家入レオ 真摯に語られた言葉から見
えてきた彼女の現在地 “ライブ”を
テーマにインタビュー

今年5月~7月に行われた自身6度目となる家入レオの全国ツアー『LEO IEIRI 6th Live Tour 2018 ~TIME~』。そのファイナルである2018年7月1日@東京国際フォーラム・ホールAの模様を収録したLive Blu-ray / DVD『TIME ~6th Live Tour~』が12月12日にリリースされる。歌を主軸に、1曲1曲すべてが見どころのライブ。ぜひ本作をゲットして、七変化する家入の歌に心震わせてほしい。

また、2019年2月24日にはデビュー7周年を記念して、大阪城ホールで一夜限りのスペシャルライブ『7th Anniversary Live at大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~』も決定した。もちろん、こちらも見逃せない。
そこで今回は『TIME』ツアーの振り返りも含め、“ライブ”をテーマにインタビュー。嘘のない言葉で真摯に語ってくれた家入の言葉からは、ライブを通して“アーティスト・家入レオ”の凛としてしなやかな姿勢と、彼女の現在地が見えてきた。
――今も鮮烈な印象を残す『LEO IEIRI 6th Live Tour 2018~TIME~』。時間を経た今、改めて振り返ってみると、家入さんにとって『TIME』ツアーはどんなものになりましたか?
すごく意味のあるものになったなと思います。バンドのメンバーも素晴らしい方々にご参加いただいて、刺激を受けましたし。今まではアルバムを作る時って、1人プロデューサーを立ててガッツリ作って、それを自分が持ってツアーを廻るという形だったんですけど、今回はアルバム『TIME』を一緒に作ったベースの須藤優さんがバンマスだったので、ツアーを廻りながら“こういう景色をお互い想像しながら作ってましたよね”とか“次はお客さんにどんな気持ちになってもらいたいと思う?”っていう話もできて、音楽がどんどん豊かになってる印象があったんです。だから、それを未来にも繋げていきたいと思えるツアーになりましたね。
――得るものが多かったんですね。何か発見もありましたか? ファイナルの東京国際フォーラムでは、「今回のツアーではMCをしないでおこうかと思ったけど、やっぱりそれは自分のやり方じゃないと思った」というようなことも話されていましたが。
そうですね。もう、そのままの自分でいようと。MCも、喋りたければ喋るし、喋りたくなければ喋らなくていいし。何か“こうしなきゃいけない”って自分で自分に強要するんじゃなくて……かと言って、無理に素の自分を見せようとするのも違うと思うんです。よく“自分に嘘をつきたくない”っていう言い方があるじゃないですか? 私も前はそういう時期があって。自分はパブリックイメージ通りの自分じゃない、それも本当の自分だけど、その裏側の自分もいるんだよって、葛藤してる時期があったんですね。作品で言うなら特にアルバム『WE』の頃。どこかクールだったり叫んだりする部分も私にはあるけど、人間として普通に明るい部分もあるんだよ……というところで、今までとは真逆に行きたいっていう反動から生まれたのがアルバム『WE』だったんです。で、それはその時期にしかできなかったことだから、とてもいい作品になったと思うんですけど。でも今思うのは、自分の中身を全部知ってもらってる人なんていないし、全部わかってほしいと思うのはおこがましいというか、むしろ“家入さんってちょっとクールなイメージがありますよね”とか、人に何かの印象を持ってもらうことはありがたいことなんじゃないかなって。そう思えたのは、このツアーが大きかったかなぁ。だから今は、聴いてくださる人が私のことを好きなように解釈して楽しんでくれるのが嬉しいなと思っています。
家入レオ
――そう思えるようになったのは、ファンの人達との信頼関係もあるかもしれないですね? 信頼関係があるからこそ、好きなように解釈していいですよ、と思えるというか。
私はファンの方達がいてくださるからこそ今歌えているんですけど、でもそう思えたのは自己肯定できてきた、っていうことが一番大きいかもしれないです。
――正直ですね。今の話の流れで、ファンの人達にとって耳ざわりのいい言葉はいくらでも言えたと思うんです。でも上っ面な言葉でやり過ごさないところが家入さんらしいし、誠実だなぁと。
もちろんファンの人達を遠ざけてるつもりは全くなくて。私はファンの方達が心から大事だし、本当に必要だと思っているし、リスペクトもしているんです。で、リスペクトしているからこそ、ちゃんと対等な目線でいたいし、馴れ合いたくないなと思ってるんですよね。だから、思うように生きたいなぁって思います。
――媚びてないですね。それに家入さんがファンの人達を大切に思っていることがきちんと伝わります。
だとしたら嬉しいですけど、それがちゃんと文字で伝わるといいなぁって。冷たく聞こえちゃうのもちょっと違うなと思うので。
――今こんなふうに、あたたかい雰囲気でファンの人達へ真摯な愛情をにじませながら一生懸命話してくださっていても、文字にするとニュアンスが伝わらない時ってありますからね。私も書く時、気をつけなくちゃ(笑)。
とんでもないです! 小手先の言葉で答えたくないなっていうのがあって。なんか、うまく伝えられてない気がするんですけど……もっとボキャブラリーを増やしておきます!(笑)
家入レオ
――いえいえ、こちらこそ頑張ります!(笑) ところで、今回の『TIME』ツアーでは白とシルバーの衣裳も印象的でした。あの衣裳に込めた意味は?
