【速レポ】モンパチフェス<WWW!! 1
8>、レキシ「沖縄の海にイルカを返
しに来ましたー!」

知らない人からすれば、何が行われるのかといぶかしむかもしれない。リハーサルの段階から会場中で振られる無数のINAHOという名の、見た目は完全にいわゆる稲穂。これはレキシのライヴには欠かせない必須アイテムで、安心できるかどうかはわからないが、れっきとした公式グッズ。決して怪しいモノではない。他にはない高揚感が醸し出されたところ、まずはバンドメンバーが姿を現し、遅れて池田貴史が「沖縄の海にイルカを返しに来ましたー!」と持ってきたイルカを客席へといきなり投げ入れていき、ライヴは始まりを告げる。
ポップに突き抜けたサウンド構築を誇り、池田貴史のしなやかな歌声も絶品な「KMTR645」が放たれる中、眼前には空中を飛び交うイルカが飛び込んでくる。どう考えてもおかしくて面白い状況が続いてくかと思えば、いきなり曲を止め、「(イルカが)そこに固まりすぎだろ! 城みちるでもいるのか!」と鋭くオーディエンスに絡んだり、合間には「紅だー!」と叫んだり、どこを切り取ってもユーモア溢れるレキシらしい光景が繰り広げられていくのだ。
ここで、「ありがとうございました、レキシでしたー!」と急にライヴを締めるそぶりを見せつつ、1曲やっただけだからまだまだ続くフリだろうと思わせるが、残り2曲というアナウンス。前回の<What a Wonderful World!! 16>に出演したときは4曲であり、そこからさらにタイトな選曲になりつつも、曲数以上の濃密さがあるのがレキシのライヴ。「どうせ、みんな早いとこ(INAHOを)振りたいんだろ?」と、PUFFYの「渚にまつわるエトセトラ」やMONGOL800の「あなたに」の一節をINAHOにかけて歌う小ネタを挟み、タイトルからは想像できないかもしれないが、狩りと稲作をモチーフにして、揺れる愛の在り方を歌うラブソング「狩りから稲作へ」を放つ。

池田貴史は沁みる愛情を歌いながら、細かくボケたり、ツッコんだりを繰り返し、会場はどこまでも熱狂し続け、振りまくられるINAHOで常に大豊作。日本中どこを探しても、INAHOというワードでコール&レスポンスができるのはレキシのステージだけだろう。
そして、「自由にやりすぎてる。横でハナレグミが“ちゃんとやれ”って言ってます」とおどけながらほんの少しだけ反省して、「思いの外、時間が余ったので、フルコーラスでお送りします」とオーディエンスを喜ばせ、「見上げると、そこには……どんよりした雲(笑)。でも、夜になって、空には一面のキラキラした星、じゃなくて、武士でございますー!」との言葉から「きらきら武士」へ。馬を取り出しながら歌い、ステージを駆け回り、至高のポップソングを響かせる。

ライヴ中に「時間がない」と焦る場面も多い池田貴史だが、それは溢れ出るアイデアを共有して楽しみたいという気持ちがあるからであろう。自由奔放に振る舞いながら、1秒たりとも無駄にしない、極上のエンターテイメントさを持ち合わせたライヴだった。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎(c)WWW18 OFFICIAL

【レキシ@ハブSTAGE セットリスト】

01. KMTR645
02. 狩りから稲作へ
03. きらきら武士


■<MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!!18>
2018年11月3日(土・祝) 沖縄県 豊見城市 豊崎 美らSUNビーチ 特設会場
2018年11月4日(日) 沖縄県 豊見城市 豊崎 美らSUNビーチ 特設会場

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