石崎ひゅーい『アンコール』ツアー
愛にあふれた1年の終わり
Photography_Yuri Suzuki
Text_Sotaro Yamada
アコギ×2と椅子だけのシンプルなステ
ージ
徐々にギアをあげると、2曲目『メーデーメーデー』では手拍子を起こし、『トラガリ』ではギターをかき鳴らしながらフェイクやファルセットを入れてエモーショナルに歌いあげる。ギター1本でオーディエンスを沸かせる一方で、『おっぱい』『エンドロール』などのバラード曲では、時にギターを止めて歌のみを聴かせるなど、しっとりした空間を演出。
落差は、石崎ひゅーいというアーティストの大きな特徴のひとつだ。喉が潰れそうなほどのシャウトから伸びのある高音やファルセット、力強い低音やウィスパーヴォイスまで。出せる声の種類や音域の広さは、楽曲に深い陰影を与え、ライブ演出にバリエーションを与える。
主役が入れ替わる美しいライブ
音楽をはじめるきっかけになった友人の結婚式のためにつくったという『花瓶の花』は、結ばれた2人にとっての宝物になり、石崎ひゅーいにとっての宝物になり、そして、オーディエンスにとっての宝物にもなったようだ。イントロから、オーディエンス全員での大合唱になった。歌が、作者の手を離れてみんなのものになり、時間をかけて愛でられていく。そんな親密な空気が会場には満ちあふれていた。
オーディエンスの大合唱に「素晴らしい。とってもキレイ」と感想を述べたのち、同じ箇所を今度は石崎ひゅーいがひとりで歌う。椅子から立ち上がり、オーディエンスの近くに寄って、マイクを通さずに地声で。大きな拍手に包まれると、石崎ひゅーいもオーディエンスに向けて大きな拍手を送った。
美しく、あたたかいコミュニケーションだった。
粉雪、アンパンマン、さよならエレジー
さらにカバーをもう1曲。「もしかしたらもう1人今、テレビで歌ってるかもしれないな」と、菅田将暉に提供した『さよならエレジー』のセルフカバーを披露。菅田将暉は美しさと力強さをストレートにぶつけてくるが、石崎ひゅーいが歌うと、楽曲の濃淡や陰影が深くなる。より寂しさを感じさせるすがりつくような歌声に、大きな拍手と歓声が起き、指笛が鳴った。
そしてちょうどその頃、テレビ朝日『ミュージックステーション』では、菅田将暉が石崎ひゅーいとの思い出話を語り、石崎ひゅーいが作詞作曲した『さよならエレジー』を披露していたのだった。
【#Mステ】#Mステスーパーライブ 「さよならエレジー」を歌唱させていただきました!
会場やテレビの前で応援いただいた皆さま、ありがとうございました!!!#菅田将暉 #さよならエレジー
▼「さよならエレジー」を聴くhttps://t.co/0RUhb4DUrD
— 菅田将暉 音楽STAFF公式 (@sudamasakimusic) December 21, 2018
たった1人、ギター1本だけでその場の空気を支配してしまえるのがロックスターならば、石崎ひゅーいは間違いなくロックスターだった。
「愛に満ちあふれてますから、僕たち」
そしてその曲が、松居大悟監督による年末のスペシャルドラマ『平成ばしる』主題歌に起用されることなどを報告。
平成ばしる、今夜24:20〜だよ
見てくれ〜楽しんでくれ〜#平成ばしる pic.twitter.com/uY8eYuvgaw— 石崎 ひゅーい (@huwie0307) 2018年12月28日
そう感慨深そうに呟くと、2階席を見て「松居くん来てるかな。大悟〜?」と松居大悟の姿を探し求める。すると2階席で見ていたオーディエンスの1人が立ち上がり「来てるよ〜!」と手を振った。それが松居大悟だった。石崎ひゅーいは嬉しそうに「愛に満ちあふれてますから、僕たち」と友だちを自慢する。この2人のあたたかいやり取りは、多くのオーディエンスを幸福な気持ちにさせた。
『アンコール』と題されたその新曲でライブのラストを飾ると「少し早いけど、メリークリスマス。そして良いお年を。また来年もいっぱい会いましょう。最高の夜をどうもありがとう」と深々頭を下げた。
石崎ひゅーいらしい全身全霊のラブソングで2018年のライブを納めた。
だいぶ素敵な夜でした
今年は宝物が沢山増えた
いつも声援をありがとう
アンコールツアー弾き語り無事終了しました。
年明けバンドファイナル渋谷2daysまで続きますが一旦メリークリスマス。 pic.twitter.com/6SiDGYZ6FT— 石崎 ひゅーい (@huwie0307) 2018年12月21日
そのヒントは、年明け1月8日と1月9日に東京『SHIBUYA CLUB QUATTRO』にて2daysで行われるバンドでのファイナル公演にありそうだ。
1. 溺れかけた魚
2. メーデーメーデー
3. 第三惑星交響曲
4. 友達
5. トラガリ
6. おっぱい
7. エンドロール
8. ナイトミルク
9. カカオ
10. 花瓶の花
11. 粉雪(レミオロメン カバー)〜アンパンマンのマーチ
12. さよならエレジー
13. 1983バックパッカーズ
14. 夜間飛行
15. ピリオド
16. アンコール(新曲)
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石崎ひゅーい『アンコール』ツアー 愛にあふれた1年の終わりはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。