「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
デビュー40周年を迎えた
竹内まりやのヒットを探る

ドラマ主題歌、セルフカバー、
そしてクリスマスのケンタッキー!

また、95年当時、ケンタッキーフライドチキン(KFC)CMソングとして起用されたパーティー・ソングの「今夜はHEARTY PARTY」が総合8位(歌詞中に《キムタクさえも かすむような男》と出てくることから、木村拓哉本人にコーラスとセリフを依頼したというのも話題に)。近年のクリスマス時期にディズニー映画のようなゴージャスなサウンドで、もう“チキンを食べなきゃクリスマスじゃない”とCM内で迫ってくるのが2001年作品の「すてきなホリデイ」で、こちらは総合17位。今やKFCも、ドラマ主題歌やセルフカバーに次ぐ彼女の代表ブランドとも言えるだろう。この他にも語りたい名曲はあるが、長くなるので総合TOP20からはここまでとさせていただく。

総合TOP20には入っていないのに、
実は海外で大人気!!

ちなみに、海外では1984年のアルバム『VARIETY』に収録され、翌年にEXTENDED CLUB MIXとして12インチ・シングルにてリカットされた「PLASTIC LOVE」が動画サイトで2000万回を超えるほどの人気となっている(YouTubeのコメント欄を見ると9割以上が英語)。日本ではレコードは当時1万枚以下、配信やカラオケ部門でも20位台でそこそこ定評はあるものの、海外での人気は比べ物にならないほど高い。
本作はあえてビートの強いディスコ・チューンにすることで、愛に傷ついて不毛に遊びまくる女性を表現しているが、バンド・サウンドに絡んでくる管楽器や弦楽器の演奏も絶妙で、海外で人気ということは、その山下達郎が編曲したカッコいいサウンドや、カレン・カーペンターにも通じる凛とした歌声が高評価されているということだろうか。あるいは、同じく海外評価の高い大貫妙子がバック・コーラスで参加していることも一因か。いずれにせよ、今後、Spotifyなどで竹内まりやや山下達郎の楽曲が解禁されれば、日本のすぐれたアーティストや楽曲が逆輸入という形で注目されることも増えるかもしれない。
VARIETY -30th Anniversary Edition-

VARIETY -30th Anniversary Edition-

最後のフレーズにヒットの秘訣が!?

最後に、ムダ知識を一つ。以下に総合1位から9位の竹内まりやが作詞した楽曲の歌詞の最後のフレーズを並べてみた。
もうお分かりになった方もいるだろう。そう、彼女の人気曲のうち、半数以上が英語で締めくくられているのだ。「純愛ラプソディ」のように、その大半の歌詞が日本語なのに、ラストになると突如英語が現れるというのも少なくない。

しかし、だからこそポピュラーソングのような雰囲気が醸し出され、楽曲の普遍性が増している気がする(←やや強引な解釈(笑))。今でも変わらぬ穏やかなアルトの歌声と、優しいメロディーは永遠の人気なので、今後も新たな名曲が聞けることだろう。

プロフィール
臼井 孝(うすい・たかし)
1968年京都府出身。地元大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽系広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のマーケティングに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽市場の分析や配信サイトでの選曲、さらにCD企画(松崎しげる『愛のメモリー』メガ盛りシングルや、演歌歌手によるJ-POPカバーシリーズ『エンカのチカラ』)をする傍ら、共同通信、月刊タレントパワーランキングでも愛と情熱に満ちた連載を執筆。Twitterは @t2umusic、CDセールス、ダウンロード、ストリーミング、カラオケ、ビルボード、各番組で紹介された独自ランキングなどなど、様々なヒット情報を分析してお伝えしています。気軽にフォローしてください♪

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