【エドガー・サリヴァン
インタビュー】
注目のユニットが秋ソングをリリース
秋の風情がたっぷりと感じられる新曲「RIN」。その制作秘話をはじめ、バンドの成り立ちや各メンバーのことなど、3人にたっぷりと語ってもらった。
2016年からエドガー・サリヴァンとして3人で活動されていますが、結成のきっかけは何だったんですか?
坂本
もともとは佐々木 萌のソロ名義活動のサポートメンバーに僕と祥太が参加していたんです。日々活動をともにする中、お互いが音楽をやる上での大きな理解者になり、2015年頃に“このメンバーでバンドをやりたい”という萌ちゃんの申し出で、エドガー・サリヴァンというバンドの活動が始まりました。
バンド名の由来というのは?
佐々木
ソロ時代から練習していた場所が江戸川橋にあったLDKスタジオというスタジオで、そこで重ねた時間がバンド結成のきっかけなので、江戸川橋をどうにかしてバンド名に入れ込みたいという話になって。最初は“エドガー”に決まりかけていたんですが、その時期にたまたまアメリカの音楽番組『エド・サリヴァン・ショー』の話をしていて、“組み合わせよう!”という話になりました。組み合わせたあまりの語呂の良さに“めっちゃいいじゃん!”となっていたのが私と祥太で、そんなに納得はしていなかったけど渋々合意してくれたのが遥です。今は納得しています(笑)。
メンバー3人がどんなキャラクターか気になるので、それぞれについて他のふたりに個性を語ってもらいたいのですが。まずは佐々木さんについて。
坂本
何も言わなくても自分たちのことを理解してくれている人だと思います。初めて出会った時から、言葉にしなくても自分が感動していることを心で汲み取ってくれている感覚があります。
高木
将来もし家庭を持ったら“ママ”というより“母ちゃん”な感じになると思います。
(笑)。続いては坂本さん。
佐々木
周りに対しての感覚が敏感。それも時々大変そうに見える時もあるけど。それに対して、ライヴの時や表現は“解放してやる!”という意識や原動力があるところが魅力です。あと、意外とメンバーを見ているので、私が悩んで静かに思考停止している時などはエンジンになってくれる存在ですね。
高木
名前と見た目とSNSの言動はほぼ女の子だけど、意外といろいろ男らしいです。
最後は高木さんについて。
佐々木
祥太ができることを見せるだけでも周りにとっては十分魅力的だとは思うけど、一緒に活動していく姿を見ている中で、人や音楽との出逢いを吸収して進化していく部分と変わらない芯がある部分の感覚、バランスが一番魅力的だと思う。
坂本
頼むから家の鍵は掛けて外出してほしい。後悔してからじゃ遅い。
ここからは新曲「RIN」について訊かせてもらいます。作詞を佐々木さんと高木さん、作曲を高木さんが担当されていますが、どういうテーマで作られた曲ですか?
佐々木
秋が大きなコンセプトではあるのですが、“大人になる切なさ”がテーマになっています。子供の頃って“自分だけはそうなるはずはない!”と思っていた大人像みたいなのがあるじゃないですか。その“はず”が、社会の仕組みやしがらみの中で暮らすうちにいつの間にか…というのを歌っています。
高木
秋って春夏秋冬の中で、ある意味一番とらえづらい季節だと思っていて。お月見というトピックはありつつも、夏から冬へと気候が変わるこの季節に感じる切なさや刹那さを書きました。
歌入れはどういうことを重視しましたか?
佐々木
テイクの回数をいつもより少なく心掛けました。あとは、入り込みすぎないこと。フラットな状態で誰かが曲を聴いた時の感覚を最優先したいと思っていました。完成したトラックの中で、ただメロディーを調和させるってだけでなく、いかに素敵な“粗”を表現できるか、歌えるかが、今後も含めてバンドでは絶対的に重要なポイントだと思っています。
サウンド面ではどうですか?
高木
エドガー・サリヴァンにありそうでなかったミドルテンポの8ビートで、ベースプレイは僕なりのネオ・8ビート・ベースというイメージで弾きました。
坂本
ヴィンテージのジャガーを購入したばかりだったので、ひたすらアームプレイを楽しんでみました。
アレンジは高木さんがSoma Gendaさんと行なわれていますが、どういうイメージで編曲されたのですか?
高木
最初に僕が作ったデモトラックの時点からサビ後のフューチャーベースなどはあって、わりと構築されたトラックだったのですが、長い付き合いで公私ともに深い関係であるSoma Gendaにブラッシュアップをしてもらいました。また、ビートの部分は歌詞の温度感を意識して、エドサリの他の曲のトラックとはまた違う少しチルな雰囲気を意識しました。
今回は秋ソングということなので、秋の思い出についてもうかがいたいのですが。
佐々木
出身地の北海道では冬が来るまでが早いからなのか、金木犀の香りを嗅いだことがなくて。東京に来て、いろいろ多感に成長していく中で初めて知った香りなので、金木犀が香ってくるたびにキュンとなります。
坂本
秋になると散歩しやすくなるので、よく散歩に出かけます。その中でも、横浜から渋谷まで散歩して歩いたことが思い出ですね。多摩川沿いから見える夕日に感動しました。
高木
毎年気付いたら冬になっていて、あまり思い出せません。でも、それが秋なのかなと思います。ジジイになったら紅葉狩りでもしようと思っています。
では、最後にエドガー・サリヴァンが目指すところや目標を教えてください。
佐々木
老若男女に届く存在でありながら、切実な気持ちや面白いと思うことを切実な音で届けたいです。そのどちらも優れることは簡単なことではないけれど、どちらも諦めることなくやっていきたいと思っています。
取材:田中隆信