東京ドームという「港」からAqoursは
新たな航海へ! 『ラブライブ!サン
シャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~
Sailing to the Sunshine~』 Day2
レポート

静岡県沼津市・内浦を舞台に、浦の星女学院のスクールアイドルグループ「Aqours」の奮闘を描いた人気テレビアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』。そのメンバーを演じるキャスト陣9人によって結成されたAqoursも、2015年6月の結成からライブ活動などを重ねて人気を高め続け、ついに11月17~18日・東京ドームでのライブ公演2DAYS「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~」へと辿り着いた。
アニメーション映像との完璧なリンクなど、Aqoursならではのハイレベルなパフォーマンスが東京ドームという大舞台でどのように繰り広げられるのか? その感動の舞台の千秋楽となったDay2の様子をレポートしよう。
■オーケストラのコラボレーションが紡ぎ出すAqoursの三年間の軌跡
アリーナはもちろんスタンド席まで6万人近いファンで埋めつくされた東京ドーム。開始時刻となって暗転すると同時に、そのすべてがメンバー9人それぞれのイメージカラーのコンサートライトの輝きで満たされていく。そしてスポットライトはアリーナ中央を貫くランウェイステージ前方に設けられたオーケストラピットを照らし出す。そこに待機しているのは、今回のライブのために編成されたオーケストラユニット「浦の星交響楽団」で、指揮を務めるのは『ラブライブ!サンシャイン!!』を盛り上げたサウンドトラックの数々を手がけた作曲家・加藤達也だ。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
彼の指揮と共にプロローグを飾ったのは、ファンにはおなじみの「Main theme of Lovelive! Sunshine!!」。フルオーケストラで迫力満点に奏でられる思い出のBGMに、ファンもコンサートライトを振って応えながら気持ちを盛り上げていく。そしてメインスクリーンにアニメの各メンバーが映し出されるごとに、客席はそのイメージカラー一色に染まる。そしてオーケストラ演奏が終わると同時に、ランウェイステージ中央からスモークと共にAqoursが登場!
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
場内はいきなりクライマックスの如き大歓声が巻き起こり、その盛り上がりの中でスタートしたオープニングナンバーは「君のこころは輝いてるかい?」。もはやトレードマークでもあるアニメーションPVとのシンクロパフォーマンスと共に歌いきると、そのまま「Step! ZERO to ONE」に突入し、Aqoursの原点といえる1stシングルの2曲で東京ドームライブの始まりを飾った。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ランウェイからメインステージに移っての三曲目は、アニメーションPVを交えての3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」。終盤ではPVに登場する銀河鉄道の発車に合わせてランウェイも線路の様に緑色に輝き、ファンも同じエメラルドグリーンのコンサートライトを光らせてドーム全体を宇宙の様に染め上げて、曲のフィナーレを飾った。

