The Cheserasera 満員御礼でリクエ
ストツアー完結、7月には渋谷WWWワン
マン決定

The Cheseraseraのワンマンツアー『2018 冬の煌星 ワンマンツアー』が1月12日、満員の新代田FEVERにてファイナルを迎えた。当日の模様をオフィシャルレポートでお届けする。

The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
去る1月12日、東京・新代田FEVERにてThe Cheseraseraによる『2018 冬の煌星 ワンマンツアー』のファイナル公演が行われた。昨年11月の東京・新宿SAMURAI公演を皮切りに開催されたこのツアーは、Twitterで募ったリクエストを元にセットリストを決定。ファンにとっては願ってもない企画となり、東京公演は初日とファイナルの両公演がソールドアウトとなった。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
朝の陽射しを彷彿とさせる柔らかなアンサンブルの「good morning」でスタート。続く「ファンファーレ」では照明がパッと明るくなり、颯爽としたメロディーが会場を駆け抜ける。曲に負けじと晴やかな表情を浮かべるメンバーに、観客たちも満面の笑みでステージへと手を伸ばす。そしてバンド初期のレア曲「Night and Day」が披露されると、驚きと喜びの歓声が会場のあちこちから聴こえてきた。こういった曲が聴けるのが、リクエストツアーならではの醍醐味だろう。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
宍戸自慢のリフが炸裂した「LOVERS」ではバンドの持つダークサイドが顔を覗かせる。鋭さとザラつきを併せ持ったギターに、西田のどろりとしたベースが濃厚に絡みつき、真っ赤な照明も相俟って、得も言われぬ色気を醸し出していた。そしてリズム隊の織り成す抜群のグルーヴで魅せたのは「退屈」。ドラムとベース、各々が衝突することなく緻密なリズムを刻んでいる。その上を時に毒を吐きながらも悠々と宍戸の歌が滑ってゆくのが、なんとも絶妙な塩梅だ。
そして緊張感のあるターンから一転、真冬の空気のように凛とした響きで会場を満たしたのは美代作詞の「白雪」。一瞬で消えてしまった東京の初雪に代わって、会場を切なくも美しい雪景色に変えた。その後もコーラスワークで魅了する「You Say No」など、切なさと焦燥感に溢れた楽曲が続き、3人の演奏の美しさや年々伸びやかになる宍戸の歌を心行くまで堪能することができた。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
セットリストも折り返し地点を過ぎ、佳境へと差し掛かった頃「ここになかったらどこにあるんだろう」と宍戸が前置いて始めたのは「最後の恋」。終わってしまった恋を振り返りながらも〈後悔なんて一つもないよ〉と言い切るこの曲は、彼らのバンド活動そのもののように思えた。後悔と過去に雁字搦めになっていた時代を経て、自らの意志でバンドを動かすことを覚え、一歩ずつ前へと進んできた彼ら。そのスピードは決して速いものではないが、二の足を踏むことも後ずさりすることもなく、意地でも前に進んできた。2018年のリリース作品はこの「最後の恋」が収録された5曲入りのe.pのみ。それもライブ会場限定での発売という、メジャーも経験したバンドにしてはあまりにも泥臭い活動だ。でも事務所と二人三脚で再出発をした今だからこそ、バンドとして原点に立ち返ることが必要だったのだろう。いや、それが去年の彼らにとっては一番自然な形だったに過ぎないのかもしれない。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
「最後の恋」の直後のMCで、宍戸は「息が詰まるような歌ばかり、たくさん作ってきたんです」と真情を吐露し始めた。彼はずっと、嘘偽りのない等身大の自分を歌にしてきたソングライターだ。だからThe Cheseraseraの曲には、分かりやすい応援歌も踊るためだけのダンスナンバーもない。希望と憂鬱の間で揺れ動いたり、忘れたいはずの思い出まで大事にしまい込んでしまったり、いつだってどっちつかず。だけど、それが宍戸本人にとってもファンにとっても、何物にも替え難いリアルな感情なのだ。だからこそ宍戸はそんな自分の歌を聴いて共感してくれた人たちを「心の友達」と呼び、そんなかけがえのない仲間に恵まれてFEVERのステージをソールドアウトできたことに、心からの感謝を述べたのだった。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
その後も「愛しておくれ」「東京タワー」とバンドの歴史を総ざらいするかのごとくセットリストは進み、「月と太陽の日々」まで全19曲を演奏し、本編が終了。ステージを去る彼らに贈られた拍手は、そのままアンコールへと変わった。そのリクエストに応え、再び登場した3人は「After party lululu」でアンコールを始める。祝祭感溢れるメロディーとミラーボールのきらめきが会場を満たす。するとその余韻に浸る間もなく始まったのは「I Hate Love Song」。「つかぬことをお伺いしまうが、皆様クソみたいな恋愛はしたことありますか!俺の人生最高で最低な恋愛の歌を歌います」という宍戸の口上に焚き付けられた観客たちが、曲中で「笑わせんなよ」と声を揃えて返す場面は何度見ても痛快だ。そしてダブルアンコールでは新曲を披露。スタートから宍戸の歌が力強く突き抜け、それをエネルギッシュな美代のドラムと、はげしく蠢く西田のベースが追いかける疾走感溢れるナンバーだ。その勢いのまま、ラストは「SHORT HOPE」で締め括った。
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏
先日アナウンスがあったとおり、彼らは5月に2年ぶりとなるフルアルバムをリリースする。そしてツアーファイナルでは再び、東京・渋谷WWWに挑む。嘘を嫌うこと、バンドに愚直に向き合うこと、そして音楽家としての探究心に従うこと。制作中のアルバムは、そんな思いの詰まった作品になっていることだろう。新アルバムに思いを馳せながらも、2019年が彼らにとって飛躍の年になることを確信した夜だった。
文=イシハラマイ 撮影=釘野孝宏
The Cheserasera 撮影=釘野孝宏

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着