現メンバーでは初となる作品『夢が醒
めたら』ズーカラデルの歴史に迫った
インタビュー

吉田崇展(Gt&Vo.)、鷲見こうた(Ba.)、山岸りょう(Dr.) からなる札幌発の3ピースロックバンド・ズーカラデル。 昨年9月に1stミニアルバム『リブ・フォーエバー』を発表し、収録曲「アニー」のMVが音楽好きの間で大変な話題を呼んだ。北海道のバンドである事はわかっても、それ以上、特に情報が入る事はなかった。今回このインタビューがズーカラデル3人揃っての初インタビューとなる。そして、11月21日発表となった2ndミニアルバム『夢が醒めたら』は、現メンバーでは初となる作品。そこに至るまでのズーカラデル歴史に迫ったインタビュー。是非、入門書的に読んで頂きたい。
ズーカラデル 撮影=河上良
――スタッフからお伺いしたのですが、今回がメンバー揃っての初インタビューなんですよね?
吉田:はい、そうですね。本当に最初だよね? 心配になってきた……。
鷲見:忘れてる事はないよね(笑)。
――ハハハ(笑)。このインタビューもそうですけど、ライブとかも、どんどん広がりあるスケジュールになってきていますよね。
吉田:今回のライブスケジュールは、神戸から始まって、大阪にも行って、東北や九州まで行くのですが、こんなの初めてなんですよ。ツアーみたいだなって。
鷲見:楽しいですよね。20歳くらいからバンドやってて、もうすぐ28歳なんですけど、流石にバンドを続けるのは無理かなと思ってましたが、辞められずで……。今の状態は嬉しくもあり、怖いですね。このまま行くしかないですけど。大きなステージに出たり、こうやってインタビューなど受けたりするようなことがこの先も続いていくのかなどうか未来怖いですよね。大丈夫かなって。
山岸:今回のライブでは、他のバンドに一緒に来てよみたいな感じで誘われて回るところもありますが、そういう事も初めてなんですよ。誘ってくれるのは嬉しいですし、期待に応えたいですよね。新鮮な体験です。
ズーカラデル 撮影=河上良
――このまま僕は、どんどん大きくなって欲しいなと思っていますし、もちろん大きくなっていくんだろうなって思ってます。
吉田:ありがとうございます。今まで色々な事を諦めてきて、このバンドを組んだんですね。同世代の北海道のバンドがグッと全国的になっていくのを横目で見ながら、自分の出来る事をしていこうと組んだのが、今のバンドなんです。今のバンドなら、先人を意識しないで、僕のままでいれるかなと。元々ポストロック的なバンドをやりたいという気持ちがあったんですが、そんなのを狙って出来る人間ではないなと気付いたのが、3年くらい前ですね。で、自分が歌うバンドとは別にバックバンド的に入ってるバンド、山岸に出会ったんです。おもしろいドラムを叩くなと思って、「新たにバンドを作ろうと思ってるんだけど、入らない?」と誘いました。出来ればライブを10人くらいでやれるようにメンバーを増やしたかったんですけど、増えてないですね(笑)。ライブで何もしてない人もいたらいいなと思っていたんですけ(笑)。
――それが今のスリーピースというバンドになるわけですけど、鷲見君が一番最後に入ったんですよね。
吉田:前のベースと組んでる時はすごく明るくていいなと思ったんですけど、鷲見が入ったら明るいだけでなく音楽的な要素も増えるかなと思ったんです。
山岸:最初は「吉田崇展とズーカラデル」という名前でメンバーを増やしていくつもりだったのですが、『リブ・フォーエバー』(2017年9月発表1stミニアルバム)の時に改名しました。時間はかかりましたけど、今の3人で、ようやく形になったなと思います。
鷲見:札幌でもズーカラデルの名前も吉田の名前も、そこそこ知られていて、客観的に観てましたけど、すごいなとは思ってました。出会った頃には「アニー」のMVがYouTubeに上がっていて、めちゃくちゃ良いバンドだなと……。このバンドは誰かに見つかりさえすれば売れるでしょと思っていたら、どんどん再生数も上がっていって。僕がやってたバンドが 解散して、他のバンドのサポートをしてる時に対バンして、初めて挨拶しました。それが去年末で、入ったのが今年3月ですね。突拍子も無く誘われましたし、誘われると思ってませんでしたね。
吉田:サポートしていた2つのバンドも、フワッとポップなバンドとゴリッとロックなバンドで、むちゃくちゃ良かったんですよ。気心の知れたベーシストとやる方がスムーズかなと思いましたが、めぼしい人がいなかったし、それなら良いと思ってるベーシストとやりたいなって。
ズーカラデル 「アニー」Music Video
――本当につい最近の話なんですね。
鷲見:だから、あの「アニー」のMVは僕じゃないですよ。
吉田:(笑)。鷲見は性格的に推進力があるんですよね。
山岸:その感じは以前のバンドには 無かったですね。今はスクリューが付いた感じです。音楽的にもバンド運営的にも、進んでいくぞ! という感じですね。
吉田:今までは歌が歌いたくて、出来ればギターは弾きたくなかったのですが、今の3人になってギタリストとしても生きていかないといけないと思えています。後、アレンジも迷ったら難しい方向にいってましたが、今は迷ったら、とにかくど真中にいこうと思えています。高度に見える事が美しいなと思っていた時期もありましたが、今は違いますね。難しい事が目的じゃないので。そう思ったきっかけは定かじゃないですが、ちょっと面倒臭くなったのかもですね。でも、小っちゃい頃から自分の凡庸さには自信があって(笑)、売れてないバンドでも良いなと思ったら、そのバンドが売れてたりしたんですよ。
――それは凡庸さじゃなくて、大衆性があるっていう事ですよ。
吉田:みんなが良いと思うなら、いいじゃないと、自分に対しても思えるようになったんですよね。昔は王道を避けていたので。
ズーカラデル 撮影=河上良
――今回の『夢が醒めたら』は、より王道、より大衆性、よりど真中を僕は感じたのですが、そういう意識はありましたか?
