【動画あり】『ラブ・ネバー・ダイ』
製作発表会見~「同じファントム役を
演じるのは運命かも」市村正親と石丸
幹二のWキャストに注目

2019年1月15日(火)から東京・日生劇場にてミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』が5年ぶりに再演される。この製作発表会見が11月19日(月)都内にて催され、ファントム役の市村正親と石丸幹二、クリスティーヌ役の濱田めぐみと平原綾香、ラウル役の田代万里生と小野田龍之介、メグ・ジリー役の夢咲ねねと咲妃みゆ、マダム・ジリー役の鳳蘭と香寿たつき、グスタフ役の大前優樹・加藤憲史郎・熊谷俊輝が出席した。
本作は世界的に有名な『オペラ座の怪人』の10年後を描いた作品。音楽は前作同様、アンドリュー・ロイド=ウェバーである。パリ・オペラ座の失踪から10年。ジリー親子の助けを得てニューヨークに移ったファントムは、コニーアイランド一帯の経営者となり財をなしていた。一方クリスティーヌはラウルと結ばれ、愛息グスタフの母であると共に高名なプリマドンナとして活躍していた。ある日、ラウルが作った多額の借金が一家に影を落とす。返済のためにクリスティーヌとラウルはニューヨークで催されるコンサートへの出演の仕事を引き受け、グスタフと共に渡米する。そこでファントムと再会し、隠された衝撃の真実と向き合うことに……。
300人の一般オーディエンスが見守る中始まった製作発表会見。その冒頭では「君の歌をもう一度」(市村、石丸)「なつかしい友よ」(濱田、平原、田代、小野田、夢咲、咲妃、鳳、香寿)、「心で見つめて」(大前、加藤、熊谷)、「愛は死なず」(濱田、平原)の4曲が披露され、観客を一気に作品世界へと誘った(次の動画を参照のこと)。
【動画】ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』製作発表より歌唱披露

歌唱披露の後、始まった会見では、主催を代表して堀義貴・株式会社ホリプロ代表取締役社長が挨拶。本作の初演時のエピソードとして「本作の産みの親、アンドリュー・ロイド・ウェバーさんが日本初演のリハーサルを観て、曲を変えたい、と一晩かけて書き直していた。それくらいこの作品をもっとよくしよう、とされていた」と語ると、初演時から続投するキャストたちは思い出しながらうなずき、今回から出演するキャストたちは目を丸くしながら話に聞き入っていた。
堀義貴・株式会社ホリプロ代表取締役社長
ファントム役を演じる市村は「『オペラ座の怪人』でファントム役を初めて演じたのは39歳の時。早く40歳になりたいと思って演じており、ようやく40歳になったら昭和から平成になりました。『ラブ・ネバー・ダイ』でもファントムを演じる事になるとは夢にも思っていなかった。来年の本作の上演で僕は古希(70歳)を迎えます。長く生きていてよかったなとしみじみ思うと同時に、世間では『オペラ座の怪人』から『ラブ・ネバー・ダイ』のファントムをやったのは僕だけだという事で、ギネスに申請しようかな」と、真面目に語りながら最後は冗談で締める「市村節」で笑いを誘っていた。
市村正親
市村とWキャストでファントム役を演じる石丸は「劇団四季にいる時、市村さんの背中を見ながら稽古をしてきました。『オペラ座の怪人』のラウル役で初舞台を踏ませていただきましたが、(10年後を描いた『ラブ・ネバー・ダイ』で)ラウルがこんな事になっているとは、と衝撃を受けました」と笑う。そして市村と同じ役を今回演じる事について「自分でいいのか、という気持ちがあったが、そんな事を言っている場合ではない、自分を信じ、また市村さんの演技を見ながら、歌を聴きながら勉強させていただき、初日に向けて頑張っていきたい」と市村をリスペクトしつつ意気込む。すると話を聞いていた市村は石丸を見ながら手でゴマをするジェスチャーを。その様子に石丸はもとより他のキャストも大笑い。
石丸幹二
クリスティーヌ役の濱田は初演からの続投。「5年前よりも私の中ではクリスティーヌが母親であるという印象がより強くなったので、母性が出せたら。歌についても少しでもレベルアップした自分を見せることができたら」さらに「クリスティーヌの愛の形……ラウルへの愛、グスタフへの愛、ファントムへの愛……その愛の形が明確に違う事が見えてきて、初演ではたどり着けなかったクリスティーヌの複雑な想いを掴む手掛かりが見えてきた」と再演に向けて力を込めていた。
濱田めぐみ
同じくクリスティーヌ役をWキャストで演じる平原は、本作の初演時がミュージカルデビューだった事を振り返りつつ「当時の製作発表で『分からない事が何なのかも分かりません』と言った事が昨日の事のように思い出します」と語り、「その時皆さんにとても優しくしていただきました。あの頃いじめられていたら今ここにはいないと思います」と茶目っ気たっぷりに話していた。「再演なので少し落ち着いてこの作品を見ると、(楽曲の)メロディが素晴らしく、ストーリーは凄くドロドロしていて、(平原や濱田、小野田らが出演していた)『メリー・ポピンズ』とはふり幅がすごく違う作品」と口にするとたまらずその時の共演者たちが噴き出していた。
平原綾香
また「本当はファントムを演じたかった。いちばん共感できるので。クリスティーヌがもっとしっかりしていれば……」と本音を口にすると市村が「僕がクリスティーヌをやる?」と茶々を入れて笑わせていた。

