【ライブレポート】ましのみワンマン
<MashinomiX vol.1>は、最初から最
後まで“予想外”連発

ましのみが12月15日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにてましのみワンマンライブ<MashinomiX vol.1>を開催した。
開演前から場内はEDMトラックがエンドレスで鳴り響き、ステージ背後にある真っ白い壁には、プロジェクターが映像を映し出している。点滅する照明、キラキラ回転するミラーボール。クラブ仕様になった場内に、ボリュームを上げたキック音が鳴り響くと、そのリズムに合わせてノリノリでましのみが登場。ステージでいきなりラップを始める。いままでにはない感じでフロアのハンドアップを誘ったあとは、ステージ下手に設置されたブースへ移動。ラッパーましのみからDJましのみとなり、DJコントローラー、サンプラーを忙しそうに操作しながら“プッププッププチョヘンザ!”とミキシングした音で場内にコール&レスポンスを求める。

いい感じでフロアがあったまったところで、ブースから離れ「プチョヘンザしちゃだめ」でライブは幕を開けた。ステージ後方にはキーボードと電子ドラムを担当するいつものサポートメンバーがましのみサウンドをバックアップ。この日はダンサーがいなかったので、フロアのお客さんたちがフリまねして、ましのみのダンスを盛り上げる。ステージ上手には大きな真っ白いキャンバスが用意されていて、曲が始まると同時にイラストレーターのフクザワが出てきてペインティングをスタートさせた。
これまでとはまったく違う、予想外だらけのましのみワールドに、ファンは驚くばかり。舞台中央のキーボードの前に移動し「私の名前は?」「ま・し・の・み」のコール&レスポンスもばっちりきまったところから「エゴサーチで幸あれエブリディ」が始まると、キャンバスの上には“ななし”という名札をつけた悲しそうなペンギンの姿が浮かび上がる。そうして、ましのみは「せっかくのワンマンライブだから夏の曲も歌いたいんだけど。ペンギンに聞いてみよう」といって、ましのみがペンギンとのトークを一人芝居で演じる。「じつは僕、まだ名前がないんだ」と寂しそうな声で話すペンギンに、夏を冬に変えればいいだよと提案されたましのみは、自身のヒットチューン「どうせ夏ならバテてみない?」を「どうせ冬ならバテてみない?」にアレンジしてパフォーマンス。はじけるような爽快パワー全開のこの曲で、場内を冬でもあっという間にむせかえるような熱気に包んでみせた。

こうしてましのみと音や言葉、イラスト、映像をミックスしていきながら、それらの化学変化でいつもとは違うましのみワールドを次々と見せていったMashinomiX。新しいトライをしながらも、この日のライブのキーマンとして、イラストの“ペンギン”が置かれていたことが分かって「やられた!」と思ったのが中盤からの展開だった。

ましのみが再びペンギンと一人芝居を始める。キャンバスに描かれた空を飛ぶ鳥たちを見て、飛べない自分が悲しくて涙をながすペンギン。彼氏が浮気をしていて「浮気してるその子と自分を比べて、私なんて全然ダメだよって思っちゃうんだ」というたみちゃんと自分とのやりとりを演じたあとから始まった「ハッピーエンドが見えません」、キーボードの弾き語りによる「リスクマネジメント失敗」の流れは、この日最高のアクトとなった。「ハッピーエンドが見えません」は恋する女の子がどんどん心をこじらせていく情感を軽やかなサウンドにのせて歌ったものだが、どんなに強がってても、その本音をここではペンギンが流す大粒の涙が代弁。そんなペンギンのお陰でこの日の「リスクマネジメント失敗」の“バカだな”はあまりにもせつなすぎて、胸がぎゅっと締め付けられた。歌が終わると、その感動で場内には満場の拍手がわきおこった。
ペンギンの物語はまだまだ続く。ここからライブは後半戦へ。DJましのみがフロアを盛り上げ、「次のコーナーから盛り上がっていけますか?」といったあと「あれ?」といって音を止め、イラストを見る。「ほら、泣いてる。“ななし”ペンギン君見たらかわいそうになっちゃった。なんだか自分と重ねて悲しい気持ちになっちゃったな」といって落ち込だところから「名のないペンギン空を飛べ」が始まると、アッパーなビートでいっきに目の前が開けていく。明るい照明、観客の鳴らすクラップが響くなか、フクザワが登場。ましのみが歌う呪文とともにペンギンの絵から“ななし”の名札や大粒の涙はいつの間にか消え、空を羽ばたいている姿に変わっていったのはお見事だった。

