己龍 2019年3月にシングル「閃光」
発売&新たな“巡業”開催を発表

通算6枚目となるアルバム『転生輪廻』を手に行った単独巡業『転生輪廻』も、12月21日(金)のTOKYO DOME CITY HALLで千秋楽公演を迎えた。活動も12年目へ突入。この日の公演の中、己龍から新たな報せが届けられた。
目にも眩しい華やかなヴィジュアル姿を公開した己龍が伝えた最新情報。一つ目が、2019年3月20日(水)に通算20枚目のシングル『閃光』を4-TYPE発売すること。『閃光』は、2019年の己龍がやりたいことを徹底してやり尽くすことを最初に提示した作品になる。「やりたいことをやり尽くしたほうが楽しくない? と問いかけている」とも、参輝は語っていた。曲調も、華やかで雅な要素を強く押し出した歌物色の強い表情になりそうだ。
二つ目が、『閃光』を手にした新たな単独巡業『光芒一閃』を9本10公演行うこと。千秋楽は、5月6日にZEPP TOKYOで行われる。最近は長大な巡業ではなく、濃縮した形での公演が増えている。そこにどんな意味や想いがあるのかは、己龍の行動を追いかけてゆく中で見えてくるはずだ。メンバー全員が、生涯、己龍を背負い続ける意思を持って活動をしているように、そこは我々も長い視点で観ていくべきところ。
ここからは、上記の情報も告知した12月21日(金)TOKYO DOME CITY HALLで行われた千秋楽公演「転生輪廻」の模様をお伝えしよう。
先に伝えておくと、この日の公演では、アルバム『転生輪廻』へ収録した楽曲をすべて演奏。ライブは、アルバム『転生輪廻』の冒頭を飾った「吊」から幕を開けた。おどろおどろしくも切なさを抱いた演奏の上で、胸張り裂けんばかりの痛い感情を、痛みを吐き出すようにぶつける眞弥。フロアーには頭を振り乱す観客たちの姿も。気持ちを熱く掻きむしる始まりの風景だ。
己龍
灯った篝火が熱狂へ連れ出す合図だった。「私ハ傀儡、猿轡ノ人形」が導いた猛り狂う演奏と眞弥の叫び声に触発され、暴れ出す観客たち。緩急効かせた表情を抱いた楽曲のように、そこへは熱狂と陶酔の様も描き出されていた。「百鬼夜行、我等に続け」、眞弥の声へ呼応するように牙を剥き出し荒れ狂う「百鬼夜行」の演奏へ、同じく感情を剥き出して挑みかかる観客たち。身体を大きく揺さぶり演奏するメンバー、その姿に負けまいと絶叫と身体を折り畳み暴れゆく観客たち。互いに感情をさらけ出し想いを交わしあう。それぞ、己龍のライブらしい光景だ。
「死に物狂いでむさぼりついて来い!!」。眞弥の叫びを合図に飛び出したのが、「転生輪廻」だ。手数多くタイトなビートを叩き出す准司のリズムの上で、荒ぶる音をぶつける演奏陣。刺々しい演奏の上で、雄々しく歌う眞弥の姿の、なんて神々しかったことか。フロアからは無数の拳が付き上がる。
吹き上がる炎を背に、悪鬼の首領と化したメンバーたちが「夢幻鳳影」を唱えだす。雄々しき姿へ、叫ぶ声と拳で熱狂を捧げるファンたち。絶叫が会場中を支配する。舞台上の5人は、その絶叫を喰らいながら、みずからの熱に変え、突き刺さる音をぶつけていた。「無垢」の演奏に合わせ、フロア中の人たちがくるくる周り出す。場内に生まれた無数の渦潮。その様をさらに掻き回すように刺激を与えるメンバーたち。乱れ狂う? いや、まだまだこれは熱狂と絶叫を迎えるための助走段階だ。ダークでシンフォニックな演奏に合わせ大きく身体を揺らす観客たち。熱狂の祈りを捧げるように突きつけた「反芻」。「いないないばー」で両手を広げる様も、この巡業ではお馴染みの光景だ。
