事務員G “音楽” “トーク” “料
理”でもてなした『Osteria G ~秋の
実りを感じるディナーコースとともに
~』をレポート

Osteria G ~秋の実りを感じるディナーコースとともに~

2018.10.7(sun) eplus LIVING ROOM CAFE&DINING
芸術の秋、食欲の秋。収穫の季節でもあるこの秋に、ピアノ演奏者・事務員Gが『Osteria G ~秋の実りを感じるディナーコースとともに~』を開催した。事務員Gとかねてより親交のあるギタリスト・[TEST]もサポートメンバーとして参加し、なんとも粋で小洒落たディナーショー形式の演奏会となった。
事務員Gといえば、いわゆるニコ動・ニコ生界隈を中心にした演奏活動、さらには音楽イベントのオーガナイザーとしても活躍している人物だが、一方で彼には料理愛好家としての側面もあるという。実際のところ、2年前には料理本『事務員さん家のもてなし晩ごはん』を刊行しているそうで、なんと今回の演奏会における物販にいたっては事務員Gの完全プロデュースによるレトルト商品“事務員Gの麻婆豆腐のもと”がエントリーされていたほか、会場内にて供された特別コース料理も事務員Gが完全監修を施したものであったというではないか。
事務員G
[TEST]
よって、このディナーショーにおける彼のパート名表記は“事務員G(Pf & Chef)”となっており、イベントタイトルでも『秋の実りを感じるディナーコース』と銘打たれているだけあって、そのメニュー内容はサンマのコンフィを取り入れたサラダ仕立てのカッペリーニや、秋から冬にかけて特に美味しく感じるようになってくる煮込み料理の代表格・ビーフシチューなど、かなりのこだわりを感じる味覚が詰め込まれていたと言っていい。(試食をさせていただいたところ、どれも大変に美味!)
Osteria G ~秋の実りを感じるディナーコースとともに~
もちろん、そんな彼のこだわり気質は演奏会の中味そのものからもふんだんに感じられるもので、秋の夜長の始まりを告げる今宵の1曲目としてまず我々に対しサーブされたのは、なんともいえない郷愁を漂わせた昭和の童謡曲「小さい秋みつけた」のピアノインストゥルメンタル。なんでも、この楽曲は事務員Gがかつてニコ生での放送第1回目の最初に弾いた曲でもあったそうで、ある意味では彼の表現者としての原点に還るところから、この演奏会が始まることになったようだ。
「皆さま、こんばんは。本日はこのようにお食事をお召し上がりになっていただきながら、ゆっくりと演奏を楽しんでいただくというディナーショースタイルとなっております。そして、今日に限ってはどの曲を演奏するかは敢えて決めておりません。なんかもう、そういうの疲れちゃって(笑)。というわけで、次は何をやりましょうね? そうだ、秋だしあれをやってみますか!」
事務員G
そう観客たちに語りかけながら、譜面が納められた厚いファイルをパラパラとめくったばかりでなく、途中でスタッフに楽屋から自前のiPadを持って来てもらうようオーダーした事務員Gは、そのiPadをスワイプしながらとあるページでその手を画面から譜面台へと移動。ここから奏でられ始められたのはシャンソンのスタンダードチューンであり、これまた秋にこそ映えるしっとりとした「枯葉」で、場内の空気はより一層ここで秋の色合いを深めていくことに。
なお、この日のライブでは3曲目の「糸」からゲスト・ボーカリストとしてゐづがステージに華を添えてくれることとなり、「rain stops,good-bye」や「あの夏へ」などが次々と繊細にして穏やかな雰囲気をまといながら聴衆のもとへ届けられることとあいなった。
ゐづ
また、このあとに挟まれた20分程の小休憩では事務員Gが自ら来客者の各テープルを廻って挨拶をしたり、本日の料理コースについての詳しい説明が行われるという一幕も。それによると、“ブルターニュ産肩肉のバプール彩り野菜添えオリジナル甜麺醤ソース”は事務員Gが普段からよく作っているものであり、“ビーフシチュー デミグラスソース”については事務員Gが幼少時から慣れ親しんだ家庭の味とのことで、デザートとして出された“マスカルポーネのパンナコッタ”の甘味をかなり抑えたうえで好みによりベリーソースをかけられるように別添えとしたのも、お酒好きな事務員Gの母上が「もし、ここに来ても良いように」と考慮をしたうえでのことである、というエピソードが語られたことをここに付記しておきたい。
事務員G
さらに、第2部では「Traveler」やイントロ部分で芸達者な事務員Gが星野源のラジオモノマネをしてみせた「恋」などのほか、観客からのリクエストコーナーでは、ピアノではなくハモンドオルガンを駆使しての「Fly me to the Moon」を聴かせてくれたりする場面もありつつ計3曲を披露。そのうえ……
「さて。では、酔っぱらう前にここで難しい曲を弾いておきましょう(笑)。グランドピアノで音を大きく出す曲なので、生放送では弾かないと決めた曲です」
ここでダイナミックかつ、ドラマティックなピアノプレイをもって奏でられたのはジブリ映画『もののけ姫』からの「アシタカせっ記」にほかならない。ピアノ奏者としての彼の本気を最も垣間見られたのがこの一曲であったことは、間違いない気がする。
Osteria G ~秋の実りを感じるディナーコースとともに~
このあとも、「月」で桑田佳祐の絶妙な歌マネ弾き語りをしてみせたり、なぜか突然マツコデラックスのモノマネや長尺のトークで笑いをとったりと、終始サービス精神旺盛なところをみせつけてくれた事務員G。アンコールで米津玄師の「Lemon」がプレイされた頃には、実に開演から3時間の時があっという間に過ぎていたから驚く。
「本日はOsteria Gにお越しいただきまして、皆さま誠にありがとうございました!」
秋の夜長。素敵な音楽と軽妙なトーク、そして美味しい料理たちを堪能出来た『Osteria G』はまごうことなき三つ星級の名店であると言えよう。こちらこそ、ごちそうさまでございました。

文=杉江由紀 撮影=菊池貴裕

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