そのイラスト歌詞とがリンクして、なんともいえない多幸感がやってきたあとは、ハンドマイクで歌い動くましのみとともに「Hey Radio」、キラーチューン「ストイックにデトックス」で大盛り上がり。そうして、新曲「美化されちゃって大変です」までパフォーマンス。このあと、ましのみは「私は2016年3月に“The 10th Music Revolution”大会の東日本FINAL STAGEのグランプリをとったんですけど。それがこの会場で。そのときから絶対ワンマンでここに立ちたいと思ってたので、今日は本当に本当に本当に本当に幸せです。そろそろ結末がやってきます。せっかくなのでそのとき歌った曲を聴いて下さい」と静かに語りかけ、本編ラストに「Q.E.D.」を熱唱した。
前回のワンマンでも披露した新曲「フリーズドライplease」で幕開けしたアンコールでは、無料のファンクラブサイトがオープンしたこと、2月20日に2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』をリリースすること、そこから1月21日に「フリーズドライplease」を先行配信すること、アルバムリリースライブを大阪、東京で開催することをサプライズで発表。最後は2ndアルバムから“君のことよく知らないけど”と歌うサビにドキッとさせられる新曲のバラードナンバー「錯覚」を歌って、この日のライブを締めくくった。

2019年、ましのみから2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』到着を期待しながら待っていて欲しい。

取材・文◎東條祥恵
写真:木村智軌
■セットリスト<MashinomiX vol.1>

2018年12月15日 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
M-1 プチョヘンザしちゃだめ
M-2 エゴサーチで幸あれエブリディ
M-3 ナンセンスに逆戻り
M-4 どうせ冬ならバテてみない?
M-5 2コードのシティポップ
M-6 ミスター
M-7 灰かぶり姫
M-8 ハッピーエンドが見えません
M-9 リスクマネジメント失敗
M-10 やりくりゲーム
M-11 名のないペンギン空を飛べ
M-12 Hey Radio
M-13 ストイックにデトックス
M-14 美化されちゃって大変です
M-15 Q.E.D.
EN-1 フリーズドライplease
EN-2 錯覚


ニューアルバム『ぺっとぼとレセプション』

2019年2月20日(水)発売
【初回限定盤】CD+DVD PCCA-04748 ¥3,500 (tax incl.)
【通常盤】CD ONLY PCCA-04749 ¥3,000 (tax incl.)
収録内容
【CD収録予定楽曲】
「どうせ夏ならバテてみない?」「コピペライター」「タイムリー」「ターニングポイント」「美化されちゃって大変です」「’s」「Q.E.D.」「フリーズドライplease」「錯覚」「ゼログラビティのキス」「タイトル未定(弾き語り)」
bonus track「AKA=CHAN」「夢ノート」(All songs written by ましのみ)
全13 曲入り(曲順未定)

【DVD収録予定】
01「フリーズドライ please」 Music Clip
02. Digest of「 ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2@代官山UNIT」
1. どうせ夏ならバテてみない?2. ハッピーエンドが見えません 3. ラッシュガード 4.Q.E.D. 5. 四角2の文章題 6. プチョヘンザしちゃだめ 7. こんな晴れた日は 8. コレクションof コネクション 9. 【サポートされていない恋愛形式です】 10. 海水掛け合いっこ 11. ホタルの降る夜に 12. フリーズドライplease 13. ストイックにデトックス
03. mashinoMISSion
04. Making of「フリーズドライplease」 Music Clip &「ぺっとぼとレセプション」 Jacket Shooting


ましのみワンマンライブ<ぺっとぼとリテラシーvol.3>

2019年3月15日(金)大阪:アメリカ村BEYOND
2019年3月21日(木・祝)東京:渋谷ストリームホール

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