舞台『罪と罰』いよいよ開幕、まるで
別人のような三浦春馬から目が離せな
い! 

2019年1月9日(水)から東京・・Bunkamura シアターコクーンにて三浦春馬主演の舞台『罪と罰』が初日を迎える。この前日、同劇場にて芝居の一部が披露され、併せて初日前会見が行われた。
本作は、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの同名長編小説を原作とした作品。「シアターコクーンが海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ」DISCOVER WORLD THEATREの第5弾となる。上演台本・演出を務めるのは『地獄のオルフェウス』(2015)『欲望という名の電車』(2017)を手掛けたフィリップ・ブリーン。ブリーンとは『地獄のオルフェウス』以来2度目のタッグとなる三浦、そして大島優子、南沢奈央、松田慎也、山路和弘、立石涼子、勝村政信、麻実れいらが出演する。
この日公開されたのは、1幕の第1場から第4場まで。蛍光灯が天井で薄ぼんやりと光る中大きな階段状の舞台にはガラクタのような家具が雑然と積まれ、その合間をキャストたちが動き回っている。と、そこへラスコリニコフ役の三浦が現れる。無精ひげにこけた頬、落ちくぼみ、飢えた獣の瞳、ボロボロの衣服、低く重い声……普段我々が目にする三浦とはまるで別人のような男がそこにいた。三浦の身体を借りた「何か」が乗り移っているようにも見えるのだ。
コートの懐に斧を仕込んだラスコリニコフは、アリョーナ(立石)を尋ね、銀の懐中時計を売りに行く。その後、街なかで娼婦ソーニャ(大島)と一瞬すれ違うラスコリニコフ。後に自分の人生に大きな影響をもたらす存在となるが、まだこの時はそれを知らない。
キャストたちは終始、舞台上からはけることなく、群衆(アンサンブル)としてそこに存在しているのが特徴的だ。彼らはまさに群衆として舞台に生活感を与え、一瞬にして別の場面をそこに作り出すだけでなく、ラスコリニコフたちの一挙手一投足を観客のように見守る存在にもなっていた。
舞台披露のあと行われた会見には、三浦、大島、勝村、麻実が出席した。正義のためなら人を殺す権利がある、と考える貧乏青年ラスコリニコフ役を演じる三浦は「演出のフィリップ・ブリーンと一緒に仕事をするのは、今作で2回目となります。彼が10年にわたって温めてきたこの作品が、日本の皆様に届けられることを喜ばしく思っています。彼のこの10年間の想いを無碍にはできませんので少しでも報われるように、僕たち一同、お客様に届けていければ」と意気込む。ブリーンから稽古場でも丁寧に役作りの指導を受けたと語る三浦は「カンパニー全員が出ずっぱりの目まぐるしい舞台となっており、以前より身体を使う表現が多くなり、そういった点も楽しんでいただけると思います」と見どころに触れた。
三浦春馬
退職官吏の娘で家族のために身を売る娼婦ソーニャ役の大島は、海外留学から帰国して初の舞台出演となる。「本作はたくさんの方々に読まれている作品。ブリーンさんの頭の中にあった新たな『罪と罰』がこの世に生まれました。明日が初日という気持ちが湧かないくらいまだまだいっぱいいっぱいですが、精一杯頑張りたいと思います」と笑顔。
大島優子
勝村政信
ラスコリニコフを追い詰める国家捜査官・ポルフィーリ役の勝村は、「僕も若い頃、芝居を始めた頃に原作を読ませていただきましたが、非常に苦しいし長いし難しいし宗教的な話もあり……これが舞台になると聞いて大丈夫かな、と思いましたが、ブリーンさんが本当にすばらしい作品に仕上げてくださいました。舞台は非常に危険であちこちで喧嘩が起きていたりもしますが、観ているお客様にはとてもスリリングに感じていただけると思います」と語った。
麻実れい
そしてソーニャの義母カテリーナ役の麻実は「最初は不安でいっぱいでした。カテリーナは極貧の中で生きる女。メイクさんにとにかく顔を汚せと言われて目の下もどんどんクマが濃くなって私自身も芸歴50周年を迎えて初めて経験する役なんです。でも初めてだからこそとても楽しんで仲間たちと楽しみたいと思います」とゆったりと微笑んでいた。また、「人間として、女として、母として生きるのは自分の生活の中にもあるのですが、貧困のため身体や精神を患う役どころや、100%の声を出して怒鳴るという事も初めてなので、身体に気を付けながら千秋楽まで頑張りたいです。でも本当にすばらしいお役をいただき感謝しています」と静かに語った。
稽古中の役作りにも話が及ぶ。ラスコリニコフという役について、三浦は「すごくエネルギーを使う役だと改めて思いました。正義のために殺人を犯すという役は初めてなので、稽古終わりの心地のいい疲労感はあるんですが、一方で消耗も感じており、稽古のあと、このまま消えてしまうんじゃないかと思ったこともありました」と笑う。
大島は留学で学んだ語学力が演出家含め海外スタッフとのやり取りで活用できたか?と聞かれ「6~7割くらいしか分からないんですが、直接本人の口から演出を受けてそれが理解できるようになったのは自分でも嬉しいです。それ以上にステージに立つ事は俳優としてもっともっと勉強が必要だなと感じました」と謙虚に述べていた。
そんな大島について三浦は稽古中の裏話を披露する。「稽古中、大島さんが演技が思うようにできず、悔しさのあまり感極まっているのを目にして、彼女が頑張っているから僕たちも頑張らなきゃ、と思った」と口にすると、大島は「恥ずかしいー!」と顔をクシャクシャにして照れる。が、そのお返しに、と「私がいっぱいいっぱいになってしまったときに、三浦さんがメモをくれたんです」と話し出すと、今度は三浦が「今、その話するのー?」と身をよじらせる。「そのメモには『一緒に頑張ろう。皆味方だよ』って書いてあって。座長を信じてついていこうって思いました」大島の言葉に今度は三浦が照れまくっていた。
勝村が演じるポルフィーリというキャラクターは後に『刑事コロンボ』のモデルになったと言われている。勝村は三浦演じるラスコリニコフとの心理戦について「楽しいです。でもほとんど春馬くんとしか絡まない役なので、他の人と絡めず寂しいです」と笑わせる。続けて「海外の方は『刑事コロンボ』というとピーター・フォークをイメージされるんですが、日本ではコロンボの声を担当した小池朝雄さんをイメージされると思うんです。このあまりの差異を未だに埋められません。どうしたらいいですかね? いい方法があったらどうぞお寄せください。いつでも楽屋でお待ちしております」そんな冗談とも本気とも取れる勝村の発言に他の3人が笑いをこらえていたが、「……で、何の話でしたっけ?」と勝村が口にした瞬間たまらず吹き出していた。
その後、本作の見どころについて「現代の刑事もののようにただ捕まえることが目的ではなく、改心させしっかり罪を認めさせるという、『罪を赦す』という刑事と犯人の関係性や構造が見どころですね」と改めて真面目に話す勝村だった。
(左から)勝村政信、大島優子、三浦春馬、麻実れい
取材・文・撮影=こむらさき

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