(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

「Sailing to the Sunshineへようこそー! ついに来ました東京ドーム!」
最初のMCタイムでは東京ドームへと辿り着いた喜びと、会場や全世界で中継されているライブビューイング(国内外ライブビューイング含め11月17日~18日 2days合計15万人)のファン達への感謝の言葉を贈るメンバー一同。そして今回の東京ドームで初めてAqoursに触れる人もいるだろうと、各キャストがはじめましての自己紹介タイムに。
6万人近い観客数に「もっと大きな声だせるよね?」とみんながコールを二回求めるパターンが続き、黒澤ルビィ役・降幡 愛は定番の「がんばルビィ!」一回目の後、姉である黒澤ダイヤの「ブッブーですわ!」を真似てダメ出ししたところ、当の黒澤ダイヤ役・小宮有紗から「千年早いですわ!」とツッコミを入れられる一幕も。
他にも松浦果南役・諏訪ななかがメンバー全員と抱き合って気合いを入れて会場を沸かせたり、浦の星交響楽団の紹介では指揮者の加藤達也を紹介し「カトタツと呼んでください!」と言ったのに合わせてカトタツコールが起きるなど、明るい笑いに包まれた盛り上がりを見せたところで再びライブパートがスタート。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
四曲目は3rdシングルのカップリング曲「少女以上の恋がしたい」、五曲目はTVアニメ1期オープニング主題歌「青空Jumping Heart」をメインステージ上で連続して披露。「青空Jumping Heart」ではオープニングアニメと合わせたパフォーマンスや、各メンバーのイメージカラーのライティングが東京ドームの天井を染め上げるなどの華やかな演出で場内を盛り上げた。
次の曲の準備のために引き上げたメンバーの後の幕間を引き受けるのが、プロローグを盛り上げてくれた浦の星交響楽団。
TVアニメ2期第13話での学校との別れのシーンと、そこから振り返る様にAqours始まりの思い出へと繋がっていく名場面映像に、様々な物語を彩ったBGMを深みのあるオーケストラで合わせていくという贅沢な時間をファンへとプレゼント。
この後もそれぞれの学校生活や子供の頃の思い出、スクールアイドル部結成と練習の日々、奮闘するも学校の統廃合を阻止できなかった挫折からの復活など、数々の名場面とオーケストラのアンサンブルを見せ、さらには観客の手拍子とのコラボレーションも繰り広げるなどして、東京ドームならではのスケールの大きい盛り上がりに一役買ってくれた。
■ついに実現した9人による「想いよひとつになれ」にAqoursもファンも感涙
オーケストラ明けの六曲目からは、各学年トリオによるナンバー三連発。Aqoursの始まりを飾った千歌・梨子・曜の二年生トリオの「ダイスキだったらダイジョウブ!」を劇中と同じ衣装をまとった伊波杏樹・逢田梨香子・斉藤朱夏が披露すると、続いてランウェイステージ中央に津島善子役・小林愛香、国木田花丸役・高槻かなこ、黒澤ルビィ役・降幡 愛が登場。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

