林原めぐみ・奥井雅美が語る『スレイ
ヤーズ』とこれまでとこれからのアニ
メの世界

2019年1月12日に行われる『FANTASIA ANNIVERSARY LIVE 2019』。富士見ファンタジア文庫30周年を記念して行われる本イベントだが、最新タイトルに加えて90年から今も人気を保ち続けるファンタジー作品の金字塔『スレイヤーズ』からも声優・歌手陣が出演する。今回は第三次声優ブームを牽引した林原めぐみと、JAM Projectの一員としても活躍する奥井雅美のリハーサル現場で二人のインタビューを敢行した。30年近く同作品に関わる二人が感じる現場の移り変わり、そして『スレイヤーズ』という作品が本イベントにどう交わるのか聞いてみた。巻末には読者プレゼント情報も掲載しているのでチェックしてもらいたい。
90年代のラノベアニメの基本を作った『スレイヤーズ』という存在
――今回お二人は『スレイヤーズ』枠で『FANTASIA ANNIVERSARY LIVE 2019』でご出演ということですが、今年久々に『スレイヤーズ』の新刊も刊行されましたね。
奥井:すごい売れてるんですよね。
――第一巻の刊行が90年でアニメが95年からスタートですが、20年以上関わられている林原さんとして、改めて『スレイヤーズ』という作品についてお伺いできれば。
林原:何かパワースポットみたいな、そこにあれば人が訪ねてくるみたいな、存在していればいいんじゃないですか、という感じですかね。
――存在することが大事みたいな感じで。
林原:まあ神坂(一)さんのパワーですから。なんというか、やっぱり『スレイヤーズ』って読むものであり、浴びるものでもある、そんな感じがします。演じさせてもらったリナ・インバースが私の代名詞のように言ってくださるのもとっても嬉しいんですけど、リナも綾波レイちゃんや灰原哀ちゃんもいればという数多く演じてきた中のひとり。でもリナは誰より、私の中でのでしゃばり方に、ものすごい圧があって(笑)。 控えめとか少し考えるとか、そういう部分がまるでない子なので、何か引っ張られますね、すごく。
――たしかにキャラクター自身のパワーがすごいですよね。奥井さんもこうして関わられていて、作品の印象どうでしょうか?
奥井:そこに壁があればそのまま遠回りせず、そこをガーンとバリーンと行くようなイメージですよね。めぐちゃんはよく当時から言ってたけど、イタコ声優だもんね?
林原:そうね。
奥井:その役にどっぷり入り込んで関わっていらっしゃるので、歌う時もそのキャラクターになる感じなんです。一緒に歌う時も林原めぐみさんというよりはリナちゃんがいる感じ。今はリハだからちょっと控えめにやってるけど、「Get along」は頭にセリフがあるんですけどね、そのセリフからリナちゃんが来るんですよ。シングルにはあれは入っていないんだよね。
林原:アルバムバージョンには入ってるね(編集部注:スレイヤーズえとせとら1.2にセリフありVer収録)。
奥井:だから私は視聴者みたいなものですね。やっぱりファンの人みたいな感じで、作品に関わっているというよりも音楽だけなので、観ているほうなので。そういう気持ちで元気をもらえるな、という感覚がすごくありますね。
――お二人のお付き合いも長いですが、あらためてそれぞれの存在はどういうものなんでしょうか。
林原:それはもう歌の師ですよ。師というか、教えてもらったということよりも、何か大月(俊倫)さんが私達を組ませた時に、あんたは表現力は自由自在なんだけど、歌唱力がない、と言われて(笑)。
奥井:あははは!そんなこと言ったんだ、あのおっちゃん(笑)。
林原:それで本物の歌手の人と組んで歌唱力を学びなさいと言われたんです。歌うことはどういうことか、って。奥井さんは当時、沢山仮歌のお仕事してたんだよね。
奥井:林原さんの仮歌をやっていて、その大月さんに、あんた買い取りでデビューしない?と言われたんですよ。元々はバックコーラスやレコーディングコーラスとか、仮歌をやっていてのデビューなので。
林原:仮歌の人って本人より前に出ないように、お手本として歌うから。奥井さんは今でこそ自分で歌う人だけど、当時は仮歌のお姉さんで歌い方も控えめだったし、爪を隠してたんですよ(笑)。 だけどそれに気づいた大月さんが、奥井さんは歌唱力はあるんだから、もっとこの子から表現力を盗みなさい、みたいな。それで二人を組ませたんです。最初はすごく緊張しました。本物の歌手の人と歌うんだって。
奥井:でももうその前から何回かラジオも出させてもらっていたし、すごい喋ってわりと接点は多かったやん? そうでもないかな。
林原:「Get along」のレコーディングの時はまだよ。その後に接点は増えたけど。
奥井:「REINCARNATION」(奥井四枚目のシングル『宇宙の騎士テッカマンブレードII』OPテーマ)とかのことをすごい褒めてくれたから。
林原:それは『スレイヤーズ』の後。
奥井:後なの?あれ!
