【GLAY ライヴレポート】
『GLAY MOBILE Presents
10th Anniv. Tour
「平成最後のGLAYとChristmas
2018 ~SURVIVAL~」』
2018年12月19日
at Zepp DiverCity TOKYO
セットリストはツアータイトルにある“SURVIVAL”の名称通り、1999年に開催された『GLAY EXPO ‘99 SURVIVAL』で披露された楽曲をメンバーそれぞれがチョイスし、それをもとにJIRO(Ba)が作成したという。しかしながら、「誘惑」や「HOWEVER」、「彼女の“Modern…”」といった定番曲が一切排除された、TAKURO(Gu)曰く“置きにいかない”曲順。それでもしっかりと盛り上がるというのは、これもまた送り手も受け手も気が満ちていたからに他ならないと思う。例えば、「KISSIN' NOISE」。インディーズでのアルバム『灰とダイヤモンド』に収録されたナンバーだが、TERU(Vo)が場内へ差し出したマイクに向かって皆が一糸乱れずに大合唱する様子は、観ていて思わず感嘆が漏れた。
レーザーや映像など、フロアーがオールスタンディングの会場にしては過分な演出はさすがにGLAYらしかったが、それにしてもライヴハウスはライヴハウス。ステージ演出よりも剥き出しの音が勝負だ。この日のGLAYは何よりもそのサウンドを堂々と鳴らしていたことに好感が持てた。特に素晴らしかったのはTAKUROのギターである。ブルージーであり、鋭角的なHISAHIのギターとは対極的にあるようなオフビートなノリがいい。新曲「愁いのPrisoner」と「YOUR SONG」のみならず、「サバイバル」でもそうした側面が見えた。これは明らかにTAKUROがソロで研鑽を積んだ効果であろう。ここに来て、GLAYのバンドアンサンブルはさらに進化、深化している。2019年2月に発表されるTAKUROのソロ2ndアルバムも楽しみとなる演奏を随所に聴くことができた。
また、いち早く新曲を披露したのもバンドの自信の表れであったことだろう。本編で披露された「The light of my life」とアンコールで演奏された「FLOWERS GONE」がそれである。前者は循環するメロディーと大サビのドラマチックな旋律が印象的な楽曲。一方、後者は古くから存在していたということだが、ここまで作品化されなかったという代物で、80年代後半のビジュアル系黎明期を彷彿させるサウンドを、しっかりと現代風にアップデートした感のあるナンバー。確実に“ニュー GLAY”、その一端を観せてくれた。否が応にも2019年に発表されるニューアルバムへの期待は高まる。
つまり、このツアーは1999年に思いを馳せると同時に、2019年、あるいは2020年への壮大な予告編であった。何とも贅沢な話だが、それもまた、変に出し惜しみしないGLAYらしいところではあったと思う。
撮影:岡田裕介/取材:帆苅智之
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