《前編》中森明夫がアイドル評論家と
して今年もアツい!

能年玲奈がブレイクしたのは当たり前

『週刊ダイヤモンド』新年合併号の「特集:総予測2014→2020」のアイドルの項目を、アイドル評論家としてご高名な中森明夫さんが書いておりました。題して「アイドル業界に吹き荒れる『あまちゃん』的手法」。なかなかビックリすることばかりの文章だったので、それを解説していきたいと思います。
 まず、2013年初頭の同誌のアイドル予測にて、「能年玲奈が大ブレイクする」と“予言”したことから文章はスタート。まだ『あまちゃん』がスタートする3ヵ月前、担当編集者も首をひねるなか、能年さんのブレイクを予言し、結果、見事にそれが当たって「最近、私は大預言者とも呼ばれております」と得意満面。
 えーーっと。NHK朝の連続テレビ小説の主演が決まっている女優ですよ。毎朝視聴率20%を稼ぎだすドラマの主演がブレイクしない、と思う方が不自然じゃないですか。まあ『純と愛』の夏菜さんなんかは微妙なところですが、とはいえ、注目しない方が不自然じゃないですか。それをそんなに得意満面に書かれても、ねえ。
 で、この「アイドル予測」、中森さんの得意ネタ『あまちゃん』に話を移すわけですが、「GMTはAKB48のパロディでしょう」とかって……。いや同作品に登場する「アメ横女学園」は確かにAKBのパロディ要素が色濃いです。常設のライブ会場があって、「総選挙」ならぬ「国民投票」があって、「神8」ならぬ「アメ女八賢伝」があって、プロデューサー太巻氏も秋元康さんを想起させます。でも「GMT」に関しては、色々なアイドルの要素が盛り込まれているのは定説。全国各地で活動するローカルアイドルもそうだし、AKBと共に現在のアイドルシーンを引っ張るももいろクローバーZの要素もあるでしょう。中森さんの得意ネタ、いや、自称アイドル評論家の中森さんが唯一詳しいアイドルが『あまちゃん』とAKB48グループだからって、なんでもかんでもそこに例えて、自らの知識の浅さをわざわざ好きこのんで露呈しなくても、と思ってしまいます。

すでに存在するあまちゃん的アイドル

 で、中森さんが論旨にて持ち出すのが「あま前/あま後」という言葉。今年以降、あまちゃん的な手法を踏まえたアイドルが登場するんですって。そこで最も注目すべきコとして取り上げているのが大原櫻子さん。公開中の映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』で、劇中バンドのボーカルを演じているんですが、現実にも同名のボーカルでデビュー! っていうのがあまちゃん的みたいなんですけど、そんな例って昔からありませんでしたっけ。『タイヨウのうた』の沢尻エリカさんとか『NANA』の中島美嘉さんとか。『ウレロ☆未確認少女』のももいろクローバーZもそうですよね。そんな定番の手法に対して「あまちゃん的手法」って名付けて、自身の不見識をアピールするとは、なんて奇特な方なんでしょうか。
 中森さんは『AKB48白熱論争』という本で、Perfumeきゃりーぱみゅぱみゅは「流行らせ方として昔の広告代理店的な古い手法を感じなくもない」(一方AKBは違うそうです)とか言ってるんですけど、この「あまちゃん的手法」もそれでいうと、全然古い手法なんじゃ……。コミケで売ってるアイドルファンが作ったミニコミ誌とかの方がよっぽどマシなことを書いてそうですが、これも偉大なアイドル評論家・中森明夫さんですから、あえて、なのかもしれません。あえて、自分の無知ぶりをアピールし、「中森明夫使えねーな」って思わせて、若手へアイドル評論への道を切り開いてるのかもしれませんね。まあ、その切り開かれた道を歩くのが、単なる接触厨の濱野智史さんとかだったら、目もあてられませんけど。

(文・橋上トオル)

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