林原:だって「KUJIKENAIKARA!」(『スレイヤーズ』EDテーマ)の前はあれしかやってないよ。かわいい帽子被ってるやつ。
奥井:まじか。ああ分かった! はい分かりました、流れ分かりました(笑)。
林原:で、その圧倒的な歌唱力に助けてもらいながら。でもなんかこういう人だから、私は自分の中でヘタ! と思っていても、「いいじゃんいいじゃん!」とか言ってくれるし、「今のすっごい良かったよ!」とか、めっちゃ持ち上げてくれるから、私もアーティストの気分になっちゃって(笑)。
奥井:今でこそ声優さんって歌手を目指していた人が声優さんされたりすること多いじゃないですか。でも当時の声優さんってここだけの話、これは悪口じゃないんですけど、あんまりそんなちゃんと歌える人がいないなと思っていた中で、上手かったのよ。
――奥井さんから見て林原さんはうまかったと?
奥井:そう、自分ではヘタだったと言うけど、やっぱり上手だったんです。演技はもう天才だし、本当にイタコるし。だからこれはヨイショしてるわけじゃないんだよ、本当に上手かったから、そんなふうに思っているなんて知らなかった。自信がみなぎった人間だと思ってたから。
林原:なんかほら、私もなりたくて声優になって、歌手になりたかったわけじゃないから、今は時代が逆転しちゃったけど。だから私は別に歌を歌いたくてここに来てないけど、という感じのところに無理くり引っ張り出されて、やれと言われたんだよね。
奥井:当時そんな時代ですから。
林原:ボイトレみたいなの知らないし、今でこそネットを見ればいくらでも探せるけど、街中歩いてボイトレ探さなきゃいけないのか、みたいな時代ですから。それで大月さんからボイトレなんかするな、みたいなことを言われたりとか。なんかって言うな、という感じですけど(笑)。 いやあんたがこの状態でやってもしょうがない、と言われたり、じゃあなんで私に歌わせるんだよってぐらいにボロクソだったので(笑)。
――確かにそうですね(笑)。
林原:まあ多分それも含めて奥井さんとやらせてもらって、すごい楽しんでいいんだ、と思ったんです。ずっと怒られてばっかりだったから、いいよ! と言ってくれて、そうなんだ楽しんでいいんだと。何か仕事と思って頑張りすぎなくていいんだって思えたんですよね。
奥井:そうね、基本そういう頑張り屋さんというか、真面目な人だよね。
林原:足を引っ張らないように、引っ張らないにと思って、ガチガチで行ったんだけど(笑)。あの頃って部屋を分けたりとかしないで、向かい合って歌ったりして。
奥井:レコーディングの時って普通は一人ひとり歌うんですけど、あえて同じ部屋で、真ん中にパーテーションみたいなのを置いて、一緒にレコーディングしたんです。「Get along」はそういうライブ感を出す感じでレコーディングをしましたね。
第三次声優ブームと今、変わったこと
――林原さんがおっしゃっていたように時代が逆転したではないですが、声優志望の人に会うと、歌いたいという気持ちが先に来る人もいらっしゃる印象がありますね。