吉田:ゴリゴリに前作から変えていこうとかは無かったですね。
――僕は特に「恋と退屈」という曲が好きで、今までと違うパワーを凄く感じました。
吉田:「恋と退屈」は今回のレコーディングに向けて、初めて作った曲なんです。全体的に良い環境で録れましたし、自分たちを追い込んで、これだというとこにもいけたんですけど、「恋と退屈」は、よく書けた曲だなと自分でも思いますね。ミニアルバムタイトルの『夢が醒めたら』にも至った過程でもある大きな曲です。
――「恋と退屈」は、歌詞もロックンロールというフレーズが出てきますよね。そこへの憧れだったり、悩み、あがきも感じたんですよね。
吉田:ロック的なものへの憧れだけじゃ生きていけないのはわかっていて、そういうところを歌詞として少しずつ前作よりは掘り下げられたかなと。何でもが上手くいくわけでない事を前向きに実態を持って書けたなと思いますね。
ズーカラデル "ダンサーインザルーム" (Official Music Video)
――神戸でのライブを観たんですけど、そこで今回にも収録されてる「ビューティ」をやる前に、ちゃんとMCでエモイ思いを伝えてから演奏されてたんですよね。もちろん良い曲なんですけど、あのMCで、より良い曲として伝わったなと思いましたね。
吉田:あのMCは良い事を言えましたよね(笑)。「ビューティ」は、結成当初からあるむちゃくちゃ良い曲なんですけど、自分で、ここを説明したら、より聴き手に伝わるのかなというのはありますね。まぁ、全曲良いんだよと!
ズーカラデル 撮影=河上良
――ハハハ(笑)。鷲見君は今回は初参加作品となりますが、いかがでしたか?
鷲見:未だに前作も聴きますし、「アニー」のMVに前のベーシストが映っていて、彼が弾いてなかったら、あの音にはなっていないだろうと。前作を自分なりに受け入れて、今作に向けて自分の持てるものを出しました。今回、吉田の曲はスゲーなと改めて思いましたし、吉田の歌も山岸のドラムも引き立たせながら、自分のベースも聞いてもらいたいなと。結果、めちゃくちゃ良い作品になったという自信はあります。
山岸:ちゃんと3人のアンサンブルが出来ましたね。統一感、グルーヴがありますから。
ズーカラデル 撮影=河上良
――もちろん前作も素敵でしたが、この3人で初めて作った今回の作品がスタートなんだなと思いました。なので、早くも次の作品が楽しみなんですよね。
吉田:次にやりたい曲とか録り貯めはしてるんですよ。もうちょっと、歌モノからズレたポップなものもやりたくて。でも、超歌モノもやりたいですしね。
――元々はバンド名も違っていたわけだし、メンバー10人の可能性もあったわけだし、どうなっていくか本当にわからないのが、このバンドの魅力なんだなと、お話を聴いていて思いました。実際、この3人では初めての作品なわけですし。
吉田:そう言えば、何の確証もないまま、ここまでゴロンゴロン転がりながら来てますから。鷲見を誘った時も、そうでしたし。長い期間かかりましたけど、恥ずかしくない形でいけてると感じていますね。行き当たりばったりではありますけど(笑)。その時、その時で一番良い感じで出来たらいいですよね。僕は、あんまり未来の事は考えられないですから。計画を立てるの苦手ですし、逆に一生懸命計画を立てたら失敗しますから。
――今日は3人揃っての初インタビューに携われて、嬉しかったです。これからも本当に楽しみにしています。
ズーカラデル 撮影=河上良
取材・文=鈴木淳史 撮影=河上良

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