TVアニメ1期のBlu-ray第3巻特装限定版の特典曲「Waku-Waku-Week!」をランウェイを元気に飛び回りながらポップに熱唱。そしてトリを飾ったのは三年生トリオ。フィフティーズ風の水玉ロングスカートをまとって、ランウェイ先頭に登場した松浦果南役・諏訪ななか、黒澤ダイヤ役・小宮有紗、小原鞠莉役・鈴木愛奈が歌うのは、TVアニメ1期Blu-ray第5巻特装限定版の特典曲「G線上のシンデレラ」。ダンサブルなナンバーを軽快に舞いながら歌い、中盤には一年生トリオとそれぞれペアを組んでのダンスも披露して場内は熱い歓声に包まれた。
トリオ曲が終わると、スポットライトはメインステージへ。伊波杏樹と斉藤朱夏が見守る中、逢田梨香子がステージ上のグランドピアノで奏でるのはTVアニメ1期・第11話挿入歌「想いよひとつになれ」のメロディ。それに惹かれる様にランウェイ上の6人もメインステージへ。そこで歌が始まるのかと思った瞬間、逢田もピアノを離れて8人と合流し円陣に加わった。そしてメンバー全員が突き上げた右手首には同エピソードで9人の思いを繋いだシュシュが!
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
1st LIVEでは劇中同様に8人バージョンだった「想いよひとつになれ」が、ついに東京ドームでフルメンバーバージョンを初披露となったのだ。このサプライズにファンも熱く盛り上がり、曲の後のMCでは逢田が「この曲をみんなで唄うのがずっと夢だった。本当にありがとうございます」と感極まる一幕も。
MCで曲を振り返った後に「少し早いクリスマスプレゼントです」として始まったのが、スクフェスコラボシングルより「聖なる日の祈り」「ジングルベルがとまらない」のクリスマスソング二連発。静かに雪が降る夜のようなイメージの「聖なる日の祈り」は、メンバーそれぞれがイメージカラーに輝くランタンを手に、ランウェイをゆっくりと行進しながらしっとりと歌い上げる。そしてランウェイ先頭に到着すると、一転してクリスマスの賑わいの様な明るさの「ジングルベルがとまらない」がスタート。メンバーはサンタクロースのソリに見立てたゴンドラに乗り込んでアリーナを周回し、赤と緑のクリスマスカラーに彩られたメインステージで合流しながら歌い続け、歌のクリスマスプレゼントを6万人のファンに送り届けた。
■Aqoursを未来へ導く希望の船が出現し、東京ドームが大海原に!
オーケストラと共に本編を振り返る幕間が終わると、メインステージには和風コスチュームに身を包んだ9人が登場。この姿で唄うのはTVアニメ2期・第3話のラブライブ!予備予選でお披露目した「MY舞☆TONIGHT」。
TVアニメ本編のライブシーンとのシンクロや、真っ赤な照明&コンサートライトに噴き出す炎と和のグラフィックなどのエキゾチックな演出が会場の熱気を高めていく。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
そのまま9人がメインステージいっぱいに広がると、十三曲目となる「待ってて愛のうた」がスタート。各ソロパートでは残りのメンバーが客席に手を振って声援に応えたり、頬にキスをするパフォーマンスを交えたりしながら客席を沸かせていく。そして十四曲目となる「未熟DREAMER」ではメインスクリーン前に全員が勢ぞろいし、アニメーションPVや降り注ぐ花火など共にそれぞれが夢へと向かう思いを込めた曲を気持ちたっぷりに歌い上げた。
三度目のオーケストラパートでは、統廃合を阻止できなかった代わりに、ラブライブ!の歴史に浦の星女学院の名前を刻む決意を固めるアニメ本編の山場がスクリーンに映し出され、ファンも放送当時を振り返る様に真剣に見入る時間が続く……そして演奏が終わった時に、メインステージ&スクリーン中央が二つに割れて、そこからAqoursのが乗り込んだ大きな帆船「Aqours Ship」が出現!
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ランウェイステージをゆっくりと進む帆船に乗りながら9人が紡ぐ歌は、TVアニメ2期・第12話のラブライブ!全国大会決勝で熱唱した「WATER BLUE NEW WORLD」!
TVアニメのライブシーンをバックに進む船と共に唄う9人の姿は、まさに歌詞どおりの新たな旅立ちそのもので、客席のファンも海をイメージした青のコンサートライトでそれに応え、降り注ぐまばゆいライティングと相まって、広い東京ドームが海と化したような風景がそこに生まれていた。
ランウェイの先頭で船が止まると、船に乗ったまま次の曲へと突入。スクールアイドルの道を全力で駆け抜けてきたAqoursの奇跡の様な日々への想いを唄った、TVアニメ2期 Blu-ray第7巻特装限定版の特典曲「キセキヒカル」を浦の星交響楽団の生演奏と共に熱唱。ドームに生まれた海を渡る航海はフィナーレを迎えた。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

「Aqours Shipに乗って全速前進ヨーソロー! みんなの近くまで来ましたよ!!」
MCタイムとなってAqoursの面々は船を下り、ここまでライブを盛り上げてくれた浦の星交響楽団と加藤達也氏へ感謝を述べて、観客も盛大な歓声で引き上げる楽団メンバー達を見送った。そしてそれぞれがドームの広さを噛みしめる様なコメントを呟きながらランウェイステージ中央へ移動し、そこでスペシャルゲストの登場を伝える。
劇中ではAqoursの良きライバル、ライブでは共にステージを盛り上げる仲間として登場してきた函館のスクールアイドルユニット「Saint Snow」の鹿角聖良役・田野アサミ&鹿角理亞役・佐藤日向が登場。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
披露する曲はもちろん、TVアニメ2期・第9話で誕生した合同ユニット・Saint Aqours Snowの「Awaken the power」だ。Saint SnowとAqoursを巡る物語が描かれた第8~9話の名場面やライブシーンで構成されたPVとシンクロしながら、ルビィと理亞を演じる降幡と佐藤のしっとりとしたデュオから、一転して全員参加のロックナンバーへと変化する個性的なナンバーを11人は全力で熱唱。
曲の後のMCでは東京ドームへと辿り着いたAqoursへのお祝いと、そこに自分達Saint Snowも導いてくれたことへの感謝を佐藤による観客とのコール&レスポンスと共に伝えて、スペシャルステージは幕を閉じた。
■ファンと一体になって作りあげたフィナーレ&アンコール…そしてAqoursはさらなる未来へ!
こうして3時間近く続いたドームライブもいよいよフィナーレへ。ゴンドラへと乗り込んだ9人がアリーナを周回しながら送るのは、Aqours10人目のメンバーであるファンへの感謝を込めた楽曲「No.10」。ドームの大舞台を共に乗り切ってきたファンに手を振りながらメインステージへと到着した9人は最後にメンバーの数をカウントしていき、最後に観客と共に声を合わせて「10!」と叫んで曲を締めくくる。
そしてラストナンバーは、TVアニメで描かれてきたAqoursのがんばる姿と共に耳へと届いてきた名曲「勇気はどこに?君の胸に!」。「みんなで一緒に唄おう!」というかけ声とともに歌が始まり、再びゴンドラに乗り込んだAqoursが観客と声を合わせて、6万人とひとつになって夢に向かう勇気を歌い上げる。そして曲のラストとともに再びAqours Shipに乗り込んだ9人は、このライブの時間を共有したファンすべてに「ありがとう!」と言葉を投げかけて、船とともに光の中へと消えていった……。

