SIRUP。クラブミュージックシーンに
燦然と輝くギフテッド

いま改めてリマインドしたい。メロウ、
グルーヴ、&グルーヴなSIRUPの音楽の世

ここ最近のクラブミュージックブーム。世の中にはクラブシーンにインスパイアされた魅力的な音楽が次々と台頭してきています。その最たる例として挙げられるのがtofubeatsの活躍ですが、シーンを彩る才能にあふれたアーティストは彼だけにとどまりません。

以前、ぼくは、クラブシーンを担っていくマストなミュージシャンとしてiriを紹介しました。今回はその男性バージョン。マストな女性シンガーソングライターがiriなら、男性シンガーソングライターはまちがいなく彼です。
この記事では、クラブシーンに燦然と輝くギフテッドとして、シンガーソングライターKYOtaroによるニュープロジェクト『SIRUP』を紹介します。

SIRUPのプロフィール

SIRUPは大阪出身のシンガーソングライターKYOtaroによるニュープロジェクト。KYOtaroのほかにメンバーは存在しないソロプロジェクトです。それまでのKYOtaro名義での活動よりも「より好きなことをたくさんやろう!」という想いからSIRUPはスタートしました。
ルーツとして掲げているのは、R&Bやソウル、HIPHOPなどといったブラックミュージックたち。これらのジャンルをベースに、新しいものを生み出していくプロジェクトがSIRUPです。
作詞についてはすべての楽曲をKYOtaro本人が担当していますが、作曲についてはさまざま。ジャンルの垣根を越えた幅広いクリエイターとコラボすることも多く、彼の変幻自在なボーカルワークと相まってトレンドに敏感なリスナーの心を魅了し続けています。
『SIRUP』という名前は、Sing & Rapという音楽にまつわることばに由来するもの。元のことばの読み方どおりに『シラップ』と読みます。このプロフィールの項では、以降、『SIRUP』をプロジェクト名としてではなく、KYOtaro個人をあらわすことばとして扱っていきます。

SIRUPと音楽

中学、高校時代のSIRUPは、吹奏楽を通じて音楽に触れていました。それまでベースにしていた、いわゆるところの吹奏楽的な音楽から、いまSIRUPが根ざしているブラックミュージックへと転換していくきっかけになったのは、高校1年のとき。R&Bシンガーをしていた吹奏楽部の先輩からスティービー・ワンダーのベストアルバムを借りたことがきっかけでした。

さらにそのころ、時を同じくしてアリシア・キーズの代名詞ともなっている楽曲『If I Ain’t Got You』にも出会います。この2人のミュージシャンとその周辺の音楽に触れるなかで、SIRUPはブラックミュージックへと大きく傾倒していきました。
余談ですが、iriもまたアリシア・キーズの『If I Ain’t Got You』をきっかけにして音楽の道を志しています。ここからは現代日本のクラブ系シンガーにおけるアリシア・キーズの影響力の大きさを感じることができます。
やがてクラブシンガーとして関西を拠点に活動し始めたSIRUP。2012年にはKYOtaroとしてファーストアルバム『HEARTBEAT』をリリースします。拠点を東京へと移したのは2013年。その後、KYOtaroとしての最後のアルバム『ROOM』(歌とギターのみによるアコースティックミニアルバム)をリリースし、2017年にSIRUPをスタートさせました。

SIRUPの魅力とは?

