはある。ただ、目を覆う手を無理やりはがそうとするのではなく、心に小さく開いた鍵穴にそっと小さな鍵を差し込むような優しさで、一つ一つの言葉が心の扉を開かせる。 曲の盛り上がりと共に、ぽんを照らすスポットライトも、一筋から二筋、三筋と徐々に明るくなっていく様子は、まるで心の奥底に眠っていた感情を浄化させるような温かさを感じさせる。
続く11曲目、「全然気にしてないから僕のことは気にしないで」。こちらもバラードだが、テンポよく盛り上がる、これまでのORESAMAテイストたっぷり。
さて、ラストの3曲。「ここからは、一緒にアガれる曲しか持ってきておりません。みんなイケますかー?」問いかけからアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』EDテーマとなった「ホトハシル」がスタートする。ぽんの両脇には再びダンサーが登場。手にはめた銀色の手袋が照明を浴びて煌めく。
「叫べ 叫べ 熱を持つこのカラダが今を生きる証」シリアスな歌詞ながらテンポの良い楽曲に、会場の盛り上がりも最高潮に。
続く13曲目「銀河」では更にグルーヴィーな展開へ、観客が掲げた手を曲に合わせて右へ左へとウエーブし、会場が一体となった。ステージ上でも、ベース、ヴォーカル、ギターの3人が横一列に並び、横揺れしながら揃ってダンスをするような場面も。
ラストの14曲目は、「流星ダンスフロア」。『魔法陣グルグル』2クール目の主題歌だ。終わりたくない、ずっと踊っていたい、そんな気持ちにさせる1曲。最後まで煌びやかな会場には、最後に天井から星型の紙がヒラヒラと舞い降りてくる演出も。
「ありがとうございました、ORESAMAでしたー!」
ステージから去っていくメンバーたち。だが拍手は鳴りやまない。バラバラだった一人一人の手拍子が、徐々に揃い始める。アンコールの声が響くスタジオコースト。永遠にも感じられるような時間。我々はまだワンダーランドから出ていない。ずっとここにとどまっていたい。そんな気持ちがあふれる。
やがて流れるイントロは、アンコール1曲目「ねえ、神様?」だ。メンバーがステージに戻ると、意外なことに、これまで喋らなかった小島が口を開く。
「アンコールありがとう。最後まで楽しんでいきましょう」
続くアンコール2曲目こそ、本当に最後の曲となる。「乙女シック」。では叫び、飛び跳ねるぽん。ステージの画面にもハートの形が波紋のように幾重にも広がっていく。ラブでいっぱいの1曲だ。
「今日は本当にありがとうございました! また一緒に遊ぼうね!」
メンバーが横一列に手をつなぎ、今度こそステージのすべての演目が終わる。喜びだけでなく涙も、言葉にならないような切なさも、すべてが詰め込まれたワンダーランドのステージ。最後はぼんと小島だけステージに残り、客席に感謝を伝える。約1時間半にわたって駆け抜けていった今回のステージ。生ならではの楽しさに満ちたORESAMAのライブは、終わった後の帰り道の満足感は格別だ。また2019年もこのライブのように、ORESAMAにとって勢いのある1年になるに違いない。
(取材・文:平原 学)

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