(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
まだまだAqoursとの時間を過ごしたい観客からのアンコールがしばし続いた後、その声に応えて初お披露目の衣装に身を包んだAqoursが登場。未来へ進む希望を唄ったTVアニメ2期オープニング主題歌「未来の僕らは知ってるよ」からアンコールステージがスタート。

(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ランウェイ中央ステージでの熱唱から、続いて2期第13話のラストを飾った「WONDERFUL STORIES」へと繋がり、9人はメインステージへ。感動のラストライブのアニメ映像を交えながらの歌が続き、間奏では千歌の「私達が過ごした時間の全てが…それが輝きだったんだ」の名セリフを伊波が生アフレコで再現するというファン泣かせの演出が盛り込まれて、会場の熱気は一気に最高潮に達した。
MCでは「長袖&ロングスカート」「バレリーナ風のノースリーブ&ミニスカート」「プリンセス風長手袋&フリルスカート」という三種類の新衣装のお披露目や、劇場版や5th LIVE、そして「ラブライブ!」シリーズ初のアジアツアーなどの様々な新情報(詳しくは https://spice.eplus.jp/articles/217483 の記事参照)、そして「改めて自分達からみんなに伝えたかった」と、ニュースなどでも報道された「NHK紅白歌合戦」への出演が決定したことが伝えられた。
さらにアンコールのラストナンバーの前に、メンバーそれぞれが今回の東京ドームライブへとやりきれた事への喜びと、この幸せな時間を与えてくれたすべてのファンとスタッフへの感謝を語った。そして再び東京ドームへ帰って来ることを誓っての「東京ドーム!」コールを決めて、ついにラストナンバーが始まった。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
最後を飾るのは、今回の4th LIVEのテーマソングである「Thank you, FRIENDS!!」。9人それぞれのハーモニーが重なり合いながら友情への感謝を紡いでいくメロディアスなナンバーが、まさに「サンシャイン」のようなまばゆいライティングで包まれた東京ドーム内に響き渡る。
こうしてすべてのナンバーを唄いきったAqoursメンバーは、最後にメインステージやランウェイ、さらにステージ裏の見切れ席の方にも足を運んで、応援してくれたファンへの感謝を伝えていく。そしてメインステージ前に整列すると、全員が手を繋いで深々と一礼。こうして二日間にわたる東京ドームライブは幕を閉じた……かに見えたが、最後にさらなるサプライズが!
アンコール終了後も鳴り止まぬ、ファンからの感謝の気持ちが込められた「Aqours」コール。それに応える様に9人が再びステージに登場。アンコールの時には「笑顔で終わりたいから絶対泣かない」と語っていたメンバーも、熱いコールに感極まったのか涙ぐむ姿も。そして再び9人が並ぶと、今度はマイクを外して生の声で改めてファンへの感謝を叫んだ。
(c)2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

「本日は…本当に本当に! ありがとうございました!!」
こうして三年間の活動の集大成といえる東京ドームライブは大団円で幕を閉じた。だが、この後も紅白歌合戦にアジアツアーとAqoursの奇跡と輝きは止まらない。来年以降はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? そんな未来への期待が高まる二日間となった。
取材・文=斉藤直樹

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