【ライブレポート】Hilcrhyme/TOC、
2つのプロジェクトで彩った初バース
デーライブ

TOC(ティーオーシー)名義でソロ活動も行なっている、HilcrhymeのTOC(トク)初のバースデーライブ<TOC生誕祭2018>が、自身の誕生日当日である10月4日に東京・LIQUIDROOMにて開催された。
今年2018年7月リリースの「One Man」、そして9月に日比谷野外音楽堂にて開催されたワンマンライブにて、HilcrhymeはTOC一人のプロジェクトとして本格的に始動。それを受け、今回のライブはメインでステージに立つのはTOC一人なのだが、HilcrhymeとしてのTOCと、ソロとして5年前から活動してきたTOCの、2つのプロジェクトを同時に提示する構成で展開された。

まずはソロであるTOC(ティーオーシー)サイドからライブはスタート。ステージに明かりが灯り、Gucciのスタジャンに身を包んでステージに登場したTOCは、「Today is my birthday!」とシャウトし、2013年の誕生日にリリースされたソロデビュー曲「BirthDay」を披露。ソールドアウトした会場は、ファンが手にするTOCの誕生日を祝う赤いサイリウムに埋め尽くされる。その光景にはTOCも驚いたようで「こんなLIQUIDROOM初めて見たよ。ありがとう」と会場にメッセージ。その言葉と呼応するように、会場からは「おめでとう」というコールが様々な場所から起き、TOCとリスナーとの深いつながりを感じさせられた。

「TOCのソロデビューから今年で5年目。毎回来てくれるみんなにお礼を言いたい。本当にありがとう。じゃあ俺のソロにとって重要な作品、アルバム『SAFARI PARK』から」とアナウンスして「SAFARI PARK」、そして「関西からも仲間が来てるぜ!」と、ラッパーのMARとSNIPE、TOCがレーベルヘッドを務めるDRESS RECORDS所属の弘Jr.をステージに招き入れ、「SIZE feat. MAR, SNIPE, 弘Jr.」を披露し、会場の熱気を高めていく。

「お客さんにサイドキック(メインのラッパーをサポートする役目のラッパー)やらせるなんて、他にいないんじゃない?」という言葉のあとには、TOCの曲を歌う自信のある男性を客席から立候補させると、その中から二人をステージに上げ、共に「Bird」を披露。自ら立候補しただけあり、二人はTOCのラップをしっかりと援護し、TOCも「どうなることかと思ったけど、スゲえ良かったよ。流石俺のファンだな!」と満足げな表情を浮かべた。

そのままハードなビートに彩られた「リスキーダイス」、じっくりと聴かせる「過呼吸」とカラーの違う2曲を披露し、ソロとしての幅の広さを見せたTOCは、「ソロを5年間やって、当初から変わらないことがある。それは女性をステージに上げること。今回は齢の数だけ女性をステージに上げたい」と宣言し、ステージに上げた37人の女性ファンに囲まれながら「HATE」を披露。異様な高揚感の中、ファンにもみくちゃにされながらラップするTOCと、「何が起こってるんだ……」というあっけにとられた表情を浮かべるバックDJ・DJ AGETETSUとのコントラストが、非常に印象的だった。
TOCソロのライブが終了すると、2年前までTOCのバックDJを務めていたDJ松永(Creepy Nuts)が、TOCの愛車の立体バースデーケーキを持ってステージに登場。同じ新潟出身であり旧知の仲である二人の話は、際どい部分にも踏み込みながらも、「TOCさんはめちゃくちゃ正義感が強い、捨て身で人を助けられる、本当に凄い人」とDJ松永がTOCを評すれば、TOCも「松永は俺が去年落ち込んでた時に、むやみに励ましたりするんじゃなくて、良いニュースを出せるようになった時に反応してくれた。それが嬉しかったし、信用できる」とお互いにへの信頼感を口にし、友情を感じさせるトークを展開。TOCがプロデュースするアイウェアブランド「One Blood」のサングラスなどが当たるプレゼント抽選会も行なわれ、“生誕祭”というコンセプトに相応しい、アットホームな雰囲気で進行していった。
DJセットが片付けられ、黒のセットアップに衣装チェンジしたTOC(トク)が再登場すると、Hilcrhymeサイドのライブパートがスタート。初っ端からHilcrhymeをスターダムに押し上げた「春夏秋冬」を披露し、会場からは大きな合唱の声が上がる。そして最近のライブではあまり披露されなかった「チャイルドプレイ」がパフォームされ、その意図についてTOCは、「この曲はライブでは久々にやったけど、今日のHilcrhymeのライブにはコンセプトがあるんだ。その意図に気づくかな?」とオーディエンスに問いかける。

そのまま「じゃあ、こう続けていけば謎が解けるかな」と「BOYHOOD」「友よ」「Kaleidoscope」を披露。「今日披露する楽曲は、2009年のデビューから、2010年、2011年って、リリースした曲を1年毎に披露してるんだ。しかも俺が気に入ってる、好きな曲に絞ったから、そのチョイスも楽しんで欲しい」と、Hilcrhymeパートの選曲コンセプトについて解説した。

