「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
デビュー40周年を迎えた
竹内まりやのヒットを探る

※オレンジの網掛けは、他の歌手への提供曲のセルフカバー。赤い網掛けは、アルバムからのリカット。「CD」は1987年以前については、「EPレコード」の売上を加算。なお、「駅」のCD売上は1987年の発売当初「After Years/駅」と、その後話題となって何度か再発した「駅/ After Years」の売上を合算した順位としている。

※オレンジの網掛けは、他の歌手への提供曲のセルフカバー。赤い網掛けは、アルバムからのリカット。「CD」は1987年以前については、「EPレコード」の売上を加算。なお、「駅」のCD売上は1987年の発売当初「After Years/駅」と、その後話題となって何度か再発した「駅/ After Years」の売上を合算した順位としている。

総合1位は1989年の『火サス』主題歌

総合1位は1989年から翌年末に使われた『火曜サスペンス劇場』主題歌の「シングル・アゲイン」。シングルは当時の年間TOP10級となる約54万枚で自身2番目のセールス、配信やカラオケでもロングヒット、さらに発売当時は有線放送では圧倒的な人気で1989年の年間1位を獲得し、1990年も年間10位、その後も長くリクエスト上位が続いた。
シングル「シングル・アゲイン」

シングル「シングル・アゲイン」

本作はテレサ・テンが歌ってもヒットしそうなほど歌謡曲テイストのミディアム・バラードで、歌詞のテーマも、かつての恋人がまた独りに戻って心がさわめくという、なんともドラマティックな内容だ。その“火サス”効果もあり、CDは32週にわたってTOP100に入る自身最長のヒットとなった。なお、総合9位の「告白」も「シングル・アゲイン」に続いて同番組の主題歌に起用された。こちらも既に幸せな女性がかつての恋人から告白されるという内容で、前作と繋がりが感じられるドラマティックなスロー・バラード。本当に彼女はクライアントも視聴者の需要もよく分かっていると感心するばかりだ。

総合2位と4位は1990年代の
トレンディドラマ主題歌

総合2位は1994年の「純愛ラプソディ」。ドラマタイアップ・ブームの90年代前半に発売されたこともあって、CDは約90万枚で自身最高のセールスとなっている。また、本作はドラマ『出逢った頃の君でいて』の主題歌でもあり、主演の酒井法子が演じるOLが妻子ある男性(陣内孝則)に恋してしまうという不倫ドラマだったが、“遅すぎためぐり逢い”を敢えて明るい曲調や歌声で表現することで、内館牧子原作のドラマのドロドロ感を緩和する役割をしていたことも大きい。
シングル「純愛ラプソディ」

シングル「純愛ラプソディ」

総合4位にランクインした1998年の「カムフラージュ」もドラマ『眠れる森』の主題歌。こちらは中山美穂と木村拓哉がカップルを演じたヒット確実のドラマという触れ込みもあって、自身初、現在のところ唯一となるオリコン1位曲で、CDは約46万枚のヒット。そして、そのミステリアスなドラマの内容に合わせたのか、歌詞をよく読みといて聴けば心に沁みるようなラブソングだ。こちらもシリアスなドラマを緩和する穏やかさや、最後は悲しい結末にならないであろうと安心感があり、大ヒットドラマの陰の功労者と言えよう。

それにしても、総合TOP20には前述の1位、2位、4位のほか、6位「人生の扉」、7位「家(うち)に帰ろう」、9位「告白」、11位「もう一度」、13位「いのちの歌」、14位「真夜中のナイチンゲール」、15位「幸せのものさし」、16位「天使のため息」、19位「恋の嵐」、20位「ロンリー・ウーマン」と総合TOP20内に合計13作ものドラマタイアップ曲がランクインしている。1989年から2000年頃までは“ドラマタイアップ=CDヒット確実”と言われ、そのヒット・スキームはドラマティックな歌詞や視聴者に寄り添える穏やかな歌声の竹内にはいっそう当てはまったのだろう。もうドラマ関連曲だけでアナザー・ベストが出せそうなほどだ(微笑)。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着