SIRUPの魅力として1番にあげられるのは、やはり彼が持つ艶っぽい声でしょう。
ブラックミュージックという技術的なごまかしが効かないジャンルにあって、当たり前のようにリスナーを自分の世界に引き込むことができるのは、ピッチの安定感やリズム感といったシンガーとしてのベースがあってこそのものです。いくら声が良かったとしてもそのベースがしっかりしていなければ、なかなか魅力としては映りづらいもの。声が魅力として認められていることからは、彼のシンガーとしてのポテンシャルの高さを感じることができます。
もちろんCDなどの音源からでもその魅力を十分に感じられるのですが、圧巻なのは彼のライブパフォーマンス。ぼくがSIRUPというミュージシャンを知ったのはライブが最初でした。showmoreというミュージシャン(SIRUPのバックバンドで鍵盤を務めることがある井上惇志が所属するユニット)を目当てにおとずれたライブで、たまたま対バン相手にいたのが彼。「ほんとうにライブ?」というようなボーカルのクオリティで、純粋にライブのアナログ感だけ魅力が増したようなパフォーマンスでした。
「SIRUPの音楽が好きだけど、ライブはまだ未経験」という人がいたら、ぜひライブに足を運んでほしいとおもいます。そこに彼の魅力の残り3割があるはずです。
2019年春には『ARABAKI ROCK FEST.19』への参戦も決まっています。ワンマンやツアーライブはハードルが高いという場合には、こちらを検討してみてはいかがでしょうか。

SIRUPのディスコグラフィー

SIRUPはいまのところデジタル配信を中心にリリースを続けています。CDとして形になっているのはミニアルバムが2枚だけ。この記事でSIRUPを知った人でも、この2枚を買えば公表されているすべての曲をカバーできます。

SIRUP EP

01.Synapse
02.LMN
03.Last Lover
04.一瞬
05.バンドエイド
06.SWIM

SIRUP EP2

01.Do Well
02.Maybe
03.Rain
04.LOOP
05.No Stress
06.Last Dance
07.One Day

SIRUPの魅力に触れられる、おすすめの
曲5選

Synapse

1stミニアルバム『SIRUP EP』にリードトラックとして収録されているナンバー。この曲を聴けばSIRUPの世界がどのようなものなのか知ることができる。
作曲にクレジットされているOBKRとは、クリエイターでシンガーソングライターの小袋成彬のこと。小袋成彬率いるインディーズレーベルTokyo Recordingsがサウンドプロデュースをおこなっている。

一瞬

2ndミニアルバム『SIRUP EP2』収録。心地よくタメられたシンセドラムのフレーズからスタートするこの楽曲。先に紹介した『一瞬』のようなバラードかとおもいきや、ブリッジからはハウスを想起させる四つ打ちのリズムが鳴り響く。これこそまさにクラブミュージックといったナンバー。2コーラス後のエモーショナルなボーカルワークもたまらない。
作曲には、中島美嘉加藤ミリヤのプロデュースでも知られる松澤友和が名を連ねる。

LOOP

ぼくがもっともおすすめしたいのがこのナンバー。グルーヴィーな音楽で彼を知った人からすると、これだけ叙情的に日常を切り取れることに驚くかもしれない。正直なところ一度聴いてもらえれば、ことばにするまでもないとおもう。
もとはデジタル配信でシングルとしてリリースされたこの楽曲。2018年8月、2ndミニアルバム『SIRUP EP2』に待望の収録となった。
作曲とサウンドプロデュースにクレジットされるShingo.Sは、加藤ミリヤや青山テルマのプロデューサーとして広く知られている。

クラブミュージックとはなにか。それは
SIRUPを聴けばわかる。

R&BやHIPHOP、ハウス、エレクトロといったクラブミュージックが全盛のいま、このトレンドはまだまだ続くでしょう。
「トレンドの音楽が知りたい。」そう考えたとき、SIRUPは絶対に外せないミュージシャンだと言えます。それは裏を返せば、SIRUPを聴かなければ、トレンドの音楽は追えないということ。
ひとつのカルチャーとなりつつあるクラブミュージック。その中の特に男性シンガーソングライターというカテゴリにおいて、彼は紛れもなくマストと言える正真正銘のアーティストです。

SIRUPオフィシャルウェブサイト
SIRUP公式Twitterアカウント
SIRUP公式Instagramアカウント
SIRUP公式YouTubeチャンネル

SIRUP。クラブミュージックシーンに燦然と輝くギフテッドはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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