『FM802弾き語り部 2019新春発表会』
テレン松本大、フジファブ山内総一郎
、渡辺大知で最高の幕開け

『FM802弾き語り部 2019新春発表会』2019.1.24(THU)大阪・心斎橋BIGCAT
FM802主催のアコースティックライブイベント『FM802弾き語り部 2019新春発表会』が、1月24日に大阪・心斎橋BIGCATにて開催された。LAMP IN TERREN・松本大(Vo,Gt)が同局の人気番組『ROCK KIDS 802』にゲスト出演した際、「弾き語り部を作って部長になりたい!」と発言したことをキッカケに生まれた『FM802弾き語り部』。4回目となる2019新春発表会は、松本に加え、山内総一郎フジファブリック)、渡辺大知と初出演の2組が出演し、各々が持ち時間たっぷりのライブにトークにと場を沸かせた。
松本大
まずは、見事ソールドアウトとなったBIGCATのステージに、弾き語り部・宣伝係のFM802DJ・飯室大吾、女子マネージャーのFM802DJ・田中乃絵と共に松本が現れ、「あけましておめでとうございます!」と新年のご挨拶。トークからの流れで、通算10回目の開催となるこの日のトップバッターを松本自ら務め、「眠たい曲から始めるんで、寝落ちしないように最後まで楽しんでいってください(笑)」と、「月のこどもたち」からライブはスタート。つま弾くアコースティックギターの朴訥とした音色と、心の深淵にまで響くような歌声がゆっくりと、優しく包み込むよう会場に広がっていく。そのまま、「弾き語り部では毎回カバーをやっておりまして、めっちゃ最近の曲だけど知ってるかな?」と、RADWIMPSの最新アルバム『ANTI ANTI GENERATION』から「そっけない」を、堂々の佇まいでフロアに届ける松本。日本のロックシーンを代表するバンドのラブソングでさえ、完全に己の曲に染め上げる部長、さすがです! かと思えば、今度は鍵盤の前に移動し、きらびやかな照明も演出もなく、ただ切々と「花と詩人」を歌う。彼の歌声とメロディがあれば全てが成立してしまう、これぞアコースティックライブの真髄という瞬間が続いていく。
松本大
再びギターを手に取り、「テンション上げてく?」とはにかむ松本。「自分の日々の憂鬱を吐き出すために作ったメロディがあるんですけど、世の中のことは全て、愛したい、愛されたいに帰結すると思っていて。要は皆さん、ウォーウォー言ったらいいだけです(笑)」と軽快なストロークから始まった「オーバーフロー」では、フロアから沸き立つ手拍子とシンガロングが溶け込んでいく。目の前に広がる美しい光景を前に、「昨年は喉のポリープの手術で4ヵ月活動休止してたんですけど、今年はそんなふうに休まず躍進したい!」と語ったMCには大きな拍手も。
「メジャーデビューして4年、歳は26になりました。今日、どれぐらい僕の歌が届いてるのかは分からないけど、胸を張って歌って、皆さんの日々を支えられるバンドになるんだと思ってやってます。皆さんのすぐ隣で、手を叩き合って、歩いていく。俺のステージが、皆さんの何かのきっかけに、新しい一歩になれば。俺は俺を愛するので、皆さんは皆さんを愛してください」
松本大
最後は、最新アルバム『The Naked Blues』から「BABY STEP」を。「僕が僕を好きになった瞬間から 世界は変わるのだから」。楽曲に刻まれた決意とメッセージ同様、胸を突き上げるような感動を巻き起こした松本大が、1年の素晴らしい幕開けを飾ったライブだった。
渡辺大知
そして二番手には、昨年の10月の黒猫チェルシーの活動休止を経て、現在はソロとして活動する渡辺大知が登場。「弾き語り部、入部しました!」と、フォーキーでラフな雰囲気が抜群にハマッた1曲目の「ベイビーユー」から、まるで初出演とは思えない馴染んだ空気を醸し出し、一瞬にしてオーディエンスを虜にしてしまう人懐っこさと歌声たるや。さらには、「今年から1人でどれだけできるかを試してやろうと思って、今日が大阪初ライブです! 今からやる曲は高校1年生の頃に作った曲で、バイト先が最寄り駅から徒歩40分あったんで、当時はチャリが欲しかったんでしょうね~」と、何ともストレートなタイトルの「チャリが欲しい」を披露(笑)。曲中で、「この辺りで「手拍子せんのかーい!」とか言おうと思ってたのに、出来過ぎてるぞBIGCAT(笑)。ここからはみんなの気持ちを代弁して」と、いつの間にかサビのフレーズを「彼氏が欲しい」に変えるものの、やっぱりにくめない(笑)。一転、「次は菅田将暉くんに楽曲提供させてもらった曲をやろうと思います。別れの歌です。夜明け前、あてもなくドライブするようなイメージで聴いてくれたら嬉しいです」と告げた「風になってゆく」では、その叫びにも似た歌声に、会場が一気に引き込まれる。
