【kobore インタビュー】
koboreらしさが
さらに広がってくれたらいい
バンドらしさを更新する魅惑の一枚に仕上がった1stアルバム『零になって』。前作までの三部作シリーズを経て新たなチャレンジが盛り込まれた作風は、“この曲も、あの曲もやっぱりkoboreじゃん!”と言わせる説得力を誇っている。佐藤 赳(Gu&Vo)にじっくりと話を訊いた。
前ミニアルバム『ヨル ヲ ムカエニ』のレコ発ツアーは全国53カ所に及ぶものでしたが、ファイナルのTSUTAYA O-WEST公演はとんでもない盛り上がりでしたね。
53本も回ったので、自分たちの感情がフルに出たツアーでしたね。ファイナルは、あの尺とあのキャパは初めてだったので、とにかく歌い切ろうと。ツアー中に来てくれたお客さんの顔も観えたので、ツアーはやって良かったなって。
ツアーを通して何か気付いたことはありました?
“こういう曲があったらお客さんはもっと盛り上がるんじゃないか”って、オーディエンス目線で考えられるようになりました。ただ、ファイナルの2日後にはレコーディングで、今作は主にツアー中に作った曲なんですよ。
今作はkoboreの武器である佐藤さんの歌、メロディー、歌詞により力点を置いた曲が増えた印象を受けました。
そうですね。自分らしさを意識しつつ前作よりも説得力が増して、koboreっぽいと思ってもらえたらいいなと。
自分が思うkoboreっぽさとは?
正直言って分からなくて…がむしゃらに歌詞も曲も作りますからね。「ナイトワンダー」に関しては自分が一番やりたいことを詰め込んだ曲なんです。切なさがあって、良い意味でkoboreっぽくないと言われることが多くて。
「ナイトワンダー」は雰囲気のある曲調ですよね。
作り込んでますからね。夜とか、そういう状況で聴いてほしいと思って作りました。
もともとkoboreは夜をテーマにした曲が多いと思うんですけど、あえてそこに寄せたのは何か特別な理由でも?
そこ、なんでしょうね。“夜のバンドと言ったらkobore”って感じてもらえたら嬉しいから、がっつり夜に聴かせる曲を作りたくて。あと、今まではハッピーに終わる曲が多かったから、切ない感じで終わらせたら違う僕らが見えるんじゃないかと。それを凝縮できたのが「ナイトワンダー」なんです。古臭いグランジ感というか、The Smashing Pumpkinsみたいにフッと流れていい曲だなと思ってもらえるものにしたくて。今回はいろんなkoboreが散りばめられているし、よりkobore節が炸裂した一枚かなと。
中盤にエモーショナルな曲調が続きますよね。「ワンルームメモリー」「ナイトワンダー」「おやすみ」「夜を抜け出して」の4連打は少し意外な流れでした。
中盤でいかに聴かせられるかって。「おやすみ」と「夜を抜け出して」の歌詞が続きになっていたり、流れで聴かないと意味のないものにしたかったんです。好きなバンドの作品の曲順って覚えてますからね。なので、曲順にもこだわりました。アルバム名にもつながるけど、一旦ゼロになって、もともとあった曲がまた違ったように響いてくれたらいいなと。
あと、「スーパーソニック」も個人的に大好きな曲で。これも今までになかった曲調かなと。
この曲はメロディーとダサさを意識しました。バンドにダサい曲があったほうが良くないですか(笑)。僕はJ-POPが大好きで、語弊があるかもしれないけど、特にダサいところが好きなんですよ。だから、単純にダサい曲を作ろうと。メンバーのみんなにも“シンプルにいくわ!”って言って。“このリフ、ダセぇ!”と言いながらも、メロがめちゃくちゃいいし、キャッチーですからね。ほんとにド直球の曲ですね。高校生なんかが単純に“いい!”と言ってくれるような曲を初めて作れたのかもしれない。歌詞も地味にいいこと言ってますからね。でも、《スーパーソニックなんです 君は》とか、頭悪そうな歌詞じゃないですか(笑)。そこがいいなと。
これまでと歌詞の書き方を変えたところもあります?
