海宝直人「ディズニー作品は僕の血み
たいなもの」~『ディズニー・ブロー
ドウェイ・ヒッツ』にゲスト・シンガ
ーとして出演

2019年1月31日と2月1日、『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』が日本に初上陸する。アメリカ・ボストンのボストン・シンフォニー・ホールやイギリスのロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールで上演され、人気を博したコンサートが初来日を果たす。ブロードウェイのディズニー・ミュージカルでキャストを務めたミュージカルスター4人による、このディズニーづくしのコンサートに、ゲストとして海宝直人が参加する。これまで4つのディズニー作品に出演してきた海宝が意気込みを語った。
『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』舞台写真より (c)Disney

――『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』のゲスト出演の話が来た時はどう思われましたか?
絶対に出たい!と思いました。ディズニー作品で育ってきた身としては、ぜひ参加したい。皆さんの歌を生で聴きたいですし、同じステージで歌うことも楽しみです。
――ずばり、ディズニー音楽の魅力は?
アラン・メンケンもシャーマン兄弟の楽曲も、すごくシンプルでキャッチー。『美女と野獣』のタイトル曲は5音が続くシンプルな構成でありながらドラマチックで、キャラクターの感情がうまく表現されています。老若男女問わず、耳や心に残るのはディズニー音楽の魅力であり長く愛される理由だと、歌っていて感じます。
――ディズニーの曲を歌うのは難しいものですか。
難しいところはありますが、一度体に入ってしまうと、音楽が自然と感情を引き出してくれる感覚があります。
海宝直人

――これまでディズニー作品4作に出演なさいました。今、その経験はどのような力になっていますか。
僕は子供の頃、『美女と野獣』でデビューし、『ライオンキング』にも出演させていただきました。これらの劇団四季のディズニー作品から、ミュージカルと演劇の基礎を学び、まるでディズニーの血が流れているかのような環境で育ちましたね。大人になってから、『アラジン』『ライオンキング』『ノートルダムの鐘』に出演。『アラジン』では、エンターテイメントとしてお客様を楽しませることを学びました。『ライオンキング』は前衛的な演出で精神性が強く、長い歴史の重みを感じる作品。ライオンを演じるため、ジュリー・テイモアさんが作り上げた伝統舞踊をもとにする身体表現に挑戦し、そんな身体表現は初めての経験でした。『ノートルダムの鐘』ではカジモドとして歪んだ姿で特殊な発声をしなければならず、喉の管理や難しい表現に取り組みました。演劇的によくできた作品で、噛み砕いて理解し表現する勉強にもなりました。
アシュリー・ブラウン (c)Disney

――ディズニー作品で思い入れのある役と、将来出てみたい作品は?
『ライオンキング』は小学生の頃から3年間出演し、大人として戻ってシンバを演じることができた、役者として思い入れが強い作品です。オリジナルのムファサのお面のたてがみは、実際にマサイの方たちから集めたもの。歴史や特別な何かがこの作品には宿っている気がします。シンバとして久しぶりに楽屋に入った時も、他の作品とは違うものを感じました。先日、濱田めぐみさんとも、『ライオンキング』は特別だと話したところです。
やりたい役は、『美女と野獣』のビースト。そして『アラジン』のジーニーかな。会場全体を巻き込む、エンターテイナーの役にも挑戦したいです。
――海宝さんご自身のコンサートでもディズニーの曲はよく歌われていますね。ミュージカル中で歌うことコンサートで歌うことに、違いはありますか。
やはり違いますね。コンサートの時は1曲単体としてドラマが成立するような楽曲を選びます。演劇的な流れでこそ魅力が伝わる曲は本編で見てもらいたいので。もちろん、1曲で成立する曲も、ミュージカル本編で見ていただくと、また違った印象になると思います​。
ジョシュ・ストリックランド (c)Disney

