鉄棒でダンス!?新しいパフォーマンス
を作り上げるパフォーマー・上西隆史
インタビュー

Youtubeで今話題の上西隆史率いるチーム「AIRFOOTWORKS(エアフットワークス)」のパフォーマンス動画。その鉄棒を使ったダンスパフォーマンスは、音楽とダンス、そして極限の肉体操作が組み合わされたもの。元WORLD ORDER、そして東京大学工学部卒という異色のパフォーマー・上西隆史のパフォーマンスがどのように作られたのか。動画と写真、そしてインタビューでお届けする。
写真撮影:大塚正明

鉄棒を使ったパフォーマンス“AIRFOOTWORKS”を生で観てほしい
──パフォーマンスありがとうございました(映像になっているパフォーマンス後にインタビュー)。鉄棒を使ったパフォーマンスあまり長くパフォーマンスをすることは難しいのでしょうか?
今回の30秒ぐらいのパフォーマンスをしましたが、本気で踊ると30秒でも結構大変なんです。
──なぜ鉄棒を使ったパフォーマンスをされようと思ったのでしょうか?
元々WORLD ORDERというダンスパフォーマンスグループに所属していたのですが、腰を痛めた時期があったんです。その時にもっとトレーニングをしなければいけないとなって、筋トレを始めたんですね。ちょうどその時に鉄棒を使って横にステップをしている動画を観たんです。それを観た時に凄く不思議だなぁと感じたんです。WORLD ORDERでロボットダンスだったり、アニメーションダンスだったり、不思議なダンスをしていたのもあり、鉄棒のパフォーマンスは自分でもできるのではないかと、始めたのがきっかけです。
写真撮影:大塚正明
──上西隆史さんというと東京大学工学部卒とお聞きしています。なぜ、東京大学から鉄棒を使ったパフォーマンスをされようと思ったのでしょうか?
元々、東京大学に進学して勉強を頑張っていこうと思っていたんですけど、ダンスサークルに入ってストリートダンスにハマってしまったんです。そこからはダンスメインになってしまいました。とはいえ、今は義務教育でもダンスの授業があったりしていますが、ちょうど10年前ぐらいはダンスでは生活していくことは難しいなと思っていて、大学院に進学してちゃんと勉強しようと思っていたんです。
──ダンスメインの生活を送りながらも、在学中は大学院への進学を考えていたと。
そんな時にちょうどWORLD ORDERのサポートダンサーをしていたのですが、リーダーの須藤元気に凄く気に行っていただいて、WORLD ORDERに誘っていただいたんです。もちろん悩んだんですけど、東日本大震災があったり、世の中が暗い時期で、何か人にいい影響を与えることができるんじゃないか、自分が本当に何をしたいのか、ということを考えてWORLD ORDERに加入させていただいたんです。親にはもちろん反対されましたが(苦笑)。

写真撮影:大塚正明
写真撮影:大塚正明
──その後は先ほどお話されたように、鉄棒を使ったパフォーマンスをした動画を観たことで、独自にパフォーマンスをされていこうということになったと。
そうですね。鉄棒を使ってアクロバットな動きをすることをストリートワークアウトと呼ばれていて、まだメジャーとは言えないんですけど、大会とかもあって、やっている人がけっこういたんです。ですが、音楽というものにフォーカスをあてて、曲に合わせてダンスをしたり、アクロバットにトライしている人やチームがいなかったんです。WORLD ORDERで曲に合わせてダンスをする、振付をつけるということはやっていましたし、曲に合わせてパフォーマンスすることで、観た人が何倍も驚きや感動を感じてくれるということを知っていたので、これは鉄棒、バーを使ったパフォーマンスにチャレンジしてみたいと思ったんです。そこでWORLD ORDERのメンバーにもこういうことをしたいんだ、と説明をして卒業させていただいたんです。
──なるほど。WORLD ORDERでの経験とタイミングがあり、新たに鉄棒を使ったパフォーマンスをやっていこうとなったんですね。ちなみにダンスは大学からなのでしょうか?
高校生の時はサッカー部に所属していました。ちょうど高校生の頃にダンスの番組をやっていて、「ダンスって凄くかっこいいな」と思っていたんです。文化祭でダンスが好きな友達と集まって踊ったりしていましたが、今と違ってダンス部は無かったので、ほぼ高校生まではダンスはやっていませんでした。ただ、大学に行ったら、ダンスをやろうと決めていました。
──ダンス自体には高校生の頃からやってみたかったんですね。
そうですね。大学は進級できる最低限の授業しか受けていなくて、それ以外はすべてダンスをやっていました。