作り方は変わってないけど、書く内容は変わりますからね。「さよならは言わずに」はドラマチックを意識して書きました。
ラスト2曲「東京タワー」「さよならは言わずに」は曲調・歌詞ともにスケールが大きくなってますよね。
「東京タワー」は上京してもそんなにいいもんじゃないよって、皮肉を込めて歌ったんですよ。
でも、応援ソングにも受け取れますけどね。
そうですね。頑張ってくれよって。で、「さよならは言わずに」の歌詞の《ずっとここで待ってるから》につながるという。
なるほど。アルバム名にはどんな意味を込めて?
初のフル作なので、曲順、構成、雰囲気を含めて、また違うkoboreが生まれたら、それはゼロじゃないですか。“零”って“ゼロ”とも“コボレ”とも読めるから、うまくはまったなと。
バンド的にはまたここからスタートだという気持ちも強いですか?
そうですね。前作までが三部作だったので、あれで終わった感もあったから、一旦ゼロにしようと。koboreらしさがこの作品を聴くことによって、さらに広がってくれたらいいなと。今回はジャケ、歌詞カードにもこだわっているので、それも楽しみにしてもらえるといいですね。
では、今作のレコ発ツアーに対する意気込みを!
今回も北から南まで回りますからね。僕はライヴをやらないと駄目になっちゃうんです。ライヴがないと“なんで生きてるんだろう?”って思っちゃうほうだから。2週間空くと堕落し始めますからね(笑)。今回のアルバムはいろんな挑戦を詰め込んだ曲が多くて、ワー!と騒げる曲、聴かせる曲、初めての気持ちで向き合う曲もあるので、ツアーの先々でカッコ良いと思ってもらえるように頑張ろうと思ってます。ただ、ツアー名の“スーパーソニックTOUR 2019”は超ダサいんですけどね。だからこそ、何をやってもカッコ良い!と思ってもらえるバンドになれたらいいですね。
取材:荒金良介
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アルバム『零になって』2019年1月23日発売
Paddy field
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『kobore スーパーソニックTOUR 2019』
3/08(金) 東京・府中Flight
3/09(土) 神奈川・横浜F.A.D
3/20(水) 石川・金沢vanvan V4
3/21(木) 兵庫・神戸太陽と虎
3/26(火) 岡山・岡山CRAZYMAMA 2nd Room
3/30(土) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
3/31(日) 千葉・LOOK
4/02(火) 静岡・UMBER
4/04(木) 愛媛・松山Double-ustudio
4/06(土) 福岡・Queblick
4/07(日) 鹿児島・SRHALL
4/09(火) 香川・高松DIME
4/10(水) 広島CAVE-BE
4/13(土) 長野・松本ALECX
4/14(日) 福島・郡山#9
4/16(火) 新潟・CLUBRIVERST
5/03(金) 北海道・札幌COLONY
5/05(日) 青森・八戸FORME
5/06(月) 宮城・仙台enn 2nd
5/08(水) 愛知・名古屋APOLLOBASE
5/09(木) 大阪・福島2nd Line
5/11(土) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
コボレ:2015年結成。16年にリリースしたデモ CD「ヨルノカタスミ」をきっかけに、17年開催の『ビクターロック祭り』に O.A 出演を果たすなど注目を集め、同年9月に1stミニアルバム『アケユク ヨル ニ』をリリース。19年1月にはキャリア初となるフルアルバム『零になって』を発表し、全国22カ所のツアーを開催。また、『ROCK IN JAPAN 2019』『MONSTER baSH 2019』『MURO FESTIVAL 2019』『FREEDOM NAGOYA 2019』など数々の大型フェスにも初出演を果たし、同年8月に1st EP『音楽の行方』のリリース。そして、20年8月にアルバム『風景になって』でメジャーデビュー。kobore オフィシャルHP
「夜を抜け出して」MV
「ナイトワンダー」MV