「お高くとまってそう」田中道子“9
頭身美女”の苦悩

「『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の“ダル(橋田至)”の声マネ、得意なんです。ちょっと聞いてください」。

そう言って女優・田中道子の口からくぐもった男性の声が飛び出した。9頭身にして整った顔立ち、“お高い美人”と世間がイメージする彼女とは違う姿がそこにあった。
NHK大河ドラマ「西郷どん」に出演するなど、女優としてのキャリアを重ねる田中。10月13日(土)より放送開始した「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」(日本テレビ系)では、気の強い科捜研の女性・霞沙織(かすみ さおり)役を演じている。「自分の人生のバッグには『仕事』でいっぱい」と語る田中に、演技や私生活について聞いた。
――今回「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」で演じる、科捜研の霞沙織はどんなキャラクターですか?
「キリッとして強気でクールなキャラクターなのに、最後にちょっと失敗してしまう人。熱心なのに抜けているところは自分に似ていると思います。私も“当然”という顔で電車に乗り込んだら、降りる駅に止まらない快速だったりすることが多いので(笑)」
――福田秀さんの漫画原作「ドロ刑」にはないオリジナルキャラクターを演じる難しさはありますか?
「以前出演させていただいたドラマ『貴族探偵』のときもオリジナルキャラでした。キャラが立つ原作の登場人物に負けないよう、実写化の場合は少しメリハリをつけた演技を心がけるようにしています。霞沙織もかなりドスを効かせたセリフがあるのですが、参考にしたのは映画『鬼龍院花子の生涯』の夏目雅子さん。劇中での夏目さんの凄みのあるセリフ『なめたらいかんぜよ!』を意識しました。私、よく家でひとりでいろんな声マネをしているんです」
――例えばどんな?
「アニメ『STEINS;GATE』の“ダル”とか、『リロ・アンド・スティッチ』のスティッチ、NHK Eテレのこども番組のキャラクターのニャンちゅうとか…」
――ヒロインとかじゃないんですね…。
「そうだ、『ONE PIECE』のボア・ハンコックもよく声マネしています」
――話を戻します(笑)。「ドロ刑」で主演する中島健人(Sexy Zone)さんの印象はいかがですか?
「私は直接絡むシーンがそれほど多くありませんが、顔合わせのとき、その男らしさに驚きました。座長としてグイグイ現場を引っ張っていくタイプ。『このドラマを今期だけじゃなく、日本一にしたい!』と熱く語る中島さんに、監督やプロデューサーも背中を押されたと思います。演者側としても身が引き締まる思いです」
――「ドロ刑」の公式Instagramで、大胆に脚を見せる投稿が話題になりました。劇中でも期待してよろしいでしょうか?
「毎話毎話、脚を組み替えるシーンがあります。何度もNGを出してしまいました。ミニスカートなので、組み替えると中が見えてしまうんです。カメラアングルや体の向きを変えたりして、大変でした。以前は自分の脚についてなんとも感じていなかったんですが、バラエティー番組でも露出を求められることが多く『ひとつの個性と捉えてもいいのか』と、最近気付かされました」
――今回で連続ドラマは5作目。ドラマの現場には慣れましたか?
「『ドクターX(~外科医・大門未知子~)』のときは皆さん大御所すぎて、演技のことについて何も聞けなかったんです。せっかく西田敏行さんや泉ピン子さんがいらっしゃったのに…と、すごく後悔しました。その反省を活かして『絶対零度』のときは、積極的に共演者の皆さんと話すよう心がけました。この辺りでようやくドラマの世界にわずかながら仲間入りできた気がしました」
――今回のドラマで、気になる共演者はいらっしゃいますか?
「稲森いずみさんです。演じるのは普段は天真爛漫ですけど、たまに毒を吐くキャラ。監督の要求に応えて、発声もすぐに変えていらっしゃったりしてすごいと思いました。私もああなりたい。現場でご一緒する機会があれば、演技についていろいろ聞いてみたいです」
――田中さんにとって仕事とはどのようなものでしょうか。
「私にとって人生とは、キャリーバッグに必要なものを詰めた旅行のようなものです。バッグの大きさは人それぞれ。私のものはそれほど大きくはありません。『仕事』を入れるとかなりいっぱいで、あとはちょっとした『趣味』のスペースがあるくらい。恋愛のスペースはないです(笑)。きっと無理に詰め込んでも楽しめないでしょうし。今はバッグのキャパシティーをちゃんと把握して、仕事に専念して行きたい。所属事務所に恩返しをしたいという気持ちもあります」
――田中さんは外見の美しさから、セクシーで気の強い女性を演じる機会が多かったと思います。こうした役を求められることについていかがですか?
「私には男をたぶらかす役しかこないのでは……と不安に駆られた時期もありました。でも、今はポジティブに捉えています。“お高くとまってそう”といううわさは学生時代から絶えませんでした。でも、演技の世界では強みにもなる。むしろ“強い女優さん”と聞かれて、私の名前がすぐに頭に浮かぶくらいまでになれたら嬉しいですね。子どもの頃からの夢はアクション女優です。でも、最近新しい夢ができました。アニメの声当てがやってみたいんです。アニメに関して女優の声を使うことは今も賛否あるとは思いますが、映画『君の名は。』の長澤まさみさんの声の演技はとても素敵でした。あんな仕事を私もいつかしてみたいです」
――ゲームが趣味とも聞きました。最近ではどんなものにハマっていますか?
「オンラインの『PUBG』や『荒野行動』、ゲームアプリの人狼ゲームとか」
――ゲーム実況もできそうですね(笑)。
「やってみようかな…(笑)」
――憧れの女優さんはいますか?
「同じ事務所の先輩である米倉涼子さん。あとは、満島ひかりさんを昔から尊敬しています。映画『悪人』での迫力ある演技が印象的でした」
――カフェオレを1日2リットル飲むなど、偏食ぶりがバラエティー番組でも話題になりました。現在はどのような食生活ですか。
「偏食を医師から指摘されるというバラエティー番組に出演しました。そこで、番組の裏でマネジャーを通して『あれはやめさせないとマズい』と言われて…。番組の枠を超えたガチ忠告に、さすがに反省しました。今ではちょっと節制しています。偏食が酷くなったのは、ひとり暮らしを始めてからなので。『親の顔が見てみたい』と言われるとつらいです…」
――2018年もあとわずかです。来年の抱負をお聞かせください。
「来年30歳を迎えます。これまでも新人の気持ちを忘れずに仕事に取り組んできましたが、来年もその気持ちは継続していきたい。新しいチャレンジとしては、アクションの演技をしたいです。それに漫画の実写化があったらぜひ呼んでほしい(笑)。実は『ザ・ファブル』や『キングダム』も“出たい!”と公言していた数日後に実写化の発表があって。逆に言えば目の付けどころは悪くないと思うんですけど…。今気になっているのは週刊少年ジャンプで連載している『Dr.STONE』です。アクションシーンも多いので、実写化の際はぜひ呼んでください!」

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