林原:マーケティングがそうなりましたからね。あと最近はもうキャスティングをするにしてもイベントありきだったり、歌える子前提だったりするから、やってた人が「あなた歌える?」と歌うのではなくて、「歌う人募集!」という感じになってるから、それは無理ないですよね。
――林原さんといえば90年代の第三次声優ブームど真ん中の人ですが。
林原:どっぷりですよね。それは自負してます(笑)。
――現在の声優界を含めて、アニメ業界の状況をどう見られているのかなとお聞きしたいなと思って。
林原:何かすごく憤ってたこともあったんですね、正直。作品よりも人気かよとか、芝居よりもかよ、とかって思ったことが40代ぐらいの時にあったんだけど。おしなべて俯瞰で見てみると、私の時代は携帯もなかったし、スマホもなかったし、テレビ録画とか予約とかできなかったし、ビデオテープだったし、カセットテープだった時代なわけですよ。
――そうですね。スマートフォンもここ数年で一気に当たり前のツールになりました。
林原:だから当時の良さとかを言ったところで知らないわけだから、そこに憤るのって奢りだなとちょっと思っちゃって。
――奢り、ですか。
林原:だって知らないんだもの、待ち合わせで早く来ないかなと思って2時間待った、みたいなことって、「無駄じゃね?なんでLINEしないの?」と言われちゃえば、もう話にならないじゃないですか。だから物語の紡ぎ方も変わってくると思うんですね。人を待つ時のイライラする気持ちとかよりも優先するものがすごくたくさんあって。そのぶん逆に言うなら情報がありすぎて、今の子たちは、選ぶってことが欠落しちゃってる気がするのね。みんながやっている、今一番流行っているものを求めていて、じゃあ本当に欲しいものとか本当に楽しいものなの?いうと、すぐ次に流行るものがあるから、味わって楽しむということができにくくなっている気がする。
――確かにトレンドの移り変わりは加速度的に早くなっている気がしますね。
林原:林原に関してもずっと好きな方は好きでいてくださるから、その“ずっと感”というのは多分共有していくのは無理かなって。で、あえて無理と言ったうえで、いいなと思ったこととか、分からないなりにこちら側が思うことを伝えたり、なんなら情報社会の上手い使い方を若い子から教わったり、何か共存していかないと次の良いものは生まれないだろうなと思っているんです。
奥井:すごい分かる。音楽のほうもそうだね。
林原:せーのでバーン!みたいに一発録りしたグルーブ感みたいなものの良さを知ってるとさ、「二章節歌う、ここのアの音だけ変えますね」って機械がやってくれて、みーんな上手になっちゃうじゃん(笑)。 みんな歌が上手で、なんかおしなべた歌になっちゃうというか、声がガラッとなっちゃったところが格好良かったりしたものがあったりするんだけど(笑)。
奥井:そういう所の柔軟性をベテランと言われる世代になって持っていないと、やっぱりポツンと置き去りにされてしまうような気がする。頑固にならないで若い子から教わるところは教わって、取り入れられるものは取り入れることをしないと。私もJAM Projectとかやってますけど、そっちは特にそういうものを意識してやっているので。
――アニソンも変わってきている部分がありますか?