――今回のコンサートの見どころと注目ポイントを教えてください。
オリジナルのキャストが揃うことは貴重で、もうブロードウェイで上演されていない作品も多い。そんなディズニーの名曲の数々を一夜でいろいろと聞けるのはすごく贅沢だと思います。またブロードウェイのミュージカルの中でしか聴けない、アニメでは聴けない曲もたくさんあります。例えば『アラジン』の「Proud of Your Boy」はアラン・メンケンとハワード・アッシュマンが思い入れたっぷりに書き、もとはアニメに入る予定でしたが、泣く泣くカットされた曲。それがミュージカルでは復活しています。ですから、アニメしか知らない方に見ていただき、ミュージカルではこんな素敵な曲がある!と思ったら、ぜひミュージカルに足を運んでいただきたい。ディズニーの新しい世界の扉を開ける、最高のチャンスになると思います。
アルトン・フィッツジェラルド・ホワイト、ジョシュ・ストリックランド (c)Disney

――原語である英語で歌うと、視野が広がったり、発見があったりするものですか。
そうですね。特に海外ミュージカルを日本でやる時は、いつも原語を確認するようにしています。原語で歌うと、メロディラインの音階が上がるところに重要な単語が乗っていたりするんですよ。例えば日本語歌詞だと1音に1語なので、音階が上がるところに助詞がきたりするわけです。そんな時には違ったアプローチが必要で、助詞の前の単語をいかにうまく強調するかを大事にしています。日本語を大事にしつつ、音楽にも気を配るわけですが、原語で歌うとそんな必要はなく、言葉通りにメロディが進行する。ここでこの言葉を言うからこそメロディが駆け上がり、音圧が上がるのか!オーケストレーションで楽器が増えるのはこんな感情を歌っているからだ!など、気づくことが多いです。このコンサートは基本、原語の歌になるでしょうから、新しい発見がたくさんあるはずです。
(c)Disney

――海宝さんは常日頃からディズニー好きを公言されていますね。演じることと別に、キャラクターになれるとしたら何になりたいですか。
何だろう? ずっと好きなのは『アラジン』のジーニーです。子供の頃、「Friend Like Me」が好きすぎて、VHSを繰り返し巻き戻して、ずっと見ていました。ジーニーみたいに、魔法を使ってみたいです。
――キャスト4人の楽しみなところは?
映像でしか拝見できていませんが、『メリー・ポピンズ』ブロードウェイのオリジナルキャストを務めたアシュリー・ブラウンさんは力使い歌声が素晴らしい。ジョシュ・ストリックランドさんはアシュリーさんとのデュエット「Let it Go」を聴いたら、ハイトーンで女性のキーがスパーンと出ていました。アルトン・フィッツジェラルド・ホワイトさんは日本人の声帯にはない深みや厚みが素晴らしく、生で聴くのが楽しみです。キシー・シモンズさんは『ライオンキング』ナラ役を9年も務めたとのこと。そんなすごい人たちが集結するなんて、楽しみで仕方がないです。
(c)Disney

――海外キャストと共演することで、気づきや学びはありますか。
日本のキャストとはカラーが全く違うので、面白いです。ロンドンで感じましたが、向こうのキャストは非常にダイナミック。颯爽とやってきて、パーンと歌って、颯爽と帰るイメージ(笑)。日本のキャストは繊細で、群舞の揃い方とかきちっとしていて。一方、ブロードウェイやウエストエンドでは、アンサンブルでも個々が立ち、それぞれがダイナミックで、エネルギーがじかに伝わってくる。その持ち味の違いが面白く、学ぶところはどちらにもあります。
海宝直人

――海外に出ると、日本は発展途上だと感じることはありませんか。
僕がロンドンで出演していた時期、ちょうど『王様と私』のプレビュー中で、渡辺謙さんと大沢たかおさんが出ていらっしゃって、観客を湧かせ、舞台に引き込んでいました。人種の壁や組合問題もありますが、もう遠い世界ではないなと感じました。言語の壁は大きいけれども、意識をひとつ変えるだけで、決して遠い世界ではないなぁって。
――このコンサートで海宝さんがお客さんにかけたい音楽の魔法はありますか。
『美女と野獣』はパリ、『メリー・ポピンズ』はロンドン、『ライオンキング』はサバンナ、『アラジン』のアラビア、『ターザン』はジャングル……とまるで世界を旅するように、時間も現実も忘れて、一曲ごとにいろんな世界に浸っていただけたら嬉しいです。

取材・文=三浦真紀
ヘアメイク:中嶋竜司
スタイリスト:及川千春
撮影:中川容邦

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着