無邪気な爆弾小娘シンガー、櫻井里花
。1stアルバム『ありがとうじゃ足り
ないよ』を全曲解説!!
「歌が好きで、ただただ歌いたいから」という気持ちが彼女の歌の原点にあれば、その気持ちは今も変わらない。同時に、今の櫻井里花は「自分らしい色」を探している。今は、プロデューサーの近藤薫が提供する楽曲を歌いながら、今の自分よりも少し背伸びした物語へ染まり、そこから見えてくる「本当の自分らしさ」を探している。ギターを弾き語り歌うときの櫻井里花の姿も、とても印象的だ。感情と歌声と腕のストロークが重なりあい、気持ち揺れるままのライブがその場に生まれる。そのインパクトが強烈だから、一度彼女のライブへ触れた人たちがリピーターになるのかも知れない。
わたしのまわりには、すごい才能を持った人たちがいっぱいいます。その人たちと自分を見比べては、自信を失くして落ち込むこともあります。だけど、そんなわたしを信じてみなさんが支えてくれるから、わたしはこうやって進み続けられるのも事実です。自分一人で「駄目だ、駄目だ」と思っていると、まわりの風景さえ歪んで見えてしまうけど。わたしを支えてくれる人たちを信じてさえいけば、その景色はくっきりとしてきますし、真っ直ぐに突き進もうという気持ちにもなれます。タイムリミット(限界)など自分で決めずに進んでいこう。自分自身と向き合いながら前を向いてゆく気持ちを、わたしは『タイムリミット』を歌うたびに感じます。
『短篇小説』
『短篇小説』は、暗い感情を歌にしたマイナー調の楽曲。激情するように声を張り上げ歌う面もあるように、表現するのが難しい歌。最後には前を向くけど、その気持ちへ辿り着くまでは深い海の底を潜り続けるような感覚でした。最初は真っ暗な感情という印象でしたが、歌い込むにつれ要所要所へ主人公の苦しい気持ちと言いますか、相手に対する未練を抱えながらも、それでも前へ進む想いなど、いろんな感情が入り交じっているのが見えてきました。しかもこの黒は、最初から闇のような黒ではなく、紫や灰色など、いろんな色(感情や経験)が入り交じったことで黒になったとも感じるようになりました。その気持ちを理解したうえで、わたしは叫ぶように歌っています。
『Baby blue~くっついていたいよ~』
『ありがとうじゃ足りないよ』
大好きな相手だからこそ、接してゆくに際しても、本来の自分と、相手に合わせたい自分という感情の狭間で心が葛藤してゆくこともあると思います。その気持ちの選択の仕方によって、この子は、大好きな人との時間は戻らないものになってしまいました。そこに届いた大好きな人からのメッセージ。そこでまた彼女の気持ちが揺れ動く、その様がとても切ないなと感じました。
品川にあるビルの25階のオフィスで働いているおじさんが、バーで働いている若い女の子に「ちゃんと就職をして、将来有望な彼氏をみつけなさい」と語る歌が『グレーのスーツのおじさん』になります。「わたし、こんなお店で働いたどころか、行ったこともないよ」と、最初はオロオロしていましたけど(笑)。主人公の女の子が抱えている気持ちには、わたしも共感を覚える面が強くありました。
『ルーレットを回して』
『WALK』
『おつかれさん、また明日。』
自分の中で何かをあきらめながら日々を過ごすことや、本当は何がしたかったのか、そんなことを考える瞬間って、みんなの中にもあると思います。わたしも深夜になると、そういう気持ちに襲われることがあります。先のことをあきらめ、今のまま進み続けるのか。自分で一つの区切りをつけ、新しい道へ飛び込もうとするのか…。わたしは変わっていきたい人。後悔しないで進める道がどれかはまだわからないけど、やりたいと思った道へわたしは進みたいし。そうやって、明日を変え続けていきたいなと思います。
TEXT:長澤智典
★映像★
◎「短篇小説」
★音源情報★
『ありがとうじゃ足りないよ』
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