「僕がクリスティーヌをやる?」と平原さんに突っ込む市村さん

ラウル役の田代も初演に引き続きの出演となる。「初演の時はロイド・ウェバーさんが成田空港から日比谷までヘリコプターでやってきたのが印象的でした。先ほど森さんが話していたように一晩で楽曲を書き直す様に触れ、ロイド・ウェバーは現在進行形で生きた楽曲を生み出している作曲家である事に感動しました」と笑顔を見せた。
田代万里生
小野田は田代と共にラウル役を務める。「この度、初参戦となります」と気合いを入れ、ロイド・ウェバーの世界に身を置けることを光栄に思うと話し出す。「以前、ロイド・ウェバーが手掛けた『ビューティフル・ゲーム』に出演したのですが、本作で歌われる『愛は死なず』は元々『ビューティフル・ゲーム』で歌われるはずの楽曲だったんです。でも『ラブ・ネバー・ダイ』が上演されることになり、『愛は死なず』は『ビューティフル・ゲーム』からカットされ、『ラブ・ネバー・ダイ』のテーマ曲になったんです」そんな衝撃の展開を聴いて、小野田は本作に興味を持ったと述べていた。
小野田龍之介
「ロイド・ウェバーさんの楽曲と毎日戦っています」と語るのはメグ・ジリー役の夢咲。「難しくて頭を悩ませる日々なのですが、難しい旋律だからこそ出来上がったら皆さんが感動するすばらしいものになるはず」と自身を鼓舞していた。「たくましくもカッコイイ先輩たちの背中を追いかけたい。そして『オペラ座の怪人』では描かれなかったメグの心情を深く掘り下げられたら」と決意を表していた。
夢咲ねね
夢咲と同じくメグ・ジリー役を演じる咲妃は「尊敬してやまない夢咲ねねさんと同じ役を演じる日が来ると思うともう本当に……」と喜びを溢れさせると夢咲が自席から「こちらこそよろしくお願いします」とお互いに深々とお辞儀をするという一幕も。
咲妃みゆ
マダム・ジリー役の鳳は初演からの続投。「決して上から目線ではないのですが、(初演から引き続き出演する)この子たちの5年間の成長を楽しみにしています」と見守るように語った。
鳳蘭
そして鳳と同じくマダム・ジリー役を演じる香寿は後輩たちのやり取りを踏まえ「私も大尊敬する鳳さんと同じ役を演じさせていただける事で5年前はドキドキしていたのですが、同じ舞台に立つ事はなくてもいつも支えてくださった。5年間に経験したことで女優として少しでも進歩した所を見せたい」と静かに気合いを入れていた。
香寿たつき
鳳、香寿、夢咲、咲妃は宝塚歌劇団出身ということで、先輩後輩という関係性をどう芝居の中の母と子という役どころに活かしていくか、という質問を受けると、鳳は「実際は祖母と母と娘なんですけどね」と笑いを取りつつ「後輩が自分で考え自分で演じようとすることに何もアドバイスはしません。それが成長に繋がると思っています」と言うと後輩たちの背筋がすっと伸びていた。
クリスティーヌの息子・グスタフ役を演じるのは3人の子役たち。大前は「アンドリュー・ロイド・ウェバーさんの曲が好きなのでこの役に選んでもらって嬉しいです。一番楽しみにしている事は『メリー・ポピンズ』で一緒に出ていためぐみさんと綾香さんと小野田さんが一緒な事」、加藤は「歌もお芝居も難しいですが、精一杯頑張ります。振付や演出が楽しみです。前回のグスタフ役が私の兄(加藤清史郎)だったので、その時からやってみたいと思っていました」、熊谷は「舞台で演技をするのが初めてです。ここにいる素晴らしい出演者の方々と一緒にいっぱい稽古をして表現力をつけ、僕なりのグスタフを演じたいです」と挨拶。その挨拶の途中で市村がくるっと後ろを向き、熊谷にわざと圧をかけるようにじーっと見つめていたので、我慢できず熊谷が笑い出していた。
(左から)大前優樹、加藤憲史郎、熊谷俊輝
熊谷くんに圧をかける市村さん、石丸さんが止めにかかっています
熊谷くんが大笑い!してやったりの市村さん