写真撮影:大塚正明
──東京大学でダンスを真剣にやっているというのは、やはり浮いた存在だったのでしょうか?
そうですね(苦笑)。ただ意外と東京大学でも多様性を認めてくれる部分があったんですけど、当時はストリートダンスへの認知度が低かったり、イメージが良くなかったのもありますし、大学の生協のガラス張りの前でずっと練習していて、「ずっと生協の前でダンスをしている人」という感じで、ちょっと変な人という感じで見られていましたね。ただ、楽しかったので全然気になりませんでしたが。浮いているかいないかと言われれば、間違いなく浮いていたと思います(笑)。
──それぐらいダンスにハマったんですね。
結構、凝り性というか、何かにハマると他のことが見えなくなってしまうというか、一つのことに打ち込んでしまうタイプなんだと思います。
──一つのことに集中してしまうタイプなんですね。その集中力があったからこそ東京大学に進学できたと。
実家が北海道で、キツネや野ウサギが出てくるような田舎の高校だったんです。都会への憧れもあって、大学は東京に行きたいと親に言ったんです。そうしたら親が東京に行かせたくなっかったんだと思うんですけど、東京に行くなら東京大学以外はダメだと。じゃあ東京大学を目指すと、ということになったんです。現役では入れなかったんですけど、晴れて東京大学に入学することができたと。だから、東京大学に入学できたモチベーションは“東京に行きたい”だったんです。
──それで東京大学に入れるというのは凄いですね…。
地頭がそんなに良くないので、浪人時代は一日15時間ぐらい勉強していました。
──それでも凄いです。話は変わりまして、今回取材させていただいている、MISSION PARKOUR PARK TOKYOで、Youtubeにアップされている動画「MICHAEL」を撮影されています。どのような経緯からこちらで撮影することになったのでしょうか?
MISSION PARKOUR PARK TOKYOがオープンしたのが今年の6月なんですけど、その時にSNSでバーがあったり内装がカッコイイなと思って、そもそも鉄棒が無いと僕らのパフォーマンスが出来ないということもありますし、撮影するにしても公園の鉄棒ぐらいしかない。体操の施設は撮影がNGなことも多くて、ちょうどパフォーマンスを撮影する場所にはこだわりたいなと思っていたのもあって、何度かMISSION PARKOUR PARK TOKYOに来させていただいて、こういう風に撮影したいと説明して、撮影させていただきました。
──映像の編集はどなたがされたのですか?
自分でやっています。鉄棒をやっている側としてこのアングルがカッコイイというのがありますし、それを説明するのが難しいので、今チームは3人でやっているのですが、自分でやってしまったほうが早いと。

──現在チームは3人でやられているとのことですが、どのような活動をされているのでしょうか?
まだ「鉄棒でダンスをする」ということへの認知度が低いので、Youtubeにアップするパフォーマンス動画を撮影して公開したり、先日は知り合いの大学の学園祭にさんかさせていただいて、そこでパフォーマンスをしたりしています。
──上西さん達がパフォーマンスを行っている鉄棒を使ったダンスの名称はあるのでしょうか?
ストリートワークアウトでダンスすることをプラップダンスと呼ばれているのですが、それはちょっと語感的に伝わらないかなと思っていて、エアダンスという形でやっていければと思っています。
──YoutubeではAIRFOOTWORKSというチーム名でされていますが、それがパフォーマンス名でもあるのかと思っていました。AIRFOOTWORKSというのはカッコイイなと。
AIRFOOTWORKSはチーム名でやらせていただいていたんですが…カッコイイですか。ではそれで行こうかな(笑)。SNSで動画をアップする時はAIRFOOTWORKSでハッシュタグを付けたりしていたので、確かにいいですね。
──鉄棒を使ったパフォーマンスの元祖になるので、チーム名とパフォーマンス名が同じのほうがカッコイイと思います。そして今後のどのような展開をされていこうとおもわれているのでしょうか?
先日、青山学院大学の学園祭でパフォーマンスをさせていただいたのですが、やっているうちにどんどん人が集まっていって、パフォーマンスをしていたメインステージに1000人ぐらい集まったんです。実行委員の人にも今までないぐらい盛り上がりましたと言われて、凄く嬉しかったんです。それもあって、生でパフォーマンスをする、というのが最終目標です。ではどうやってパフォーマンスをしていくのか、どうやってステージを作るのか、ということを考えている最中です。
──今回、パフォーマンスを取材で観させていただいて、確かに鉄棒を使ったパフォーマンス、エアフットワークスは生のほうがその凄さが伝わると思います。
まずはいろいろなことにチャレンジしていこうと思っています。チームではプロモーションになるような映像を撮影して発表して行こうと思っていますし、個人では舞台に出演させていただいたり、していこうと思っています。

写真撮影:大塚正明
──個人での活動では12月15日から上映される『超ピカイチ!』にも出演が決まっていますよね。どういった経緯から出演されることになったのでしょうか?
梅棒さんの演出をされている伊藤今人さんと前から顔見知りではあったのですが、僕が投稿している動画を観ていただいて、何度かオファーをいただいていたんです。それが今回はタイミングがあって、出演することになりました。
──『超ピカイチ!』ではどのようなパフォーマンスをされるのでしょうか?
そこはどんなパフォーマンスをするのかは楽しみにしていただければと(笑)。梅棒と僕を知っている人であれば、どのようなことをするのか分かると思います(笑)。ちょっと恥ずかしいなと思うところはありますが、ぜひ劇場でどのようなパフォーマンスをするのかを体感してもらえればと思っています。

取材・文:林信行 動画撮影・編集:登坂義之 写真撮影:大塚正明

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