「数年前、地元の神戸でずっと対バンしてたパンクバンドの女の子が亡くなっちゃって。でも、すげーいいヤツだったから、大好きなヤツだったから、あんまり暗い気持ちにはならなかったんですよね。今でもずっといてくれるような気がしてるから、僕も音楽がやれてる気がします。ちょっとかわいい幽霊の歌を歌おうと思います」
「星になれなかった二人」では、ブルースハープとアコースティックギターがその想いの強さを伝えるかのように鳴り響く。MCでは、「1人でどれだけできるのかというタイミングで、歌とギター1本でやれるこういう場に呼んでくれて、ホントに光栄に思ってます!」と感謝を述べ、後に出演を控えるフジファブリックの山内総一郎(Vo,Gt)と、偶然にもお互いに初めてコピーした楽曲だったスピッツの「チェリー」を楽屋で一緒に演奏し、「何だか部室みたいなやなと思った(笑)」というエピソードトークも。また、「黒猫チェルシーをやってたときは、このバンドじゃなかったら音楽をやってなかったと話してたんですけど、いざこうやって1人になったとき、やっぱり音楽をやりたいなと思ったんです。今日は1人1曲カバーするということで、僕ならではのやつを」と、彼が俳優として出演したドラマ『火花』の劇中でも歌ったという、「空に星が綺麗」(斉藤和義)をカバー。これには胸を打たれたオーディエンスも多かったことだろう。
渡辺大知
2年ぶりの関西での弾き語り、「いかに自分がバンドのメンバーに甘えていたのかが分かるのと同時に、好きなタイミングでビール飲めちゃう、みたいな感じは弾き語りならでは(笑)。今日はお客さんに助けられました」と語った彼が、最後にその胸の内を歌い上げたような「また会おう」まで全6曲。あたたかくもまっすぐなライブで、ソロアーティストとしての未来を提示した渡辺大知だった。
山内総一郎
フロアから思わず歓喜の声もこぼれる歓迎ぶりだったのが、先輩新入部員にしてこの日のトリを飾ったフジファブリックの山内総一郎。1曲目の「ブルー」から、切なくもドラマティックなメロディと優しい歌声が、否が応にも琴線に触れていく。いや~弾き語りも絶品! そんな中、「あけましておめでとうございます。今日は気合いを入れてきたんですけど、実は1曲目を飴を舐めたままやっちゃって……」というまさかの発言に、会場からは大きなどよめきが(笑)。その様子を前に「ざわついてる(笑)」と微笑みながら、リズミカルなカッティングに乗せて「カンヌの休日」へ。山内も「みんなリズム感いいね、さすが関西のグルーヴ!」と関心するのと呼応するように、フロアの温度もグッと上がっていく。
山内総一郎
続いて、「さっき大知くんが言ってたように、楽屋が部室みたいになってて」とTHE BLUE HEARTSの「青空」を一節奏でつつ、「せっかくなんで「チェリー」をやるのが普通の流れでしょ? でも、あいつが先に言いやがったから、先輩がやる曲を(笑)」と笑い、あえてやらないと宣言する山内。そして、「自分が一番年上の現場も、バンドマンが弾き語りできる場所もあんまりないんで、松本くんにはお礼を言いたいと思います。じゃあ、次の曲をやります、「チェリー」(笑)」という鉄板の流れには、会場も大いに盛り上がる(笑)。「去年出したすごく気に入ってる曲で、大知くんも出ていた映画『ここは退屈迎えに来て』の主題歌」という「Water Lily Flower」では、足元のキックペダルを駆使したビートとそれに絡み合うようなギターでも、メランコリーかつ情熱的な世界観を味合わせてくれた。
山内総一郎
そしてラストは、満を持してニューアルバム『F』の中から「東京」を。躍動感と高揚感に満ちた新曲は、その言葉のみならずグルーヴでもフロアをロックオンし、満場のBIGCATの各所で身体を揺らすオーディエンス。クライマックスの歌詞を「大阪」に変えるリップサービスといい、歴戦のライブ巧者ぶりで観る者を魅了し続けた山内が、最後に松本と渡辺をステージに呼び込む。
エンディングのセッションでは再びフジファブリックのニューアルバムから、異なる魅力を持つ三声が重なり合い、さながら弾き語り部のエンディングテーマとして作られたかのようにすら感じる「手紙」を3人で。それぞれのアーティストの楽曲はもちろん、そのパーソナリティまでを存分に堪能できる、『FM802弾き語り部』。最後の最後の記念撮影まで終始グッドヴァイブな2時間半の宴は、弾き語り部の2019年に期待を高めるには充分な一夜となった。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生)

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