質疑応答の中で市村は「うちの子も10歳なので、このオーディションを受けたんですけど落ちまして……」と言い出しキャストが「初耳」と言わんばかりに驚く。すかさず市村は「嘘ですよ!お客さんに受けたらいいなと思って」と笑わせていた。
ちなみに製作発表の後に行われた囲み会見では前述の冗談を受け「我が子をミュージカルスターにしたいか?」と聴かれた市村。「スターはさておき、蛙の子は蛙だからいずれそういう日が来るのでは。そういう姿を見れたらいいなと思っているので、健康に注意して頑張りたい」と父親の顔を見せる。
一方、石丸はこの日の歌唱披露を振り返り、「市村さんが歌った後で僕が出るので、市村さんが歌う姿を『あ、ファントムだ』と思って観ていました。本番の舞台では声を合わせる事がないので、夢の共演でした」と嬉しそう。
そんな石丸に市村は「僕が劇団四季を辞める頃に彼が入れ替わりに入ってきた。僕がファントムをやっていて彼はラウルをやる事になったのですが、一度も共演はしていなかったんです。今、こうして同じファントムを演じる事になったのはどこか運命的なものがあったのでは」と返すと、「市村さんは憧れの大スターですから、同じ役をやるなんてまだ早いと思っていて」と石丸。すかさず市村は「いやもう十分だよ」と突っ込むが「いつまでも背中を追いかけていきたいです」と最後まで市村リスペクトの姿勢を崩さない石丸だった。
最後に市村は「一幕の最後に「道行き」があるんですが、『オペラ座の怪人』ではファントムとクリスティーヌの道行きが、『ラブ・ネバー・ダイ』ではファントムとグスタフの道行きとなる。その時の楽曲が5年前の初演時と変わります。変わった曲を聴いて『オペラ座の怪人』をご存知の方は『ああ!』と思うんじゃないかな」と期待を持たせていた。
取材・文・撮影=こむらさき

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