チャーリー・プース 待望の初単独公
演 ーーファンへの愛が溢れ出た充実
の幕張メッセ公演をレポート

チャーリー・プース『ヴォイスノーツ・ジャパン・ツアー2018』2018.11.21(WED)@幕張メッセイベントホール
今年5月に発売された最新2ndアルバム、『Voicenotes』を引っさげ、来日したチャーリー・プース。バークリー音楽院在学中の2011年、コンテスト参加のために、YouTubeにアップしたアデルの「サムワン・ライク・ユー」のカヴァーで大きな注目を集めたことから彼のキャリアはスタートする。現在は、弱冠26歳ながら、最新アルバムのMVもYoutubeでの再生回数が計10億回を越えるなど、まさに新世代のポップスターだ。そんな中2016年の『SUMMER SONIC』以来約1年ぶりとなる待望の来日公演が決定。過去にここ日本では1度しか公演を行ったことがなく、しかも初の単独公演ながら、若きスターを一目見ようと幕張・大阪公演は即日完売。それを受け急遽開催が決まった東京追加公演も即日完売という人気ぶりで、ツアー前から大きな話題となった。幕開け前から期待感でいっぱいの幕張公演の様子をレポートする。
チャーリー・プース
公演当日は制服に身を包んだ若い女性をはじめ、老若男女さまざまな年代のファンが集まっていた。ツアーオリジナルのTシャツや1stアルバム『Nine Track Mind』を彷彿とさせる黄色のオリジナルパーカに身を包んだファンたちがSEで流れるマイケル・ジャクソンの「P.Y.T.」にあわせて体を揺らしつつ、チャーリーの登場を待っていた。期待感で溢れる会場の空気は、すでに爆発寸前。はじめにバンドメンバーが登場し、その後チャーリーの姿があらわになるとファンから大きな歓声が沸いた。
チャーリー・プース
オープニングは最新アルバムから「The Way I Am」を披露。誰にどう思われようと、これが僕なんだと自身の事を歌うこの曲を挨拶代わりにプレイするのがなんともチャーリーらしい。ギターリフをバッグに、美しく伸びる声にファンは大熱狂。続く「Slow It Down」では観客にクラップを求め、場内が一体感に包まれる。その後「How Long」の途中からショルダーピアノを使った演奏を披露。幼いころからピアノに触れてきた彼のプレイは圧巻で、形容するならばまさに天才的。若き才能が幕張に爆発していた。その後も2ndアルバムから「Empty Cups」を立て続けにプレイ。小刻みに踊るお茶目な一面を見せつつ、時折見せる笑顔のチャーリーにその場にいた全員が引き込まれていった。
序盤から彼の才能を目の当たりにし興奮が続く中、「日本でプレイをしてきたことがそんなにないのに、ソールドアウトするなんて予想していなかった。サポートしてくれて本当にありがとう」とファンへの感謝を述べたチャーリー。「もともと小さな部屋で曲作りをしていたんだけど、こんなに世界中で僕の曲が聴かれるようになったことはすごくれしいんだ」と自身の胸中も述べ、チャーリーの謙虚な一面とファンへの愛が、彼の虜になっていくことの一因なんだと思えてくる。
チャーリー・プース
その後ドロップした「La Girl」では観客とのシンガロングでグルーヴ感を生み出しさらに会場が一体に。さらにデビューシングル「Marvin Gaye」や2ndアルバムからの「Patient」で一層ファンを虜にすると、アコースティックに切り替え「Change」へ。彼が愛するジェームス・テイラーをフューチャーし、作られたこの曲は彼にとっても大切な曲のひとつ。その曲をオーディエンスがサポートしようとスマートフォンなどでライトアップ。美しい光に満たされた会場は、ファン一人ひとりに届くよう、語りかけるように歌うチャーリーと一緒に最高の空間を作り上げているかのようだった。
「まだおいしいラーメンを食べれていないんだよね、おすすめ教えてよ。」と尋ね、オーディエンスとの会話を楽しんだと思えば突如、大ヒット曲「We Don’ t Talk Anymore」をスペシャルなアレンジバージョンで畳み掛ける。会場の盛り上がりも最高潮に達した。セレーナ・ゴメスを迎え作られたこの曲は、日本を訪れた際に美しい景色を見たインスピレーションから作られたもの。当然彼自身にも特別な思いがあったのだろう、ファンが歌う様子をじっくり味わったかと思えば、「ビューティフルボイスだね」とポロリ。今、この場所でライブが出来ているという瞬間を噛み締めるようだった。
チャーリー・プース
続いての「Some Body Told Me」ではバンドセットとしての完成度の高さをみせる。アップテンポな構成ながら成熟しており、エモさを感じさせた。さらに「Done For Me」が始まると、チャーリーはシャツを脱ぎ捨て上裸に。しっかり鍛えられた体で歌いつつ、振り返るだけで歓声が飛ぶ。セクシーな一面も見せてくれた。その後は「カリフォルニアに活動拠点を移したときに作ったんだ」と「Suffer」を演奏し始め、「知らない人でも歌い始めれば、“あぁこれか”ってわかるはずだよ!」と「One Call Away」を演奏し、一言添えてあげることでファンをおいていかない心配りがされていて、この場に来てくれているファンに対しての感謝や愛が垣間見える。
途中「テイラー・スイフトのライブもあるのに、こちらを選んでくれてありがとう」といったジョークをMCで交えたが、彼のファン想いな性格から滲み出た本音だったのかもしれない。
チャーリー・プース
さらに終盤、「Attention」ではチャーリーのため息一つで歓声が爆発するほど。ファンとチャーリーの間で恋愛の駆け引きが行われているかのようだった。あざとさをみせる彼のプレイに観客は卒倒寸前の中「Boy」へ。《Tokyo I love you. I love you so much. 》とリリックをアレンジしつつファンへ感謝を述べるのは彼の優しさからなのかもしれない。
興奮が覚めやらないなか、一旦ステージを後にし、オーディエンスの大きなクラップに吸い寄せられるかのように戻ってきたチャーリー。最後はもちろん、彼をスターに押し上げた楽曲「See You Again」だ。米ビルボード・シングル・チャート12週にわたり1位を記録、国内の洋楽チャートでも9週1位に輝いたこの曲の歌い始め、観客たちは大事そうに聞き惚れていたが、途中から我慢が出来なくなったかのようにシンガロング。最後には会場中が歌っていて、一体感はこの日最大となった。歌いながら涙を浮かべるファンの姿も……、そして大熱狂の中公演は終了。チャーリーと「また会える」日を切に願っているファンたちが満足そうに会場をあとにしていった。彼自身の恋愛体験を曲を通して体感できるような濃密なセットに酔いしれることが出来たのは、チャーリーとファンがお互いを大事にする空気を作り上げていたからだ。そんな心地の良い贅沢な時間をもっと味わっていたい、そう思わせるような圧巻のライブだった。
チャーリー・プース
取材・文=佐藤俊介 撮影=土居政則

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