浦井健治に長澤まさみが「鬼嫁」モー
ド発動! 新感線☆RS『メタルマクベ
ス』disc3いよいよ開幕

2018年11月9日(金)より本年の大晦日まで上演するONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBSが、まもなく産声を上げる。今年の春から同劇場にて、disc1、disc2とキャストを替えて上演されてきた『メタルマクベス』。ファイナルシーズンとなるdisc3では、王位を簒奪するランダムスター役を浦井健治が、ランダムスター夫人役を長澤まさみが演じる。

初日を翌日に控えた8日(木)記者会見とゲネプロ(通し稽古)が公開された。
『メタルマクベス』とは、シェイクスピアの四大悲劇の一つ『マクベス』を、劇団☆新感線の主宰であり演出家のいのうえひでのりと人気脚本家・宮藤官九郎とがタッグを組み、大胆に脚色が施されて生まれた新感線の代表作のひとつ。2218年の人類が衰退した世界と、空前のバンドブームに沸く1980年代の日本を行き来しながら、ヘヴィメタルサウンドと共に、宮藤✕いのうえ流『マクベス』が描かれる。
長澤まさみ、浦井健治
浦井健治

会見には浦井と長澤が出席。浦井は「disc1、2で作ってきたバトンが受け渡された感を感じています。我々のdisc3がいろんな意味で集大成という意識で、いのうえさんを筆頭にやってきたつもりなので、ちゃんとお客さんに届けられるように(台詞の)語尾までしっかり届けていきたいです」と冷静に言葉を紡ぐ。長澤は「本当に広い劇場なので、お客さんと一体となって、舞台が無事始まるといいなと今は願っています」と目の前に広がる劇場を見渡した。
長澤まさみ
IHIアラウンドシアターは360度回る客席を取り囲むようにドーナツ状の舞台が作られている。この独特な舞台について。浦井は「運動会みたいに走り回っています。スタンバイの位置までキャストも裏動線を走っている感じです。体力勝負です」と、大変さを口にする。
一方、長澤は「60公演というのが初めての経験なので、最後までちゃんと走りきりたいという想いと不安と戦っている感じです。お客さんが入ったらまた自分の気持ちも変わってくるのかな」と正直な気持ちを語った。
いのうえの演出について、過去経験している浦井でさえも「めちゃくちゃ厳しいです。ランダムスター夫人との場面は千本ノックみたいで。ランダムスターと夫人の物語なので、二人のシーンは凄くスパルタでやっていただきました。いのうえさんの目が怖いんですけど、でも、その目は死んでなくて、キラキラと輝いてるので、楽しんでいるんだなぁと感じました。こんなに(いのうえさんから)自分の名前を『健治! 健治!』と呼んでもらえる事もないので、食らいついてきたつもりではあります」と振り返り「橋本じゅんさんや劇団員の皆さんと一緒にこのdisc3を作ろうぜという勢いで作ってきました。ちょっと凹んでいると、長澤さんがクッキーをくれて、よし頑張ろうと思って。単純な男なので」と笑いを誘った。
長澤まさみ、浦井健治
浦井の言葉を聞いていた長澤は「チームワークいいですよね」とカンパニーの空気を語る。「公演自体も長いし、見せ場もたくさんあるので、個々で頑張らないといけない部分もある。で、1日のうちで久しぶりというくらい全然会わなかったキャストもいるくらい。全体で皆が動いて、全体でお芝居をしているので、まとまらない感じかなと思っていたんです。でも、目標が一緒なので一丸となって、みんなで作り上げていこうという気合いが現場に感じます」
歌唱シーンについて、ミュージカル『キャバレー』以来、2度目となる長澤。「頑張らなきゃなって」と口にすると、浦井は「めちゃめちゃうまいですよ!本当にカッコいいし!」と褒める。長澤は「いやいや、浦井さんの方が上手いです」と照れていた。
衣裳の作りを見せる浦井さん
浦井のランダムスターに対して長澤演じるランダムスター夫人はいわば「鬼嫁」という表現が似合いすぎるくらいどSなあしらいを何度となくする。そのせいか、稽古場では「衣裳が重くて、それを着て走り回るので汗だくになるんですが『そのぐらいの重さ、男だったら大丈夫だろう』と言われるんです(笑)」と、浦井が長澤のどSぶりを暴露すると「『それぐらい耐えろ!』と。悪女の役なので、普段から浦井さんにビシバシ言わせていただいています」と笑う。その言葉に浦井は「僕は尻に敷かれて頑張って行きたいと思います」と役どころを重ねつつ苦笑いを浮かべていた。
ゲネプロの様子もお伝えしよう。disc1の橋本さとしと濱田めぐみの夫婦が「バカな大人たちのあがき」、disc2の尾上松也と大原櫻子の夫婦が「若さゆえの暴走」とでもいうならば、disc3の浦井と長澤の夫妻は、経験値も自信もついてきた、ならばここで背伸びをして人生の大勝負に出てみた中堅どころ……とでもいうべきか。
浦井は安定感のある歌唱力と殺陣、そしてあの「シャルル王子」が垣間見えるコミカルな演技から、シリアスなシェイクスピア作品で見せる重厚な演技まで遺憾なく発揮、座長として作品の「軸」を全うしていた。そして長澤は、夫をぐいぐいと引っ張る夫人を力強く表現、また、長澤まさみはこんな強さのある歌い方も出来るのか、と驚かせるくらい、浦井お墨付きの歌唱力を披露。
新感線初参加となるメンバーのうち、レスポールJr.役の高杉真宙はその華奢な身体からは想像できない若さあふれるアクションと、disc1、2でJr.を演じた松下優也、原義孝とはまた全然違う魅力的なJr.を演じていた。
グレコ役の柳下大はインタビューで長い剣での殺陣をしたことがない、と少し不安を漏らしていたが、そうは思えないくらい躍動的な殺陣を何度も見せ、そして様々な作品で培ってきた芝居の力を遺憾なく発揮。2幕以降のさらなる活躍ぶりは高杉共々必見だ。
この顔ぶれで大晦日まで公演が続く『メタルマクベスdisc3』。目と鼻の先でオープンした豊洲市場の活気も受けつつ、熱気溢れる公演を徹底的に楽しんでもらいたい。
長澤まさみ、浦井健治
取材・文・撮影=こむらさき

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