奥井:もう全然違いますもん。私はソロでは結構自分が好きなものを続けているけど、良いから聴いてと言って、それを良いと思う人は多分めっちゃ少ないんですよ。さっきの話じゃないですけど、知らないものは伝わらないし。
林原:着てはもらえぬセーターなんで編むの、みたいな?(笑)
奥井:そんな感じですよね。これがすごい良いんですよといっても、まあ伝わる若者もいるけれど、というぐらいかな。それでヒットを狙うとかになると絶対無理な話で、ちゃんと両方の頭を持ってやっていかなきゃなと。
林原:ただやっぱり喜怒哀楽って四つに分けられないけど、言葉にできない部分みたいなものって、どんなに時代が移り変わっていてもあると思うんです。ツールが変わっても、そのマインドみたいな部分の塊は変わらないというか。そこは何一つ諦める必要はなくて。ただツールが違うということだけは理解して、感情をつなげていけたらいいな、みたいな感じではいるかな。
――ベースとしての人間の変わらない部分があると。
奥井:それはあるね。
――お二人は業界的にはもうレジェンドなので、言葉にいちいち頷いてしまいますね。
林原:と言われるらしいよ?
奥井:めぐちゃんはそうだけどさ(笑)。
林原:そんなことないよ!世界を股にかけて!
奥井:めぐちゃんあっての奥井さんですからね、本当に。本当にめぐちゃんがあって私はソロができたと今でも思ってるので。
――そういう思いが奥井さんはある?
奥井:すごくあります!林原さんは私が仮歌をやっていた頃にはもう人気がすごくあって、ラジオもやられていて、私が歌った歌を格好良いとか言ってくれたのよ、ラジオで「REINCARNATION」がすごく格好良いと。そしたらめぐちゃんのファンは、林原さんが格好良いと言うなら格好良いんだろうな、となるじゃない?それはみんな聴いてくれたり影響されて、私の音楽を聴いてくれる人がすごく増えて……というのがあったと思ってるんです。あと大月さんはあんなだけど(笑)感謝してて、やっぱり与えてもらった作品と当時の仲間、音楽仲間がいないと、今はないと思ってます。
林原:ありがとう。あと『スレイヤーズ』の話で鉄板の話なんですけど、有楽町にマリオンって映画館があって、そこにアニメの垂れ幕がバーンと垂れ下がってたんですよ。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の「みんな死んでしまえばいいのに」、そして『もののけ姫』の「生きろ」のあいだに劇場版の『スレイヤーズ』ってあって、当時携帯もないし写メもできないけど、私の脳の中にすごく残ってるんです。「みんな死んでしまえばいいのに」「生きろ」そしてお構いなしに『スレイヤーズ』というのが「どうなってんだろうこのカオス」と(笑)。 何か日本のアニメが変わって行くなって思ったんですよね。いわゆる子供たちが見ていくキッズアニメは普遍としてあるけど、あの有楽町を彩る三枚の圧巻さたるや、もう『ターミネーター』とか『ミッション・インポッシブル』並な圧があって。まあ時代の突先だったなという気がしますね。
――それが97年ぐらいで、日本アニメが変わってきた頃だと思いますね。僕が聞いたのは、若い子が『スレイヤーズ』を見て「ラノベアニメのテンプレみたいな作品だ」と言ったら、「いやいや、そのラノベアニメの原典みたいな作品の一本だよ」と突っ込まれるという話があって。
林原:でも綾波レイちゃんとかもそうだものね、レイちゃんみたいな子がいっぱいその後増えたもん。
「Get along」「Give a reason」は今でもずっとアンセム
――そんな中で『FANTASIA ANNIVERSARY LIVE 2019』が開催されますが、そうした最新のラノベの若い演者さんやご一緒されてきた方々の中に『スレイヤーズ』が入ってくるのはいかがでしょうか。
林原:まるで時代が違う気がしちゃいますけど。
奥井:どんな感じになるんだろうと思って。
林原:何かでも逆に30年という数字だけ聞くとすごくびっくりしますけど、今例えばこの間Netflixで、『エヴァ』が190カ国配信とかになったりだとか、過去の作品を色んなツールで見られるようになったじゃないですか。もうネット上に溢れてしまったらいつの時代の作品かも分からない状態で見られていくんじゃないかな、という感じがしますね。
