Amelie “ビューティフルライフ”を
掲げ、確信とともに完遂した初のリキ
ッドワンマン

「ビューティフルライフ」Release Tour 2018 2018.9.22 LIQUIDROOM
おぼろげながら体感し、掲げて進んだ“ビューティフルライフ”の標榜。それが繰り返されるライブを経て、様々な箇所でお客さんやメンバー、共演バンドたちとで育くまれ、徐々に立証され、遂には強い確信となって私たちに手渡され贈られた、そんな現場に立ち会えたような気分だ。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
Amelieが人生の悲喜こもごもを経て確証していった「なんだかんだあってもやっぱり人生は素晴らしい!」感を詰め込んだ、今春発売のアルバム『ビューティフルライフ』。同作と共に全国20箇所を回ったツアーが幕を閉じた。最終地点は恵比寿リキッドルーム。彼ら最大のキャパシティの会場だ。残念ながらソールドアウトには至らなかったが、それを上回る幾つもの収穫や糧、次につながる大切なものや今後も大事にしていかなくてはいけない決意を多分に得、実感できたのであろう。ステージを降りる際のメンバーの表情はとても“豊潤”であった。そして以下はその報告も兼ねた、その一夜のレポートだ。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
巨大な自身のバンド名のバックドロップ。それを背に、流れ出したSEの『ビューティフルライフ』を飾る「Entrance」とともに、神々しい白色バックライトの中、mick(Vo/Gt/Pf)、あっきー(Ba/Cho)、直人(G/Cho)、アサケン(Dr/Cho)が“ようやくこの時が来た!!”と言わんばかりにステージに駆け現れた。
「今日ここで、うちらとみんなとが一緒に過ごせる奇跡にまずは感謝。今日はめちゃくちゃみなさんと一緒に楽しむ気まんまんなんですけど」とmick。その言葉の直後、疾走感のある「キセキ」でライブの口火を切り、いきなり会場中を走り出させる。さらに惹き込むように入った「ライアーゲームじゃ始まらない」では、裏打ちも交えたダンサブルさで、場内に躍動感が寄与されていく。歌の真意にある「真実って何?」が詰問してくるかのように響く。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
これまでや今回のロングツアーを経て得た確信から出たであろう、「諦めずに本気で自分を信じる心、それがどれだけ強い力を発揮するかを思い知った。心の底から自分たちを信じてやってきたから、今日この場所に辿り着くことが出来た。だから、今日なら言える。可能性はゼロじゃない!!」とのmickの力強い言葉と共に入った「ゼロじゃない」からも、彼らのこれまで以上の逞しさに触れ、前述の言葉により信憑性を増させるものがあった。また、同曲では直人とあっきーも前にせり出してプレイ。魅せる部分も作り出していく。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
「こっちは心全開で挑むんで、みなさんも心全開で立ち向かってきて下さい!!」(mick)との共闘宣言後、切なさを交えつつも、サビのストレートさに無数のコブシが上がった「Discommunication」。続く「フェイク」では場内にスウィング感が溢れ、間のジャジーな4ビートがアダルティさを醸し出していく。また、「心を通わせるのがどんなに大切かを教えてくれたお客さんたちに向け、それをどうしても言葉として伝えたくて作ったという曲」(mick)と告げ、入った「ビューティフルライフ」が、会場との心の距離を更にぐっと縮めていく。もっともっと自分らしく生きてみようよと促し、サビのラテンポップ部が会場のジャンプを誘発した「ドラマチック」、mickの鍵盤が同曲の擁するエモさと同居し、そこはかとない神秘性を生んだ「タイムライン」では、会場中に切なさを広げていった。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
Amelie photo by 日吉"JP"純平
中盤に於いてはライブでは初の試みとしてアコギを交え、座ってのアコースティックスタイルで「愛と呼ぶ」が歌われた。mickがこのバンド結成以前のソロの頃に歌っており、あっきーがそれを耳にしたことでこのバンドの結成に至ったという、いわば出自とも言える大切な曲だ。同曲が今やバンドスタイルで多くの聴き入る者の前で歌い、鳴らされたシチュエーションも感慨深い。また同曲では、「この機会だから」と、mickがメンバーに内緒で各人を紹介する文言を用意。それが各位的確であったのに加え、それだけの愛しさをバンドメンバーに抱くようになったこと、そしてみんなに歌以外でもAmelieのことをもっともっと知ってもらいたいという気持ちまでもが伝わってきた。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
後半に向けては盛り上がり曲が連射された。前のめりのビートが会場をグイグイ惹き込んでいった「君が為に鐘は鳴る」を開始のコングに、高速かつ上昇感溢れる4つ打ちナンバー「さよならバイバイ」、直人が一部ボーカルとった「エラー」でも、サビの高速4つ打ちの怒涛性がフロアに向け放たれる。また「手紙」では、“大丈夫、元気にしていますよ”の心の手紙が歌とサウンドと共に綴られていき、「メグリメグル」で場内にこの日最大の大きな歌声を響かせれば、「ツラくてもキツい時も、今後もこの4人で乗り越えて行こうと固く決意しました」と歌われた「朝は来る」では、“明けない夜はない。大丈夫、僕たちに朝は来る”との歌声も頼もしく、それを受けた客席からの呼応も心強かった。また、バンドワゴン的ナンバーの「step!」では、バンドと各地のお客さんを想い、その人たちに向けて君の街へも行くよとの約束が交わされていくのを見た。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
「これで心置きなくツアーが終われそう。このツアーを経て、みんなと作る空間は唯一無二。本当に今回のツアーは幸せだったし、みんなに幸せをもらいながらここまで来れたことを改めて実感した」とmick。本編ラストは、6/8拍子のロッカバラード「STAND BY YOU」で締められ、そこでは感謝と尊さのこもったラブソングが一人ひとりに向け手渡されるように歌われた。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
アンコールは2曲。「私たちに境界線はないし、凄くお互いに絆を感じる。私たちは友であるけど、同時にずっと切磋琢磨していくライバル同士でもある」と告げて入った「ヒーロー」にでは、「ひとりぼっちの私のこと見つけてくれてありがとう」との想いが込められていた。ラストは、“最後まで一緒に走り切らん!!”とばかりに、力強い2ビートに会場の大合唱を交えた「honey」が贈られた。同曲の前にmickが語った「これからもこの道を選んで間違ってなかったと思える活動をしていきたい!」の言葉。それは同曲を通じ、みんなにとってもその選択が間違いじゃなかったと証明するかのように誇らしげに響いた。
Amelie photo by 日吉"JP"純平
「ツアーが終わって寂しい」(mick)と名残惜しみつつも、既に10~11月にはツアー中の月間ライブ数を超える本数のライブ行う彼ら。2019年1月には、東名阪で2マンイベント『ノスタルジックシアター ~平成最後の二人三脚~』の開催も控えている。彼らはこれからもますます加速度を増して“ビューティフルライフ”を掲げ、実践し、全国各地を走り続ける。私やあなたの毎日が少しでも豊潤になっていく為の歌の数々を携えて。

撮影=日吉"JP"純平
Amelie photo by 日吉"JP"純平

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