アルバム『TIME』はいろんなクリエイターの方達が参加してくださって、一緒に作った曲、自分で作った曲、提供していただいた曲、いろんなテイストが入った1枚になったと思うんですけど、その『TIME』では自分の中のテーマとして“提供された楽曲を狂いなく表現するパイプ役になりたい”というのがあったんです。自我を消すというか、曲に染まりたいなっていう。それで、白とシルバーの衣装にして“1曲1曲に染まって全身全霊で歌っていきます”という想いを込めました。
――まさにそれを体現したライブになりましたね。でも、あれだけ歌を中心に据えて、歌で魅せるライブというのは、いつにも増して高い表現力が要求されたと思うんです。何かライブ前に集中力を高めたり、あるいは緊張を解くためのルーティーンはありましたか?
『TIME』ツアーの時は会場入りしてから縄跳びをしてました(笑)。それか、ランニング。心拍数を上げると逆に落ち着くので。私は10代の時、自分で言うのもなんですけど、かなりストイックにいろいろやったんですよ。ライブは“100じゃ足りない、300やらないとダメでしょ!”と思って。その時はその良さが出てたと思うんですけど、今“本当にカッコイイ人ってどんな人なのかな?”って考えると、完璧な人よりもちょっと隙があるとか、何かそういうのが色気に繋がったりもするのかな?って。もちろんそれがただの失敗じゃ困るんですけど(笑)。実際、8割のものが伝わればいいって思いながらやってると、意外と自分の実力が10割出たりするんですよね。反対に“今日は魅せなきゃ!!”って思うと、ヘンに緊張しちゃったりする。だから今はライブ前もストイックに自分を追い詰めるんじゃなくて、ストレッチして軽くランニングして、心地いいところで出たほうがいのかなって思ってます。
――すごく印象に残っているのが……あれは1stツアーのライブ映像だったかな? 本番前のバックステージで家入さんが、観てるこっちまでドキドキしちゃうほど緊張していて……。
あははは! そうなんですよ(笑)。それだとお客さんも緊張しちゃうから、もうちょっとリラックスできるといいなぁと思って。一歩ずつたどってきて、もうすぐ8年目に入りますけど、そこで培ってきた答えが、今ちゃんといいところに落ち着いてきたかなって思うんです。もしこれで最初からわりとゆるくやってたら、それはそれでまた良くなかったと思うんですよね。だから、自分の中でほんとに一周どころか何十周もして、今自分にとって適切なところに来てるのかなって思います。
――1つ1つそうやって自分で答えを見つけてきたんですね。でもこの先、またいろいろ変わっていく可能性もありそうですよね?
たぶん変動すると思います。変動しつつ、その時その時、全部正解だとは思うんです。いい音楽を作りたい、いいライブをやりたいと思って試行錯誤することは、その行為が大事であって、中身はどんどん変わっていくべきだと私は思っています。
――今、家入さんの中でライブが占める比重というのは?
100ですね。全部100です。制作も100だし、ライブも100。で今、YouTubeとかいろんなSNSが発達しているからこそ、生で会うことはこれからさらに大事になっていくと思うんです。だから、ライブは本当に大切な場所だと思っています。
――家入さんにとってライブの一番の楽しさって、何だと感じていますか?
やっぱり“生きてる!!”って思えることかな。どこで何が待ってるかわからない、その面白さがいいなぁと思いますね。
――ライブで生まれる一瞬のドラマとか一体感、感動は、独特ですからね。
ほんとにそう思います。ライブの感動っていうのは、他では得難いものだなぁって。
家入レオ
――12月12日にリリースされるライブ映像作品にも、「TIME」ツアー・ファイナルでしか生まれ得なかった感動が真空パックされています。
そうですね。『TIME』ツアーでは大きなモニターは出さなかったんですけど、映像では“こんな表情で歌ってたんだ?”っていうのもわかりますし、ステージでは常に音楽が生まれ続けているので、同じ曲でも“この日はバンドメンバーとこういうアイコンタクトを取って、こういうアプローチをしてたんだ?”とか、そういうのもぜひ感じて楽しんでいただけたらなと思います。
――そして、2019年2月24日にはデビュー7周年を記念して大阪城ホールでのスペシャルライブ『7th Anniversary Live at 大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~』も決定しました!
7周年ってラッキーセブンじゃないですけど、何か幸運な響きがある数字じゃないですか? なので、今まで支えてきてくれた人達、初めて来てくれる人達、みんなに“これからもよろしくね!”っていう意味を込めて。で、この日は二部構成で、オーケストラも入るんですよね。だから今から“何の曲をやろう!?”ってあれこれ考えながら、みんなにとってギフトになるようなライブにしたいなと思っています。
――楽しみにしています! では最後に、今年はまだあと1ヶ月以上ありますけど、『TIME』ツアーの映像作品リリースも12月半ばだし……ということで、2018年を漢字一文字で表すなら?
今年の総括、もう始まっちゃいました!? はやいっ!(笑) 私の誕生日は12月で、誕生日の月ってラッキー月らしいんですよ。なので、今でも十分幸せなんですけど、残りの月でさらに面白いことが起こるんじゃないかなと思ってて、まだちょっと締めくくれないかな~というのはありつつ(笑)。でも今、敢えて一文字出すなら“続”ですかね。“続く”“続ける”。いいアイデアが生まれても単発じゃ弱いし、やっぱりいいと思ったことは、それをちゃんと信じて貫いていくことが大事かなって。そして、2019年も1つ1つ“続け”ながら、さらに自分の直感を信じて行きたいです。

文=赤木まみ 撮影=田中聖太郎

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