「9月の野音では、初めてステージ上で涙が止まらなくなったんだ」と、ワンマンライブを振り返るTOC。「だけど今は笑っていこうぜ!」と、オーディエンスと共に「笑え」とコールアンドレスポンスしながら「WARAE ~In The Mood~」、そして「恋の炎」とラストスパートをかけ、ラストは最新曲「アタリマエ」を披露。活動を中止しなければならなかった事態があったからこそ、いまはHilcrhyme、そしてTOCがリスナーにとってオーディナリーである、つまり「当たり前の存在」であることを強くオーディエンスに宣言した。

「楽しんでくれた? どこに行っても帰ってくる場所は俺だから、またみんな遊びに来てよ。仲間と、そしてあなたに感謝を。気をつけてね。バイバイ」と軽やかにステージを降りるTOC。その背中に大きな声援が沸き起こり、この日のステージは終了した。
HilcrhymeとTOC。ベース・ミュージックの吸収やエッジなサウンド感といった最新系のヒップホップとのリンクや、タイトで力強いハードなラップスタイルなど、ストリートとの接続性を感じさせるTOCソロ。ラップとメロディアスなヴォーカル性を混和させたスタイルと、J-POPとの親和性の高いトラックで、ポップスとしての機能性を高めるHilcrhyme。共にTOC一人でのプロジェクトではあるが、その違いは、ざっくりと言えば、そう切り分けることが出来るだろう。

それぞれのスタイルの違いをこの一夜の中で見せることで、その感触の違いをリスナーにしっかりと提示した<TOC生誕祭2018>。その意味でもTOCが、Hilcrhyme/TOCの2つをどのようにこれから動かしていくのか、そしてどのようなカラフルな世界観を提示していくのか、今後の展開を期待させられる、非常に充実の好イベントだった。

TOCは、この生誕祭を毎年10月4日に開催していくことを高らかに宣言。さらに、2019年1月9日にLIVE DVD/Blu-ray『Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」』が発売されること、映像作品の発売を記念したHilcrhyme出演のトーク+先行上映会を12月26日より全国5都市で開催することが発表された。

文◎高木“JET”晋一郎
編集◎BARKS編集部
撮影◎Real☆SHOT MASATO

セットリスト

■TOC
1.BirthDay
2.武器と勇気
3.SAFARI PARK
4.SIZE feat.MART,SNIPE,弘Jr.
5.Bird
6.リスキーダイス
7.過呼吸
8.HATE

■Hilcrhyme
1.春夏秋冬(27歳/2009年発売)
2.チャイルドプレイ(27歳/2009年発売)
3.BOYHOOD(28歳/2010年発売)
4.友よ(29歳/2011年発売)
5.Kaleidoscope(30歳/2012年発売)
6.NEW DAY, NEW WORLD (31歳/2013年発売)
7.Lost love song(32歳/2014年発売)
8.言えない言えない(33歳/2015年発売)
9.WARAE 〜In The Mood〜(34歳/2016年発売)
10.恋の炎(35歳/2017年発売)
11.アタリマエ(36歳/2018年発売)


LIVE DVD/Blu-ray『Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」』

2019年1月9日(水)発売
■Blu-ray(1枚組み)
POXE-12100
¥6,800(税抜)¥7,344(税込)

■DVD(2枚組み)
POBE-12100/1
¥5,800(税抜)¥6,264(税込)

2018年9月2日(日)に東京・日比谷野外大音楽堂で開催された、<Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」>が映像作品化。チケット即完につき、全国の映画館でのライブビューイングやWOWOWでの生中継も行なわれたライブを全26曲完全収録。ボーナス映像には、公演までのドキュメント映像を収録。

■LIVE CD『Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」』も同時発売


LIVE DVD/Blu-ray『Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」』発売記念 特別先行上映会

2018年
12月26日(水)東京・ヒューリックホール東京 (トーク・上映/LIVE)
12月28日(金)福岡・Tジョイ博多(トーク・上映)
12月29日(土)大阪・梅田ブルク(トーク・上映)
12月29日(土)愛知・ミッドランドスクエアシネマ(トーク・上映)
12月30日(日)新潟・Tジョイ新潟万代(トーク・上映)

[内容]
・Hilcrhyme出演 上映前トークイベント
・1月9日(水)発売LIVE DVD/Blu-ray『Hilcrhyme LIVE 2018「One Man」』のダイジェスト先行上映
※12月26日(水)の東京会場のみライブも実施

[チケット]
※ファンクラブ「4Season」会員先行受付あり。詳細はHilcrhymeオフィシャルサイトを参照。


<Hilcrhyme TOUR 2019“Hill Climb”>

2019年
2月2日(土)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2月3日(日)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
2月9日(土)福島・郡山 HIPSHOT JAPAN
2月11日(月・祝)神奈川・Yokohama Bay Hall
2月16日(土)千葉・柏PALOOZA
2月17日(日)静岡・浜松窓枠
2月23日(土)熊本・B.9 V1
2月24日(日)福岡・DRUM LOGOS
3月2日(土)岐阜・club-G
3月3日(日)兵庫・神戸 THE CHICKEN GEORGE
3月9日(土)長野・CLUB JUNK BOX
3月16(土)愛媛・松山WstudioRED
3月17(日)香川・高松オリーブホール
3月21日(木・祝)石川・金沢EIGHT HALL
3月23日(土)大阪・なんばHatch
3月30日(土)北海道・札幌 PENNY LANE24
3月31日(日)宮城・仙台Rensa
4月6日(土)愛知・名古屋 DIAMOND HALL
4月7日(日)東京・Zepp DiverCity Tokyo
4月13日(土)新潟・新潟LOTS

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