――初めて触れるラインナップに入っていればスタートラインは同じですからね。
林原:ただそこでちょっとだけの自慢があるとしたら、『スレイヤーズ』もそうなんですけど、編み出した底力みたいなものはやっぱりあるんじゃないかな。有名な話ですけど、『スレイヤーズ』の劇場版のほうでドラグスレイブを表現するにあたり、当時デジタルじゃなくて光を当てるセルだったから、合羽橋にセロファンを買いに行って、紫色のセロファンみたいなものをうわっと重ねてドラグスレイブの絵を作ったんですって。それでひとつの攻撃エフェクトの表現を編み出したそうなんです。でも次の年から世の中がデジタルになっちゃって、もう合羽橋には行かなくていいらしいよ、という当時の創意工夫が泡と消えるという、悲しいおちがあって(笑)。
――ちょうど技術が切り替わるタイミング。
林原:でも、その無駄のような中にある人間力みたいなものが、どこにどう使われているかさっぱり分からないけど、作品にすごい引力があるというか。特撮なんかもそういう力あると思うんですよね。
――『スレイヤーズ』はそういう意味では引力ある作品ですよね。ドラグスレイブの詠唱を空で全部言えるかがファンの試金石、みたいな(笑)。
林原:私全部言えるよ?(笑)。
――アニソンのクラブイベントでも「Get along」「Give a reason」は今でもずっとアンセムですし。
『スレイヤーズ』主人公のリナ・インバース
林原:私アニメの作品はそんなに知らないから無責任なこと言えないんですけど、リナちゃんより強いヒロインっているのかな? 戦闘力というより強さの根底にあるマインド。
――前向きで自分に自信があって強くてというところですか?
林原:「魔法がないならないなりの作戦を立てるまで!」、という。魔法を奪われちゃった時にね、どうしよう! でもなくそういう言葉が出る強さ。
――突き抜けてる感じがしますよね。
林原:私はその突き抜けてるリナにならなきゃいけなかったので。そんな人じゃなかったんだけど、まああの子を何年もやっていたら憑依して(笑)。 突き抜ける人になってしまったんです。これはちょっとしたマインドコントロールに近いというか、なんかそういう人になっちゃいましたね。
――綾波レイは対極にいるというか、林原さんはS極とN極にいるキャラを自分のものにされている印象がありますね。
林原:そうですね。でも双子です、私の中ではあの二人は。
――今回のイベントはメインキャストがほぼ揃うということになりそうですね。
奥井:久しぶりですよ、私もお会いするのは。
――なかなか集まる機会もない?
林原:そうですね。
奥井:声優陣もないですか。
林原:ないね、他の現場でばったり松本(保典)さんと、とかはあるけど、会ってない。でも多分会った瞬間クラス会みたいな形になるんだと思います。
――その中で歌われるということで、どんなステージにされたいですか。
奥井:やるからには楽しいステージですね、一緒に歌うのって何年ぶりぐらい。『KING SUPER LIVE』ではみんなで歌ったから、ふたりで歌うってことが本当にめぐちゃんが結婚した時ぐらい以来。だからもう何十年ぶりなので、なんとも想像できませんね。
林原:今日パッと合わせたら、もうあの頃のことが蘇ってきて。奥井さんはもちろん上手だからと言うのも失礼だけど、パートとしてハモるほうに行ってくれるんですよ。奥井さんのハモリを聴いた時にもう鳥肌が立っちゃって、私は今何歳、いつを生きてるの!? みたいな(笑)。
奥井:ぴゅーっと戻るのね、それは分かる。ああこんなことしてたな、とか。
林原:何年も歌ってないのに憶えてるみたいな、そういう感覚。
奥井:うん、私たちはそう。
――僕なんかは同世代のファンに「一緒に行かない?このイベント」と言いたい感じはありますね。
奥井:友達や後輩でこの世代大好きど真ん中のシンガーでめっちゃ見に行きたいって人がいっぱいいるので、お誘いしようかな(笑)。
――ライブと言えば林原さんが『林原めぐみ 1st LIVE -あなたに会いに来て-』をやられるときのざわめきは凄かったですが。
林原:ひどいよ、ツイッターとかでさ、土に埋まっていたゾンビオタクが蘇ってきたみたいなことを。失礼なと思って(笑)。