眞弥の“もういいかい”の呼びかけに、“まーだだよ”と応える観客たち。胸に痛みと高揚する熱を与えた「後ノ今宵」を通して作りあげたやりとり。もの悲しい音色から始まった「歪」は、演奏が進むごとに気持ちを熱く震わせ、どんとん熱を帯びてゆく。心を酔わせたサビ歌の、なんて美しくも儚かったことか……。刺々しい音の中から匂う哀愁を帯びた香り。「死人花」に合わせ、狂い咲くように暴れ、跳ねる観客たち。何時しか場内は、頭を振り乱し咲き乱れる様の広がる狂騒とした風景に支配されていた。
己龍
一瞬の沈黙を置き、演奏は「真紅」へ。奈落へ引き込むように重厚で妖艶なドラマを彼らは描き出す。やがて演奏は、絶叫する眞弥の感情を描くように猛りだした。そして……。武政のギターがむせび泣く音色を奏でると共に、演奏は「黒闇ニ惑ウ絵空事」へ。“消えればいい”と悲痛な声で歌う眞弥の歌声が、触れた人たちの心を闇の底へ落としてゆく。絶望にむせぶその歌声と演奏に優しさを覚えるのは、彼らが痛みへ痛みで寄り添ってくれるからだ。
「春時雨」の演奏と共に、己龍は痛みに浸る心へ温かい熱と光を差し伸べ、共に羽ばたこうと羽根を授けてきた。フロアでは大勢の人たちが振り回したタオルを心の翼に変え、光をつかもうとしていた。これも、つねに闇と光、二つの手を差し伸べ、痛みに寄り添い、共に未来をつかもうとする己龍らしいスタイルだ。もっともっと暴れ狂えと突きつけた「自惚レテ愛玩」。メンバーらに煽られ、タオルや拳を振りまわし熱した声を上げる観客たち。魂が熱を欲してゆく。もっともっと気持ちを剥き出しに我を忘れたい……。
「やるなら徹底的にやれ!!」、眞弥の煽る声を増幅させるように轟きだした「婆娑羅」。フロア中の人たちが全力で頭を振り回せば、場内へ巨大な逆ダイの光景を作りあげる。暴れろ! 暴れる!! もっと暴れさせろ!!! 剥きだした心の野生を荒ぶる声と拳に変えてぶつける観客たち。メンバーらもステージ最前まで踊り出て、煽り続けていた。吹き上がる炎を背景に叩きつけた、和装轟音曲の「野箆坊」の登場だ。フロアは、激しく蠢く観客たちの狂騒の風景が支配している。ノイズにも似た凄まじい狂騒音を叩きつけた「鏖」。誰もが眞弥と共に声を荒らげ、己を開放してゆく。それこそが、至福の快楽だと知っているからこそ……。
己龍
最後に己龍は、これまでの熱狂を熱く昇華し、己の生きた証を天へ示すように「情ノ華」を演奏。心を開放する歌に触れながら、誰もが絶えることなき熱を燃やし、熱狂し続けていた。“咲き誇るその様に今、何思う”と共に歌いなから、その熱した花を会場中に咲き誇らせていた。
准司が「東京ドームでやりたい」と語り、眞弥が「売れる気のない曲で売れたいんです」と述べた後に、アンコールへ。無数の扇子も舞い踊った華やかで雅な「月下美人」を通し、色鮮やかな熱狂の様を描きだせば、「朧月夜」を奏で、己龍は観客たちを熱狂と共に奈落へ堕としていった。フロア中から沸き上がる絶叫と凄まじい逆ダイの風景。炸裂した日和のベース音から幕開けた「邪一輪」で場内に作りあげた騒ぎ狂う宴の様。そして……。
最後は、“僕の叫びは君に届いてますか 言葉が声にならずとも”と歌う「叫声」だ。会場中の人たちが、5人と心を一つに「叫声」を抱きしめていた。天へ向かい大きく揺らし咲かせたその無数の手の花が、彼らの想いを包み込んでいった。これは、僕らと彼らの心を一つに結び合う約束の歌。会場中の人たちが、眞弥と共に「叫声」を歌い叫び続けていた。
2019年1月11日には己龍のドラマー遠海准司の生まれたことを祝おうと、川崎CLUB CITTA'で『遠海准司生誕祭』を、2月24日にはギタリスト酒井参輝の生誕祭『酒井参輝生誕祭』を新潟LOTSで行う。こちらもぜひ楽しんでいただきたい。
文=長澤智典 撮影=田辺佳子

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