観月ありさ、手塚治虫原作の舞台『悪
魔と天使』製作発表会見で「悪魔の部
分と天使の部分がハッキリわかるよう
に二役を演じたい」

手塚治虫の生誕90周年を記念し、手塚原作の「ダスト8」を舞台化した『悪魔と天使』が2019年1月19日(土)から神奈川、大阪、名古屋にて上演されることとなった。12月19日(水)都内にて本作の製作記者発表が行われ、主演の観月ありさと共に白石隼也、黒川智花、鍵本輝(Lead)、矢部昌暉(DISH//)、向山毅(SOLIDEMO)、木全寛幸(SOLIDEMO)、佐藤B作、高島礼子が登壇した。
本作は、大事故の惨事から生き延びた8名の人生を中心に描かれる。彼らは事故を起こす直前に「生命の山」に接触し、その破片「生命の石」の力で再び命を得ることができた。死神のボスはある者たちに、生還者を探し出し、「生命の石」を取り返すことが出来たなら、二人の命は助けることを約束し、否応なしに彼らに、「生命の石」を探し出すように迫る。それぞれの人間たちが、いざ死と向き合ったとき、どう生きるかの葛藤やどう対処するのかを問う物語だ。
モトイキシゲキ
キャストの紹介に先立ち、脚本・演出を務めるモトイキシゲキから「幻の名作」と称される本作の紹介がなされた。「実はこの作品が登場した頃、タイトルは『ダスト18』となっていましたが、当時の読者である子どもには過激でセンセーショナルすぎるあまり、6人分のエピソードで打ち切りとなってしまった。その後『ダスト8』とタイトルを変えて発表されたんです」と語るモトイキ。原作は飛行機事故による話となっているが、舞台ではその表現が難しいため、豪華列車トワイライトエキスプレス号での事故に設定を変更したとのこと。
観月ありさ
精霊の悪魔キキモラ/海江田 沙月役の二役を演じる観月は「素晴らしい作品に出演させていただくことになり、大変ありがたいと思っています。二役と言ってはいますが、大体魂をキキモラに乗っ取られている人間の役を全編に渡って演じます。人間であって人間ではない役なのでこれからどうなっていくのか楽しみです。一人の人間の中に悪魔と天使が混在していますが、(生存した)8人と接するうちに、人間の心から天使になっていくのか、人間らしくなっていくのか。手塚さんの作品はすばらしいものばかり。自分も心に残る作品にできたら。天使の部分と悪魔の部分というのが見ている人にはっきり分かるように演じていきたいです」とコメントした。
素晴らしいスタイルに思わずため息が……
白石隼也
精霊の天使キキモラ/岬 慎吾役(二役)の白石は「精霊とカメラマンの人間の二役を演じます。観月さんがおっしゃっていたように、自分も精霊に乗っ取られている役です。原作を読んで、人間の欲望の恐ろしさや心からの純粋さを感じました。皆さんといい舞台を作りたいと思います」と力強く語る。
黒川智花
吉沢エリ子役の黒川は「吉沢は病の母のために必死で生きる女性。そんな彼女が予期せぬ事故に巻き込まれますが、母を置いては逝けないと強い気持ちを持って生きていくその振舞いや心情を皆様の心に残るように演じていけたら」と述べた。
鍵本輝(Lead)
IT企業の若きエリート・小島忠役の鍵本は「小島忠は、エリートサラリーマンの一方でミュージシャンという顔を持つ人物。僕も普段はLeadというグループで歌って踊っています。その部分を地で出しながら役どころと自分自身を照らし合わせていこうかなと思っています。なるべく等身大で演じることができたら」と言いつつ「千秋楽までに観月さんが本当の悪魔にならないように守ります」と笑いを取る。手塚作品については子どもの時からTVで観ており「幼少期、お風呂で髪を洗う時に鉄腕アトムの頭みたいな形に髪を泡で固めて遊んでいた」と微笑ましいエピソードを披露した。
矢部昌暉(DISH//)
新山徹役の矢部は「手塚治虫といえば学校の図書館にたくさん本があって、誰もが知っている作品に出演できるのが光栄です。多分僕が最年少だと思いますが、精一杯くらいついて頑張りたい」と真剣に言葉を紡ぐ。
向山毅(SOLIDEMO)
鍵本とWキャストで小島忠役を演じる向山は「小島忠はIT会社の社員ですが、ミュージシャンになりたいという想いが強い人物。僕もSOLIDEMOという音楽グループで活動しているので、忠と共通する部分がたくさんあるので、そこを活かしつつ精一杯盛り上げていきたいです」とコメント。なお「手塚作品では『ジャングル大帝』が大好きでした。感情描写に心動かされました」と思い出も述べていた。
木全寛幸(SOLIDEMO)
矢部とWキャストで新山徹役を演じる木全は「ガラスのベル職人の父を持つ、広告代理店勤務の男役。父が病気で最後の仕事の前に亡くなってしまうので、その父への想いなどを自分なりに精一杯演じたい」と語る。なお、木全にとって印象深い手塚作品は「火の鳥」とのこと。
佐藤B作
売れない画家・渋井新役の佐藤は「渋井は裕福な家庭に生まれたらしいですが、幼い頃から絵を描くのがうまく、今時珍しくひたむきに絵にとりくんでいる純なやつ」と説明。佐藤自身は手塚作品に苦い思い出があるそうで、「昔、テレビ朝日で『ブラックジャック』がドラマ化されたとき、そこにキャスティングされたのですが、生まれて初めてロケに遅刻した記憶があります」突然の告白に会場から笑い声が起きていた。
高島礼子
そして伝説の女優・九條小百合役を演じる高島は「過去に許されない罪を犯し、それを背負ったまま女優になった人物。実はありさちゃんが演じる海江田沙月とはある意外なつながりがあるようなので、舞台を観に来る方に楽しみにしていただきたいです」と締めていた。
本作にはこのほか、野村宏伸、中島早貴、黒田こらん、白木美貴子、咲良、脇坂春菜、成沢愛希、萩原悠、優志、石黒洋平、佐渡稔、梅垣義明、久保酎吉、まいど豊、石井智也、ぼんちおさむ、松澤一之が出演し、市原悦子が声の出演を、また河村隆一がテーマ曲を歌う。この会見の冒頭でも河村の切なさを感じさせる歌声が会場を包んでいた。
取材・文・撮影=こむらさき

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