『喜劇 有頂天団地』開幕へ~渡辺え
りとキムラ緑子が笑いあり、涙ありの
ご近所バトル!?

有頂天シリーズ第3弾となる『喜劇 有頂天団地』が12月1日(土)から、東京・新橋演舞場にて上演される。初日前日には同劇場にて囲み会見と公開ゲネプロ(通し稽古)が行われた。
囲み会見には、渡辺えりとキムラ緑子が昭和53年(1978年)当時の専業主婦のいでたちで登場。渡辺は自身が着用する真っ白のフリル付きエプロン姿に目を落としつつ「菊池桃子さんのイメージです。フェミニンな感じでいこうと」と口にすると、身体のラインを見せるシャープな服装のキムラは「私は長山藍子さんの若い頃ね」とそれぞれのイメージ像を自由に語りだした。
シリーズ3作目という事で、演じる側に多少の余裕が生まれるかと思いきや、渡辺は「いつもと違うテイストなので緊張しています。作家さん(小幡欣治)も演出家さん(マギー)も新しい方なのでストーリーの運び方も全然違う。まったく新しい気持ちですね」と語った。
「この時代の専業主婦」を演じる事について話を向けられると、渡辺は「自分との戦いです。というのも私が23歳の頃の母親を演じるようなものですから。当時、母親の物の考え方に真っ向反対していましたが、今回はそんな母の嫌な部分を自分が演じなければならない。だから厳しいですね」とコメント。
渡辺えり
するとキムラも「当時は男尊女卑で、妻はこうあるべきとか、子どもを育てるのが役目という考え方が当たり前でしたから」と口にし、続けて「台詞の中に『女のくせに』という言葉があったんですが、そこにえりさんがものすごく反応していました。『何でこんな台詞があるのよ!』って!」と稽古中のエピソードを披露。すると渡辺は「そういうモノの考え方ではいけない、という想いから「劇団2○○」(げきだんにじゅうまる/劇団3〇〇の前身)を立ち上げたのが、昭和53年なんですよ」とまるで昨日の事のように当時を振り返っていた。
キムラ緑子
ゲネプロでは一幕が披露された。郊外に6棟の建売住宅が完成し、夢のマイホームを手に入れた「新住民」と、以前からこの辺りに住む「先住民」との対立や、ご近所同士で張り合うささやかな見栄、嫁姑問題、人から人へあっという間に広がる噂話など、昨今ではあまり耳にしなくなった「ご近所付き合い」が、笑いと昭和の温もりを持って描かれていた。
一幕後半では、現在の6棟に加えてさらに2棟住宅が増えるという話が浮上し、そこにいろいろな人の思惑が絡み、やがて「新住民」同士の結束にもヒビが入り……2幕では果たしてどのような展開を迎えるのかと非常に気になった。
劇中、そして開演前の「客入れ」時に会場に流れている楽曲にもご注目いただきたい。沢田研二、キャンディーズ、山口百恵原田真二など、昭和53年のヒットソングが次々と聞こえてくる事だろう。まるで昨日の事のように思い出して胸が熱くなり、思わず口ずさんでしまう人もいるかもしれない。
東京・新橋演舞場で年忘れにひと笑い、さらに年明けは京都に新開場した南座で初笑い……平成最後の年末年始を笑って過ごしてみるのも悪くない話だろう。
取材・文・撮影=こむらさき

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