【前Qの「いいアニメを見にいこう」
】第10回 やっぱり声が好き 「ひも
てはうす」

(c) ひもてはうす製作委員会 10月から11月の前半にかけて、ひたすら「若おかみは小学生!」の舞台挨拶で登壇していた気がする。前Qです。職業欄はライター。ラジオ番組のショートコーナーのレギュラーをもたせていただいてますし、ときどきロフトプラスワン系列のお店とかに登壇したりもしますけど(年明けにも「日本オタク大賞2018」に出るよ!)、どこまでいってもしゃべりはシロート。拙い司会を温かく受け入れてくださったお客様に感謝です。
 さて、そんなこんなで2018年10月クールのアニメも折り返し地点を迎えている今日このごろですが、「やがて君になる」のハイレベルな演出に身悶えしていたら、今期は「うちのメイドがウザすぎる!」も強烈な作画アニメっぷり(1話と6話は必見)で、こんなゴージャズなものをテレビアニメで観ちゃっていいのかしらと嬉しい悲鳴をあげております。あと「ゾンビランドサガ」。いろいろ語りたいことのある作品ですが、ひとまず言いたい。本渡楓さんと宮野真守さんのはっちゃけた芝居、めっちゃ楽しいね。最高だね(小並感)。
 しかし、今回本題として取り上げたいのは「ひもてはうす」なんです。「てさぐれ!部活もの」「キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎」「魔法少女?なりあ☆がーるず」の石ダテコー太郎監督の最新作。ダテコーさんとは阿佐ヶ谷ロフトのトークイベントで何度かご一緒したことがあったりして知らない仲ではないので、ちょっぴり内輪褒め感が出てしまうのがイヤなんですが、おもしろいものはおもしろいんだからしょうがない。略して「おもしょ」ですよ。……何言ってんだ? とまれ、ダテコーさんも関わっていた「gdgd妖精s」が2011年に話題になって以降、あえてロークオリティなCGや作画で作ったシンプルな映像に、声優さんたちのフリートーク的なダベリを合わせる企画がワーッと増えました。初期こそ新鮮だったものの、最近は正直なところ、やや食傷気味だったんですよ。でも「ひもてはうす」は、たーのしー。なんでか。その理由は、キャラクターと役者の距離感がよいからではないかとワタクシ、愚考いたします。
 この作品、メインキャストが洲崎綾さん、明坂聡美さん、三森すずこさん、水原薫さん、上坂すみれさん、西明日香さん、荻野可鈴さんと、これまでダテコーさんの同コンセプトの作品に出演してきた方々で固められてるんですね。つまり最初から、作り手が演じる人たちの個性をかなり把握している。で、もともとその人たちがもっているキャラクター性と、遠すぎず、近すぎずの絶妙な塩梅で、各々が演じるキャラクターが設定されているんです(水原さんの演じる「紐手ときよ」だけは、某有名女優というか、それをモデルにした某コント番組の牛キャラみたいな感じがちょっと入ってますが)。おまけにみなさん、バラエティ番組的なアドリブに強い人ばかり。これがどういうことかとうと、つまり、掛け合いやフリートークが上手く転がるような設計が、企画レベルで丁寧に組み立てられているってことですな。そうした準備を積み重ねたうえで、編集によってきちんとテンポ感が構築されている。だからおもしろいんではないのか。
 大元のコンセプトは「やっぱり猫が好き」だそうですが(おっさんホイホイ……!)、キャラクター同士のわちゃわちゃ感はバーチャルYouTuber同士のコラボ動画的でもあり、日常アニメっぽくもありで、年齢や性別を問わず楽しめる作品ではないかと。食わず嫌いの人がいたら、ぜひチェックしてみてくださいな。おせちもいいけどカレーもね、みたいなみたいな……ってな感じで、また次回! アデュー!

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