【GRANRODEO インタビュー】
ずっと僕らの中にある
反逆心がモチベーション
ライヴの定番曲「modern strange cowboy」をモチーフにした、初のコンセプトミニアルバム『M・S COWBOYの逆襲』。インスト2曲を含む全6曲は、タイアップに縛られない自由な雰囲気のもとで作られた、今までなかったものとなった。
既存の楽曲のフレーズを入れ込むのは
遊び心として意図的にやっている
今回のコンセプトミニアルバム『M・S COWBOYの逆襲』はどういう経緯で出すことになったのですか?
e-ZUKA
最初はスタッフからの提案でしたけど、コンセプトミニアルバムは作ったことがなかったから、僕らとしても面白いんじゃないかと思って。
2009年に発表した「modern strange cowboy」をオマージュすることをテーマにした理由というのは?
e-ZUKA
それも結果的にそうなった部分があるんですけど、まず“逆襲”というキーワードがあったんです。それは僕が飲んでいる時に、スタッフにそんな話をしていたらしいんだけど…(笑)。そういう気分で音楽活動をやってきたなって。例えばロックバンドでCDを出すとか、フェスでライヴをやるとか、子供の頃や若い時にはできなかったことを今はGRANRODEOでやっていて、それってつまりは自分ができなかったことに対する逆襲の気持ちみたいなところがあると思ったんです。それで“逆襲”という言葉をテーマにしてKISHOWにプロットみたいなものを作ってもらって、それを土台に作っていこうと決まったというわけです。
プロットというのはどういうものを?
KISHOW
最初に“逆襲”と聞いて、僕はJamiroquaiのデビューアルバム『スペース・カウボーイの逆襲』がパッと浮かんだんです。それで最初は“インナースペース・カウボーイの逆襲”というタイトルを考えたけど、あまりにパロディー色が強い。そこで「modern strange cowboy」という曲がせっかくあるのだから、そこに引っ掛けるかたちにしようと。「modern strange cowboy」をリリースしてから奇しくもちょうど10年だし、今や我々のアンセムのような代表曲にもなってるし、セルフパロディーじゃないけどモチーフにするのはいいんじゃないかと思って。
そこから実際に曲を作っていこうと。
e-ZUKA
そうですね。それで「modern strange cowboy」のフレーズをモチーフにして散りばめたり、もともと着想を得たというところで、Jamiroquaiから影響を受けたサウンドのイメージが出てきたりしました。だから、KISHOWから出た話をヒントに曲を作っていった感じですね。でも、僕的には最初から歌ものは4曲でインストが2曲という構成をイメージしていました。リード曲の「M・S COWBOYの逆襲」は「modern strange cowboy」とは真逆のテイストだから、そこに新鮮さを感じて前向きに受け取ってくれる人がいたら嬉しいし、あまりの違いに“あれ?”って疑問を呈する人もいるだろうなって。
KISHOWさんはコンセプトミニアルバムというところで、全体を通した歌詞のイメージはありましたか?
KISHOW
自分の中では、簡単に言えば“逆襲”なんですけど…例えばGRANRODEOをやる前に対する逆襲もあれば、GRANRODEOをやって以降の何かに対する逆襲とか、ずっと僕らの中にある反逆心みたいなものがモチベーションになっていると説明するのが一番適切なのかな。前情報としてなくてもいいんだけど、踏まえて聴いていただけたなら、“なるほど!”って腑に落ちるところはあるとは思います。
さらに歌詞でも《39度》とか《outsider》とかオマージュを込めていて。
KISHOW
そうですね。《39度》は「modern strange cowboy」に出てくるフレーズだし、そういう既存の楽曲のフレーズを入れ込むのは遊び心として意図的にやっています。
そういう遊びは、ファンには嬉しいですしね。
KISHOW
そうだと思います。セルフパロディーみたいなものだから、「modern strange cowboy」を知ってくれている方たちはそういう部分で聴き応えを感じてくれるだろうし。知らない人はこれをきっかけに遡って、改めて「modern strange cowboy」を聴いてくれたらいいし。とにかく聴いて面白がってもらうのが一番なので!
オープニング曲「M・S COWBOYの逆襲」ですが、このジャズファンクみたいな雰囲気は今までなかったですよね。
e-ZUKA
あそこまでのものはなかったです。やってもサビで必ずディストーションギターが出てきますからね。それをやらないことで変化を感じてもらえたらと思います。あるインタビュアーに言われたんですけど、“e-ZUKAさんはどんなに明るい曲を作っても必ずどこかに憂いがありますね”って。それはきっとそうなっちゃうんでしょうね。パーンと弾けても、そのまま終わらないというか。“ジャズファンク”とおっしゃっていただいたけど、僕の中ではもっとモダンなダンスミュージックにするつもりだったんですよ。
そう思って作ってもそうならない。
e-ZUKA
どんなに頑張ってもどこか泥臭さが抜けないんです(笑)。
「いつかのクーデター」のソロでは、「modern strange cowboy」が出てきたりしますね。
e-ZUKA
そうそう。それにサビの最後のメロディーが、そのまま「modern strange cowboy」のメロだし、「M・S COWBOYの逆襲」の最後のシンセリードのメロもそうだし。もっと言うと、そこに出てくるコード進行が1曲目の「Overture 2009」の最後に出てくるピアノのコード進行になっていって。隠れミッキーみたいな感じですよ(笑)。でも、そういうことを考えながら作る作業はすごく楽しかったですね。