――そういう林原さんが歌うなら行かなきゃならん!という人たちに、今回は最新のアニメから『スレイヤーズ』まで一気に楽しめるので、かなり楽しめるのではないかなと。
奥井:どんな感じになるんだろう、楽しみだな。
林原:我我々もそこそこ年齢いってきまして、何か若い子の中に混ざるということだけを字にしたり耳にしたりすると、何かちょっとずれてる感じがするんですけど(笑)。 でもやっぱりこの業界の良いところって、そこを飛び越えられることだと思うんですね。リナちゃんはずっとあのままだし、声優という仕事はその子たちにマインド的に添う仕事なので。
――キャラクターは年を取らない。
林原:だからさっき言っていた、色んな形で年代がなくなってくるんじゃないかって。昭和であろうが平成であろうがその次であろうが、それが分からなくなるような映像発信になっていくとなると、若いも古いもなくなって、なんなら本当に見に来る人も世代が関係なくなって、見たい人が見に来るというような、そういう形になってくるのかなとは思います。だからこういうフェス的なものも、この作品だけ見たい人はそれだけ見ればいいじゃないというぐらいですね。チケット一万枚売れていても、今歌ってる時に5000人とか1000人しかいなくても別に気にしないというか。その間ちょっとトイレ行ってご飯食べてるとか、そんなでもいいんじゃない、と思うし。もちろん全員でひとつになって最後フィナーレは盛り上がろうとかってあるけど、これからはもうちょっと良い意味で、自由な感じになってくるんじゃないかなって。
奥井:わりとでもアニソンの人たちってそれがないイメージですよね。
林原:私もないイメージ。
奥井:どんなイベント行ってもずっと見てくれていて。トイレタイミングどうするのかとか思うんですけど(笑)。
林原:だからきっともっと後の世代の話だよね、さっきの感覚が生まれてくるのって。
奥井:今回の会場で言えば、最初から最後までいい感じで観ていてくれるんじゃないかなと想像しています!
――では最後に、それぞれ今回『スレイヤーズ』ファンだけでなく、イベントに興味を持たれている方に一言ずつ。
奥井:めぐちゃんに締めてもらおうということで私が先に。私は声優さんじゃないので音楽だけで関わらせていただいているんですけど、それこそシンガーだけで言うと(鈴木)このみちゃんとかも若い世代の(黒崎)真音ちゃんとかも皆さん出られるんですが、私は言っちゃいますけど『スレイヤーズ』が好きなので!(笑) やっぱり自分の関わっている作品が一番ステージが盛り上がれるように、お歌担当として頑張らせていただこうと思っておりますので、応援よろしくお願いします。
林原:30周年という数字を味わってもらえたら嬉しいなと思います。生まれてなかった子もいるでしょうし、中学生だった子もいるでしょうし、かつての自分を見に来る気持ちで来る人もいるでしょうし、はじめましてな人もいるでしょうし。30という数字を自分の中でイメージを膨らませて来てくれたら嬉しいなって思います。

改めてお二人にお会いして、友達同士の和気あいあいとしたような会話の中で見え隠れする時代の変遷を聞くことが出来た。作品に触れる機会が増えた今だからこそ、「新旧は関係なく」面白いものが選ばれていく時代、そして間違いなくここまで選ばれ続けてきた作品に関わってきた自負と自信のようなものを感じることが出来た。
ライトノベルが好きな人、『スレイヤーズ』に触れたことがない人でもこの日のステージを見てもらえれば。新しいも古いもない、面白い作品だけが存在する空間がそこにはあるはずだ。
また、「黄昏よりも暗き存在(もの)、血の流れよりも赤き存在(もの)、時間(とき)の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、我ここに闇に誓わん、我らが前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを!竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」と何も見ないで言える人はマストで集まってもらいたいという、筆者の思いも記しておく。
インタビュー・文:加東岳史

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着